ナーズローに捧ぐ
埒を開けよう!
純白の血気を失うことなく
秋空を奔走する可憐な毛糸
嗚呼、悲しき星の定めか
鈍色の人間たちは彼女を嗅ぎ分ける
散逸するルビーの潮風は
誰よりも遠くに届くのだから
ナーズローの温もりは
物質の夢を夜に捨て
ただ一輪の睡蓮に
已むを得ん、日記を閉じよう
生活を さあ生活を
月光を破り、睡蓮はやはり咲く
悪意の偶数の泥沼に
震えるリネンの花弁を伸ばし
それでもお前を抱きしめる
なあ、真珠を 盗まないか?
何の苦も無く転がさないか?
醜い鷲鼻が虫のように囁く
お前は時たま殺人を想うらしい
否、理性の肉体性を問うのだろう
すなわち愛と自由の天秤を
穢れた矛盾の豊潤を
選びたまえ 探したまえ
それがお前の定めなのだから
だがくれぐれも忘れるな
ナーズローの温もりを
寂しい天使の銀の盾
犠牲に輝くワルツの肌を