コンビニエンス・ヒストリー:歴史は何の役に立つのか?
歴史は何の役に立つのか?
学生の時に、歴史の授業を受けながら、一度は思ったことがあるかもしれません。
そんなことを考えている暇があれば、勉強した方がいいと言う人もいるかもしれません。でも、何も考えずにただテストで良い点数を取るためだけに勉強するよりは、健全なような気もします。
とはいえ、そんなことを思う学生も、この問いについて、そんなに深く考えているわけではなさそうです。
つまり、根源的に歴史の社会的な役割を知りたい、考えたいというわけではなく、退屈で暗記するのが苦痛な歴史を勉強したくないという思いの裏返しなだけのようです。
いずれにしても、多くのひとは、歴史は役に立たないと感じているのではないでしょうか。
確かに、ある歴史的な事実を知ったからといって、急に幸せになったり、お金持ちになることもないでしょう。
しかし、社会を見回してみると、さながら、コンビニエンス・ストアのように、便利で使い勝手良く、歴史が利用されています。
歴史を題材にした漫画やゲーム、歴史的な建造物を中心としたツーリズムや歴史的な伝統によって権威付けられたサービスやモノ。
最たる例が、政治の世界かもしれません。
歴史は、為政者が、戦争を正当化する際に、大いに役立ちます。
「歴史の大きな流れから、対立は避けられないものだ!」なんて言われてしまうと、仕方がないように感じてしまいます。
この時に、一歩下がって、そもそも「歴史の大きな流れ」とは本当にそうなのかを批判的に考えるクリティカル・ヒストリーが大切になります。
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