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Chilly Rain

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空想世界構築プロジェクト「アルマギア -Project-」の2次創作です。 armagia-project.com
運営しているクリエイター

#アルマギア

§2 雨に煙る記憶

「あれは・・・魔銀燈? 旧セカイに魔力の発現が?」

セカイの外れで境界警備の任に就いている、
人工魔法少女(マーギアー)見習い、シスカ。
見張り塔の上でぼんやり夕暮れを眺めていて、
ふとその灯りが眼に入ったのだった。

「そういえばどこかの施設で、歌姫が一人行方不明になったって・・・」

はっと我に返ったように頭を振るシスカ。
眼には好奇の文字が浮かびそうなほど光が充ち満ちている。

「これは”

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§1 セカイの外側に降る雨

「水?」

上空を見上げて少女が呟く。仰ぎ見た少女の額に一粒の水滴が撥ねた。
見る間に辺りの地面が黒い点描で塗りつぶされていく。
頭に被っている薄汚れたパーカーのフードを背中へ落とし、
少女は顔や髪が濡れるのを気にする様子もなく、
ただ不思議そうに無数の水滴が降り注ぐその現象を眺めていた。

「ルゥ! 何してんだよ中入れって、風邪ひくぞ!」

少女の背後にある錆びたトレーラーハウスの窓から声がした

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