王騎将軍編はここで完結! 『キングダム 大将軍の帰還』
■あらすじ
飛信隊の活躍もあって趙(ちょう)の将軍・馮忌(ふうき)は討たれ、「馬陽の戦い」は秦軍優勢のまま一時的な膠着状態になった。それを破ったのは、飛信隊野営地への攻撃。やって来たのは趙の将軍で、武神の異名を持つ龐煖(ほうけん)だ。
単独で乗り込んできた龐煖だったが、飛信隊は壊滅的なダメージを受けて瓦解逃走。多くの仲間が死に、信も一時的に戦闘不能の重傷を負う。翌日生き残りの隊士を集めて本隊に合流した信たちは、そこで龐煖と王騎将軍の過去の因縁を聞かされた。
王騎将軍にとって、龐煖は愛する者を殺した憎むべき仇。そして龐煖も、自らの武の力を証明するため、倒さねばならない敵だった。
秦軍は趙軍になおも強い圧力をかけ、逃走する敵兵たちを追って蒙武が突出。しかしこれは趙軍の罠だった。敵に取り囲まれた蒙武の隊を救出すべく、飛信隊は敵陣を切り開き、王騎は敵本陣を狙う。だがそこで待ち構えていたのは、龐煖だった……。
■感想・レビュー
人気漫画「キングダム」を映画化したアクション映画シリーズの第4弾。2019年に1作目、2022年に続編『キングダム2 遥かなる大地へ』、2023年に3作目の『キングダム 運命の炎』が公開されているが、今回の『キングダム 大将軍の帰還』は、前作に続いて「馬陽の戦い」を描いている。
内容的には前作と合わせてひとつの戦いの前半後半なので、この「後編」だけでは置き去りにされている部分も多い。例えばシリーズの主要キャラクターである嬴政(えいせい)や河了貂(かりょうてん)の存在は、今回の映画ではかなり後方に退いている。本作を見る前に前作『キングダム 運命の炎』を復習しておいた方が、内容にすんなり入り込めるのではないだろうか。
今回の映画は2時間半の大作。何ヵ所かの見せ場があって、最初は吉川晃司扮する武神・龐煖による野営地の襲撃。ここでこれでもかと龐煖の化け物じみた強さを見せつけておくことで、映画終盤にある最大のクライマックス、王騎将軍と龐煖の戦いが大いに盛り上がる。
龐煖は武の化身で化け物。しかしそれと互角に渡り合う王騎将軍もまた化け物。化け物と化け物、モンスターとモンスターの戦い。戦場の真っ直中で、ゴジラとキングコングがガチンコ勝負しているような、趙重量級の一騎打ちが繰り広げられるのだ。これはすごい。IMAXの前の方の列で観ていたこともあるかもしれないが、身震いするぐらいの大迫力だ。
映画はこれで「シリーズ最終章」と銘打っているが、これは現時点で単行本72冊になる長編漫画のうち、最初の16巻までの内容に過ぎない。映画1作目から登場して、主人公の信に「天下の大将軍になる!」と決意させた王騎将軍が退場したことで、ひとまず実写版『キングダム』シリーズは一区切りということだろう。
同じ出演者とスタッフでさらに続編を観たい気持ちもあるが、何しろ登場人物が多い映画だし、どうなることかなぁ……。
TOHOシネマズ日比谷(スクリーン4/IMAX)にて
配給:東宝
2024年|2時間25分|日本|カラー
公式HP:https://kingdom-the-movie.jp/
IMDb:https://www.imdb.com/title/tt31457736/