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医療的ケア児支援法成立の背景と重要性

医療的ケア児支援法が成立した背景には、医療技術の進歩による命の救済と、その後の支援体制の課題が深く関わっています。この法律は、医療的ケアが必要な子どもたちとそのご家族が安心して生活を送るために、社会全体で支援する仕組みを作る大きな役割を果たしています。ここでは、その背景や意義について詳しく見ていきます。

医療的ケア児支援法制定後の支援体制の整備と課題
さらに詳しい情報はこちらから:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/tpha/11/2/11_2023-17/_pdf/-char/ja

杉井 たつ子
東都大学沼津ヒューマンケア学部

1. 医療技術の進歩と支援体制の遅れ

NICU(新生児集中治療室)での医療技術の進歩により、これまで救うことが難しかった命が救われるようになりました。しかし、救命後のケアや支援体制はまだ十分ではなく、退院後の家庭でのケアが親に大きな負担を強いる状況が続いています。日常的な医療行為が必要なため、家族全体に経済的・精神的な負担がかかっていました。

2. 親の離職と社会的孤立

医療的ケア児を育てるために、多くの親が仕事を辞めざるを得ない状況がありました。これにより家庭の収入が減少し、経済的な負担が増大する一方で、親の社会的孤立も進みます。親が自宅でのケアに専念する中で、地域や社会との繋がりが薄れ、精神的にも追い詰められる家族が増加していました。

3. 医療的ケア児支援法の成立と意義

こうした現状を受けて、医療的ケア児支援法が2021年に成立しました。この法律は、医療的ケアが必要な子どもたちとそのご家族が、社会全体で支援されることを目的としています。国や地方自治体が医療的ケア児支援を行う「責務」を負うことで、地域間の支援の格差を是正し、すべての医療的ケア児とその家族が平等に適切な支援を受けられる仕組みが整いつつあります。

4. 法律の意義

この法律の意義は、医療的ケアが必要な子どもたちを社会の一員としてしっかりと受け入れ、共生できる社会を作ることにあります。さらに、親の離職を防ぎ、家族全体が支えられる環境を整えることで、子どもたちの健やかな成長と家族の安定した生活を実現するための重要な一歩となっています。

次回の投稿
医療的ケア児支援法は、医療技術の進歩によって生まれた新たな課題に対応するために制定された、家族にとって大切な支援の枠組みです。
次回は、「医療的ケア児支援法がもたらす未来」について詳しく見ていきます。

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