これからの営業組織で読みたい良書8選
最近、社内外からセールス系のおすすめの本を聞かれることが増えたので備忘録的にまとめておきます。弊社ペイミーでも事業推進部では入社後3ヶ月以内に全て必読となっています。
あまりに有名な本が多いので、今更かよ!と思われる方もいるかもしれませんが、これから営業組織を立ち上げる、セールスとしてのキャリアを歩んでいく方はぜひ入門集的に読み漁ってみてください。
①ザ・モデル
SaaSの営業組織では言わずと知れたバイブル的一冊。セールスフォース・ドットコムで磨かれた科学的なマーケティングと営業のプロセスを、日本固有のSMB市場にも転用できるようマルケト日本法人社長の福田さんが構築をしたザモデル。マーケティング→インサイドセールス→セールス→カスタマーサクセスが効率化を図り分業化するだけでなく、共業する意義を説いています。一番はじめに読みたい一冊。
②インサイドセールス究極の営業術
ここ数年で急速にトレンドワードになった「インサイドセールス」ですが、こちらの一冊は著書の水嶋さんがSPEEDAを提供するユーザベースのインサイドセールスチームのコンサルを3ヶ月実践し、どのようにチームと成果に変化があったかが詳細に記されています。ISの概念的な内容にとどまらず、より実践にフォーカスしている点で非常に理解が深まりました。
余談ですが、弊社のIS新卒メンバーにこちらの本を読ませてから、やる気と成果が爆上がりしました。ISとしての意義や仕事の面白さを見つけたようでした。
③90日間でトップセールスマンになれる最強の営業術
発売は2009年と10年前の本ですが、先日クラウドサイン橘さんのnoteでベルフェイス小林さんの社内勉強会でこちらの本が指定教科書になっていると知り、即ポチしました。
まさにセールスの入門書に相応しい1冊。①事前準備、②アプローチ、③ヒアリング、④プレゼンテーション、⑤クロージングまでの5ステップをさらに70のスキルに分解して、課題解決型営業の流れがよく分かります。日々の商談の振り返りにも辞書的に使えます。
④SPIN大型商談を成約に導く営業術
大型商談に欠かせないセールス・テクニックを網羅した1冊。
1回の商談で成否が出る小型商談と異なり、意思決定者が多く、検討期間も長引きやすい大型商談では、4つの質問がポイントとなることを説いています。①Situation Questions(状況質問)、②Problem Questions(問題質問)
③Implication Questions(示唆質問)、④Need-payoff Questions(解決質問)
頭文字を取ってSPINと呼ばれています。
一方で、先日CEREBRIX今井さんのnoteでロジカルに考えられないとSPINは実践できない、まずは論理的思考を高めるのが先決、といった内容を拝見しました。確かに実際の商談でS→P→I→N順に綺麗にヒアリングできる人は多くない。営業のフレームワークとしてまずは認識してから、実践を通じて、論理的思考とともに磨いていきたい。
⑤チャレンジャー・セールス・モデル
長らく営業をやってきた私には衝撃的な一冊でした。本書は90社6000名のセールスを分析し5つのタイプに分け、その中のひとつがチャレンジャーセールスであり、もうひとつは関係構築タイプでした。結論、5つの中で一番結果がでていたセールスが多かったのがチャレンジャーセールスタイプであり、少なかったのが関係構築タイプでした。
よく社内でも「顧客との関係構築を大事にしよう」などのコミュニケーションが行われますが、正しい側面もある一方、鵜呑みにしてはいけないということでした。
チャレンジャーセールスモデルの特徴は、差別化を得るための「指導」、共感を得るための「適応」、営業プロセスの「支配」の3点。さらにチャレンジャーセールス型の組織を作るためにマネージャーが意識すべき、「既知を伝授し、未知を開拓する」プロセスについても触れられています。
⑥隠れたキーマンを探せ!
チャレンジャーセールスモデルの内容をさらに推し進めた一冊。「チャレンジャー」セールスマンが重要なだけでなく、買い手の側にも「チャレンジャー」が不可欠であることを説いています。
BtoB営業において、購買プロセスの57%が営業担当に会う前に終わっており、意思決定には平均5.4人が関与すると言われています。
できる営業マンは「モビライザー(やり手、教育者、懐疑派)」と接し、出来ない営業マンは「トーカー(案内役、友達、上昇志向)」と接する。いかにモビライザーを見つけて、接するか。そして顧客の課題を引き出した上で、コマーシャルインサイト(顧客さえ気づいていないアイデア)をぶつけられるか。事例に基づき、より理解が深まりました。
⑦おもてなし幻想
顧客と長く付き合っていくために必要なサービス・サポートのあり方が、明確になる目から鱗な一冊でした。隠れたキーマンを探せ、成約のコード、と表紙デザインが同じリブ・コンサルティング日本語監修の姉妹本です。
カスタマーサポートKPIで設定しがちな、問い合わせ対応件数やレスポンスタイムばかりおっていても本質的な顧客の課題解決に寄り添えていない、顧客の期待を超えるような親切丁寧なサポートを提供しても業績にはほとんど関係無い、など衝撃的な内容が統計的な結果に基づいて投げかけられます。
「おもてなし」ではなく「おせっかい」になっていないか、 "顧客努力" を減らし、いかに顧客からのロイヤルイティが下がってしまうことを防げるか。顧客の手間を予測し、セルフサービス誘導したり、問い合わせ対応時の決定木設計など自社でも転用できることがめちゃくちゃありました。
⑧カスタマーサクセスとは何か
CS本と言えば青本や緑本が知られていますが、より日本企業向けにカスタマイズして書かれたカスタマーサクセスの入門書的な一冊として赤本と読んでます。アドビ、Slack、ウォルグリーン、リクルート、メルカリ、Sansanなど多種多様な企業の事例もわかりやすいです。
特にオンボーディング→サポート→アダプションの支援・育成フェーズにおいて、Time to Value(Wow!すごい!などと感じるまでの時間)やEfortless(不快の排除)などがカスタマーの成功に効果的であることはCSチームの持つべき視点として勉強になります。
まとめ
まだまだ良書はありますが、まずは入社後3ヶ月で読んでもらいたい本に厳選し8冊を取り上げました。本は人に合ったタイミングで読むことも重要だと考えているため、まずは一旦読んで概念を知り→実務で実践しながら→あらためて必要なタイミングで本に立ち返るプロセスを経てもらえらたと思います。私もそうでしたが、本を読んでからモチベーションや営業スタイルが変化することを何度も見てきました。ぜひ効果的に活用してみてください。