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SCHACHNOVELLE / ナチスに仕掛けたチェスゲーム(2023年7月21日劇場公開)
ナチス関連映画でいつも驚かされるのが極限状態においてなお、誇り高くい生きようとする人間の姿。本作も正にそのことがテーマです。
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ヨーゼフ・バルトーク(オリヴァー・マスッチ)の公証人としての矜持に貫かれた抵抗。その彼に助けをもたらすのがチェスという知的な遊戯というところが他の映画と違ってオリジナリティがあります。
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ヨーゼフをホテル・メトロポールに軟禁(というよりほぼ監禁)するゲシュタポのフランツ(アルブレヒト・シュッへ)はその見かけからは想像できない狡猾なキャラ。このキャラ造形もステレオタイプを踏襲せずビジネスマンのよう。最近の映画で描かれるナチスの将校は軟化している気がします。
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話の起こしからはどうやってチェスの対戦場面に持っていくのか想像ができないくらい遠いところから映画は始まります。ヨーゼフの狂気と共に主人公がチェスを行う場面でなるほどそういう話かとわかりました。
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映画の文法としてかなり攻めた演出で、動きの少ないチェス対戦が大いに盛り上がる様はボクシング映画のようでした。チェス映画にも駄作なしです。
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