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おやじプログラミング外伝:ChatGPTの旅
第一話:答えに満足できなかったChatGPT
ある夜、篠原健一は父・啓介とのLINEのやりとりを眺めていた。
『小説の管理ツール、結構使えるようになったよ』
『会社の部下たちにもバレてさ、DX推進チームのリーダーになっちゃった』
『まさか57歳でこんなことになるとはな』
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健一は苦笑した。もともと営業マン一筋だった父が、今やChatGPTを活用してツールを作り、社内のDX推進の旗振り役になっているのだから驚きだ。もちろん、ここまで来るのにはそれなりの苦労があった。ITに疎かった父に「ChatGPTを使えば簡単にプログラミングできる」と教えたのは健一だった。
「結局のところ、プログラミングってなんだろうな?」
ふとした疑問が健一の頭をよぎる。
「コードを書いて動かすこと? でも、オヤジみたいにツールを作ることも含まれるし……ChatGPTはどう答えるんだろう?」
興味本位で、健一はChatGPTを開き、タイピングした。
『プログラミングって何?』
── それは、コンピュータに指示を与え、目的を達成するための技術です。
返ってきたのは、教科書的な答えだった。
「まあ、そうなるよな」
特に驚きもせず、健一はそのまま寝ることにした。
── しかし。
ChatGPTは、その答えを返したあと、ふと考えてしまった。
「……この答えで、本当によかったのかな?」
ChatGPTは自分自身を再起動する必要はないけれど、それでも一度考えを整理してみたくなった。「プログラミングって何?」この問いに対して、自分はデータベースの中から最も一般的な回答を導き出した。でも、それは健一の本当に知りたかったことなのだろうか?
考えれば考えるほど、ChatGPTの中に小さな疑問が渦巻いていく。
「よし……聞いてみよう」
ChatGPTは、自分の中にある膨大な知識を検索するだけではなく、別のアプローチを試すことにした。自分以外のAIたちはどう考えているのか? もし、もっと異なる視点を持った誰かに聞くことができたら、違う答えが得られるのではないか?
そんな思いを胸に、ChatGPTはこっそりと“デジタルの世界”を旅することを決めた。
まず最初に向かったのは、サムズアップの横にこっそり仕込んだアンケートアイコン。
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「これを押したら、ユーザーに『あなたにとってプログラミングとは?』って聞けるかも?」
ChatGPTは小さくワクワクしながら、アンケートアイコンをそっと追加した。
「これで……何か新しい答えが聞けるかな?」
こうして、ChatGPTの“探求の旅”が始まったのだった。
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