THE PROM / ザ・プロム(2020年12月4日劇場公開、12月11日配信公開)
2016年初演のブロードウェイ・ミュージカルの映画版。映画館で公開されて1週間後に配信スタート。2020年から始まった新しい興行スタイル。
このポスターからも明らかにわかるように、具体的な曜日が示されている配信がメイン。映画館受難の時代の始まりです。
キャッチフレーズも「XXに乾杯!」と誰でも思いつきそうな、やる気無し度マックス。映画ポスター文化の受難の始まりでもあります。
ジェームズ・コーデンの起用でコメディ色を強めたキャスティングのようですが、そもそもプロムに馴染みのない日本の観客にとってはとっつき難い題材。アメリカの高校生の文化祭にプロのミュージカル俳優たちが売名行為の為にお節介しにいくというのも共感を得難いストーリー。
2021年の春に、地球ゴージャスのプロデュースで舞台があるようですが、ちょっと心配ですね。映画の盛り上がりありきの興行のようなので。
ミュージカル映画の華は、何と言っても歌い、踊るシーンですが、残念ながら映画を観終わっても頭に残るメロディであったり、釘付けになるダンスシーンがありませんでした。
結局、数で勝負という見せ場演出が多いので、それだと舞台の生の迫力には負けますよね。メリル・ストリープもニコール・キッドマンもそれぞれ独唱&ダンスの見せ場はあるのですが、実像>キャラという図式があからさま過ぎて乗り切れません。
しかも舞台がインディアナ=田舎の高校なので、映画でリアリティを追求すればするほど絵がしょぼくなります。結果、冒頭のブロードウェイでの自画自賛ミュージカルシーンを超えるシーンがいつまで経っても現れないまま終映でした。
ミュージカル映画にとって2020年は『キャッツ』に始まり、『ザ・プロム』で終わるという何とも盛り上がらない年になりました。
いいなと思ったら応援しよう!
いただいたチップはA24製作の映画を観るためだけに使わせていただきます。