VIDEOPHOBIA(2020年10月24日劇場公開)
「わたしが、増殖する」という宣伝文句、「VIDEOPHOBIA」というタイトルに惹かれて観ました。
検索に引っかからないと存在していないのに等しい今の世の中に問うにはふさわしいタイトルと考えました。(宮崎大佑監督の語り)
大阪の街、特に鶴橋を舞台にした物語。大阪であることが重要です。
こういうショットから一発で人間関係をわからせる、映画的省略技法は今作でも顕著です。
主人公が大阪に通ってくる様子の描写を入れることで異世界へ入り込んでいく恐れ、不安などの感情が共有できます。
この匿名性と都市の関係を解らせるショットが随所にあり、並大抵の才能ではないなと感じました。
まるでラース・フォン・トリアーの映画のようなハッとするメンフクロウのショット。そしてBAKUのベースミュージック。
廣田朋菜の印象的な表情を多面的に引き出す演出があるからこそ、インパクト大なキーヴィジュアルに結びつく円環に病みつきになります。
大阪の街が主人公を飲み込んでいくような恐ろしさ、東京ではこうは行かないでしょう。