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1人に1つずつあるもの②

『1人に1つずつあるもの①』の最後には、選択の先に「自殺」が現れないようにしたいと書きました。

私の目的がそこに行き着いた理由を、これまではHSP気質の私の周りに自殺者が多くいたことで、何も出来なかった無力さと、何かしてあげたかったという責任感からだと思っていたのですが、Beauty Japanというコンテストのファイナリストとなり、あまり表向きには伝えていなかった「自殺者を減らしたい」という想いをどうやってこのnoteに書こうか…と考えながら綴っているうちに1つ思い出したことがあります。

それも、私が小学生の時のことになりますが、私は祖父母と同居をしており両親は共働きでしたので、自然と祖父母と過ごす時間が多くなり、その時によく聞いていた話です。

まだ父が小学生だった頃、祖母が台所に立って夕飯を作っていると、窓を叩く音がして、開けてみても誰もいない。また台所に戻り料理をしていると、再び窓を叩く音がする。だけど開けてみても、ちょっと出て見に行っても誰もいない。そんな不思議なことがあってね…と話してくれました。

話の結末は、その翌日に祖母の妹が亡くなったという連絡が入ったというもの。祖母は妹が最後に挨拶に来てくれたんだと思うと教えてくれました。

当時、話を聞いていた私は完全にホラー話として、キャーキャー言いながら半分楽しんでいました。

何度も何度も聞かせてもらってるうちに、祖母の妹さんは病気だったのかな?という疑問が浮かび、尋ねたところ自殺だったと話してくれました。

私にも1人妹がいます。祖母がどんなに辛かっただろうと想像してはみますが、きっと私には計り知れない悲しみがあったことでしょう。

それから私も大きくなりその話題も出なくなり、そもそも祖母と会話をすることも少なくなっていきました。

だから、すっかり忘れていたのです。

祖母は現在97歳でグループホームに入所しています。
なかなか会うことさえ難しい日々の中、祖母が腰を痛め病院に入院したことがあり、その際に息子とお見舞いにいきました。
身体を動かせなくなっていることで、一時的に認知機能がより衰えてしまったのか、せん妄だったのかはわかりませんが、私のこともわからず「あきちゃんか?」と何度も繰り返していました。(ちなみに私はまこちゃんです。)

私が知っている限り、祖母の周りにあきちゃんという人物はおらず、誰なんだろう??と思っていました。

その出来事を母に話すと
「あきちゃんは、亡くなった妹さんの名前やわ。」
と教えてくれました。

そこで、そうだった!祖母は自死遺族だった!と、子供のころ何度も聞いた、誰かが窓を叩く音の話をしている若かりし頃の祖母が私の脳内に現れました。

いろんなことを忘れている状態でも、身近にいた家族のことを思い出せなくても、50年以上前に亡くなった妹さんが目の前にいると思い名前を読んだ祖母を見て、(あぁ、私はおばあちゃんの『妹を助けられなかった…』という想いを分けてもらったんだなぁ)と感じました。

さて、絵本で人の命は救えるでしょうか?
死にたい人を止まらせることはできるでしょうか?

その答えは、私が今生きていることで証明しています。死にたいと思っていた時に、絵本に出会っていなくても、私は死ねなかったかもしれない。だけど、きっと絵本に出会わなければ、こんなに毎日が楽しくて色鮮やかで豊かで満たされることはなかったと思うのです。

だから、私は、絵本がきっかけで"生きる力"が湧いてきたことを証明するするためにも、明日も明後日も明々後日も、絵本に出会えたあの日から今日までのよう、変わらず生き、その中で多くの人に絵本を開くきっかけを手渡していきたいと思っています。

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