말모이 / マルモイ ことばあつめ(2020年7月10日劇場公開)
オム・ユナの初監督作品。脚本を書いた前作『タクシー運転手 約束は海を越えて』が好きなら本作も気にいるはず。基本的に同じ構造だからです。
日本統治下の京城(今のソウル)の様子もプロダクションにちゃんと予算を割いて再現されているので本気度が伝わります。路面電車まで走らせてました。
「ことばあつめ」のお話なので、こういう辞典編纂の資料庫などもちゃんと見せてリアリティの構築にも抜かりがないのが韓国映画の強いところ。
ストーリーを回すのが、みんな大好きユ・へジン。彼の出てる映画でつまらない映画はないと思います。今回も大活躍。
相手役はユン・ゲサン。インテリのイケ好かない役が、ユ・へジンとのケミストリーで愛すべきキャラになっていく過程が見ものです。
韓国語の標準語辞典を編纂する話なのに、この絵面ですよ。韓国映画界の才人の手にかかればどんな題材でもエンタメにできちゃうんです。
日本統治下ですから、日本人役も登場します。演じているのは韓国人俳優です。日本人俳優を登用しなかったのはデリケートな題材だからでしょうか。
そして、映画好きにはたまらないシーンが後半に出てきます。『イングロリアス・バスターズ』にも似たアクションシーンです。
日本人としては積極的に直視してこなかった事象を描いているので、居心地が悪く感じる人もいるかも知れませんが、映画としてスポットを当てているのは「ことばあつめ」を通じて描かれる友情です。素晴らしい韓国映画を観ると毎度のことですが、映画館はすすり泣きに包まれていました。