벌새 / はちどり(2020年6月20日劇場公開)
主人公ウニが生きていた1994年のソウルの再現度の高さに驚きました。ここまでやってこそのリアリティがストーリーを支えています。
このポスターの背景に描かれている、ソンス大橋の崩落事故のことはよく覚えています。
家族の食卓が度々出て来るのは、映画にとって重要なシーンだからです。ウニは家族と一緒にいても孤独なんです。
そんなウニの人生の悩みについて真剣に耳を傾けてくれる塾の講師とのシーンの挟み方が抜群に旨い。
友達って何?ということを考えさせられる、ある出来事がこの物語のもう一つの柱。誰にでも経験のある小さな出来事をカメラは、優しく見つめます。
キム・ボラ監督の映画でのストーリーテリングのセンスは相当高いと思います。イ・チャンドン監督のようです。
このポスターも劇中のシーンのスチールを使っています。彼らの視線の先にあるのはどんな未来なのでしょう。
小さい悲劇と大きい悲劇が繰り返される本作の数少ない喜びが爆発しているシーン。
決して、声高ではないのですが、静かなるマニフェストであり、エールなんですね、キム・ボラ監督から少女世代への。