ハバナのひとよ⑧(最終章)
回り道でも 旅の終わりに
君にもう一度 逢えたらいいね…🎶
上記フレーズは、
『人生(たび)の空から』の歌詞より抜粋したものだ。
この曲は松山千春のシングル・コレクション『起承転結II』にも収録されており、知名度も高いだろう。
80年代に入ったところで彼の音楽活動において、
最もセールスを連発していた、いわば最盛期に相当する。
芸術という領域、とりわけ音楽というジャンルにおいては、
どうしたことか「デビュー当初は名作が多いが、次第に良い曲は少なくなっていく」傾向にある。
これには理由として、様々な背景が考えられる。
・歳を重ねることによる感受性の弱まり
・楽譜というメロディライン上の先に思い付いたもの勝ち性
・その年代ごとの流行りの方向性
・芸術性とビジネスの共存性
幼少期に多少、音楽をかじっていただけの私は、
本来偉そうに語ることはできないのだが、きっと同じ疑問を有している方々もいるだろう。
大分、話が脱線してしまった形となるが、
とどのつまり、何が言いたいかというと、
松山千春の曲は北海道の地で聴くことにより尚染みるし、
特に『人生の空から』は、
飛行機で北の大地を離れる際に是非とも皆さんに聴いてほしい曲の一つということだ。
(小声で歌っていたらキャビン・アテンダントに注意を受けたのはここだけの話としておこう。)
さて、以下、
舞台は札幌遠征4日目の朝に戻る____。
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睡眠障害ゆえ、ノーアラームで5時台に目が覚めた。
その後、歯磨きをしたり、
スマホをいじりながらうたたねをしていたら、
あっという間に色男との集合時間となった。
名店は、札幌駅から程近くの企業ビル群の中で営業していた。
やれやれ、ここもまた、名店のようだ。
店内に入らずとも極上空間を察知してしまった私は、
彼の底知れなさにいい意味で嫌気がさしていた。
『どもッス………』
入り口から程近いテーブル席に座っていた彼は、
誌面から顔を外し、気さくな挨拶を寄越してきた。
彼とは最終日の打ち合わせをしながら
『たまらんくなっとるんですわァ………』
『フリーで…………ネットみたんですけどォ~………』
と、ひたすら猥談をしていた。
私の航空便が夕方に迫っていたこともあり、早急に予定を消化すべく、
ややぬくもりのある珈琲を一気に飲み干したあとに我々はすすきのに向かった。
この旅で何回すすきのに行ったかは数えきれなかった。
私は""仕事に向かう彼""と別れたあと、
豊水すすきの駅から学園前駅へと向かった。
(私の豊平地区古着屋訪問記にて詳細は説明しているため、以下は割愛とする。)
ストライプ入りダブルの背広に身を包み、
名店へ一直線に向かう彼の後ろ姿は、
出来事のあった2日目の朝から想像ができないほどにギラついていた。
………………………………………
豊平地区で営業訪問したあとの私は一直線にすすきのに戻った。
途中、学園前駅に名店を見つけたがこれはまたの機会に訪問することとした。
すすきの駅のニッカ看板の下で、
何があったかは存じ上げないが、艶やかな顔をした彼と合流した。
『どもッ…………スゥ~………………』
仕事を終えた彼は、
今回の駆け引きのことを赤裸々に私に語ってくれた。
私も「気持ち良すぎ!」と言いたくなってたまらなかったが、
今回は散財に散財を重ねていたため、やむなくそのまま帰路につくことにした。
そのあとは彼に案内され、札幌駅に向かい、
駅構内の喫煙所(有難う)で一服したあと「またどこかの巡業でお会いしましょう」と簡単に口約束をし、別れた。
4日間、彼を欲しいままにしてしまったことは
フォロワーの女性陣にこの場を借りてお詫びしておく。
彼とはまたガールズを召集し、今年中に再度ジョイント・コンサートを開きたいものだ。
私は、新千歳行きの電車に乗りながら、
この旅で撮りまくった写真の数々をカメラロールで振り返った。
新千歳空港では、職場への上納品を調達したあと、
再度、北空港歌碑でブツブツ歌って時間を潰し、格安航空で常滑まで戻った。
以上が、
私の札幌遠征記「ハバナのひとよ」の全容である。
長文駄文に最後までお付き合いいただいた皆様には厚く御礼申し上げる。
次回、このような大長編を執筆するタイミングはそうそうないだろうが、
彼と計画している「北陸遠征」や「岐阜遠征」の際にはお披露目できるかと思う。
ほな、また…………。