『カイロの紫のバラ』
『カイロの紫のバラ』(1985)
脚本監督、ウディアレン
出演、ミアファロー、ジェフダニエルズ、ダニーアイエロ
これは哀しい物語だ。
映画館で映画を観ることだけが楽しみなセシリア(ミアファロー)。
そうしたら、あろうことか、映画スクリーンの中からトム(ジェフダニエルズ)が出てきて、二人は楽しい一時を過ごす。
こんなことあってはならん!とばかりに、トム役を演じた俳優ギルが、製作者連中と共にニュージャージーにやってくる。
セシリアはギルとも仲良くなって、ギルの甘い言葉を信じてしまうのだが、それは裏切られてしまうのだ。
けれども、あのラストシーン、主人公セシリア(ミアファロー)の表情の変化。。それこそ、この映画の主要なテーマなのだ、と思う。
つまり。
現実は厳しくて辛いものだけれど、映画館内で映画を観ているその時だけは、そんな現実を忘れ去っていられるということ。
映画館で映画を観るということの、根本的な意義・意味を、あのラストシーンのセシリアの表情ほど、見事に表しているものはない、のではなかろうか。
そう思われる。