ダビデ
君は石だ
鏡に非対称性を捧げ
酔い潰れたメデューサの紅い毛髪の
朽ち果てた瞳の重さを受け止める
太陽を月を
とてつもなく大きな光を人々は称揚するが
誰にも見えないのだろう
対称性の向こうに消えそうな目の輝きを
眩い嘆きを
燃え尽きた命の星を蹴り飛ばして
夜の果てに眼光を捨てる
そんな日々を嘗ては過ごした
酒を絶やしてはならぬ
そう笑う君は太古の血潮だった
誰の目にも触れられぬ
遠い太古の結晶だった
幻覚と散逸構造が唯一の友人で
毎日毎日、鏡のワルツを眺めた
少女は泣き、少年は斃れた
ようやく夕焼け雲が彼らの帰路を閉ざす
下らぬ言葉はやめだ
万物の平等と中庸主義の美徳は
後ろめたさすら残さずに今日の果実を貪る
鏡でも見たまえ
君は美しいだろうか
その通り 永遠の大通りは大火を灯して消えた
すっかり存在が消滅した
離れゆく快楽の懐に
俺は真っ白なダビデを破砕した