MR.JONES / 赤い闇 スターリンの冷たい大地で(2020年8月14日劇場公開)
ガレス・ジョーンズのようなジャーナリストがいなければ、世界は「ホロドモール」を知ることは無かったでしょう。
作り手の静かな怒りが伝わって来ます。そういう意味でパワフルな映画と英国映画雑誌「リトル・ホワイト・ライズ」も推してるのですね。
英国元首相ロイド・ジョージのコネクションでモスクワ取材が許可されたジョーンズ。映画前半の組み立てはスパイ映画のように進みます。
ニューヨーク・タイムズモスクワ支局長と出会い、彼のアシスタントの女性と知り合いになります。
彼女がきっかけでウクライナ取材の機会を得ます。
そこで彼が見たのが、「ホロドモール」です。その光景には誰しも言葉を失うと思います。
2006年に「ホロドモールはウクライナ人に対する大虐殺であった」とウクライナ議会で認定された出来事。この映画をみるまで詳しくは知りませんでした。
スターリンの横顔をポスターにして、そこの豚の横顔を重ねる、実に風刺の効いたポスター。ジョージ・オーウェルの『動物農場』の豚です。
日本公開版では、「赤い闇」という言葉でそれを伝えようとしていますが、この邦題から受ける印象よりはるかに重たい事実が描かれています。ちなみにポスターに赤字で書かれている「スターリン」とはウクライナの地名です。
監督のステートメントが今につながる物語であると私達に伝えています。
その事を念押しするために、ジョーンズとジョージ・オーウェルとが実際に出会うシーンを演出し、映画の冒頭にオーウェルが『動物農場』を書くシーンが挿入されます。こうやって悲劇を後世に伝えようとしているのです。
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