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取扱注意を炙りだす、突きつける
読書感想文です。Xにポストするつもりでダーッと書いたものをそのまま👇(ポストするには長い。あとちょっと刺々しい書きぶりになったので、タイムラインで不意に目にしちゃったら嫌な人もいるかもと思った)
すべて真夜中の恋人たち(川上 未映子)
繊細スイッチが入っている時は、この本は読まない方がいいと思った。
日常ではスルーしている自他の人間臭い欲望や心の動きが、眼前に突きつけられる感じ。価値観や親切の押し売りの煩わしさとか、気に入らない他者のことを分析しまくってセルフ論破の陰口たたいて、自分の“正しさ”を誰かに承認されたがる様子の必死さとか。あとシンプルに恐怖を感じさせる場面も複数ある。
「自分は正しい」と思いたい欲求の強さって凄まじいし、誰もが大なり小なり持っているものだよなと。それは悪いものではないけど取扱注意だな。
冬子、典子、聖。それぞれ違う種類の寂しさが静かだけど悲痛で、こちらを刺してくる。
全部が引用みたいに思えるのよ。悲しいも嬉しいも自分のものじゃなくて、どこかの誰かがいつか感じただけのもので、私たちはそれをなぞっているだけにすぎない。
聖がこんなようなことを言っていたのも寂しさの一種と感じた。私もふとしたときに似たようなことを考えて、体幹の貧弱さを感じる。
典子はわからないけど、冬子も聖も、表面的な性格は全然違えど、かなり愛着不安の強いキャラクターという印象を受けた。
川上未映子の小説は、『ヘブン』を読んで胸焼けして以降ずっと読んでいなかった気がする。この作品も読んでいて(今回「聴く」読書だったけど)しんどい箇所が多かったけど、否応なく没入させられる。ここではないどこかに連れて行かれながら時に共感し時に議論したくなる、そんな時間を過ごせた。
※記事見出し画像はAmazon書籍ページより