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LAST FILM SHOW / エンドロールのつづき(2023年1月20日劇場公開)

実は残酷な映画です。映画が一度死ぬ様を静かに看取っているからです。

だから原題は"LAST FILM SHOW" なのです。映画とは何かというとフィルムであり、フィルムは映写機でしか投影できないのです。映写機が鉄屑同然に溶かされて、フィルムはポリエチレン樹脂に戻されます。

サマイ(バビン・ラバリ)はチャイ売りの少年、カーストはバラモン。親に映画を観に連れて行かれてすっかり虜になります。奇しくも『フェイブルマンズ』と重なります。

映写技師と仲良くなるところなんかは『ニュー・シネマ・パラダイス』と重なります。でも設定は現代。私たちの住んでいるところでも起こっている大きな変革の波がサマイが通う街の映画館にも押し寄せます。

もうね、映画好きには、映画=フィルムは死んだと宣言されていて残酷です。でもそれは受け入れないといけません。その上でどう映画というものをとらえるのか?という大きな命題に到達するのに感心しました。それを映画で問い続けたのが、他ならぬゴダールです。本作はゴダールを敷衍している点で実にゴダール的です。


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eigadays
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