
ままならない不調も、どうせならおいしくいただきましょう
年齢による自分の身体の変化なんて感じたことがなかった。
大きな病気もしない、風邪も滅多にひかない、この数年に至っては世界を騒がす流行り病にだってかからなかった。
でも20代も後半になって、それはいきなりやってきた。
健康診断で指摘された体重減少。大雑把に言えば10kgも減っていたのに当の本人は全く気づいていなかった。思い返せば数年前の写真の方が顔がパンと張っているなというくらいだ。年に一回しか体重計に乗らないという(自身の体重に興味がない)惰性な性格が響いてしまった。
幸い現状では異常なし。ホッとしたのも束の間で、それからひとつ、ふたつ、と体の別の場所からちょっとした不調が見つかった。
まあたいへん。心配性で慎重な性格のわたしからしたら、ただでさえ健康に対して不安を覚えた時期に度重なる不調。
この時期から今まで、不安にはなるわ日々の体調を警戒するわと気苦労がとても多かった。
風邪なら症状も対処も経過もわかりやすい。
けど、自分の目の届かない場所の不調は起こっていることは分かれど、経過も分かりづらいし知識もない。でもって何が起こっているかは自分しか知り得ないし、的確に表現することがむずかしい。
具体的なことをおおっ広げにインターネットで発信するのもどうかと思うので、ぼかして発言すると、私の抱える不調に対応する科は受診のハードルがそれなりに高かった。
様々な思考の末に今現在は、体の不調は専門医しか知り得ない見れない(物理)、黙って診てもらえ〜!という所に落ち着いたけど、まあやはり怖いものは怖い。避けたいことだってある。
健康や体のことって誰かが気がついてくれるわけではないし、困った時に知識を教えてもらえるわけでもない。異常が起こっていても自分さえ見て見ぬふりをしてしまえば、そのままなのだ。
それってかなり怖いことではないか。ちょっと、気付きたくなかったかもしれないとまで思ってしまう。心配性で神経質な人間と体調不良は最悪の相性だ。
初めての経験で戸惑ったけど、今は不調に揺らぐ心との付き合い方を少しずつ学んできた。備忘録として、また同じことで悩んだことがある方に、こんな過ごし方もあるよというのを参考程度に聞いてもらえたらと思う。
ままならない不調も、どうせならおいしく食べてしまおう
まず、様子を見ればいいのか、すぐに病院に行ったほうがいいのか、そもそも病気なのか、経過観察時はどこまで気にすればいいのか。
わたしはグレーな状態を許容できず、よくないとわかっていても当時は躍起になってインターネットやSNSで似た症状を調べることがやめられなかった。
これは、やめたほうがいい。ネットで調べるのはせいぜい何科に行けばいいか。病院に行って診断が確定した後だったら同士から発信される生活改善のアドバイスなどそのくらいにしたほうがいい。
症状を調べ続けることは深みにはまるとやめられなくって、余計落ち込んだり、誤った情報を得てしまうこともある。
そして体調のことに関して悩むのは一週間まで。一週間続いたら病院に行く(あくまで私個人の目安です)そうしたらあとはもうクヨクヨ悩まない。素人が1人で調べたって悩んだって正解は雲のなか。掴めやしないのだから。
病院に関する用事ごとが憂鬱だった私は、ことあるごとに“ご褒美〟を設定した。ご褒美というよりかはパン食い競争のように、ゴールにする目標設定みたいなイメージだ。特別なクッキーサンド、期間限定のアイス、病院の近くで見つけておいた飲食店。

ぶら下がりにんじんがなくちゃ憂鬱を乗り越えられないし、ご褒美があればうーし、じゃあいっちょ行ってくるか!という気にもなる。
病院=嫌なタスクという目的から、病院=欲しいものが手に入る通過点という設定に変えたのだ。怖くて不安な場所にあることは変わりはないけれど、気のもち方が変わった気がした。
このあたりから少しつづポジティブな気持ちが芽生えてきたのがいい契機だった。

調べることがやめられないんだったらそのツールを携帯じゃなく本に変えたらどうなのか?ということで、図書館の医学書コーナーを見ていたら、お堅い本だけではなく、キャッチーな切り口や、生活や食改善などに注目している本もあるではないか。
世の中にはこんなにもとっつきやすい医学や身体の本があるのかと驚いた。
もともと興味関心の幅が広く、本を読むことが好きな私には最適解だったようで、それからはいろいろな本を借りたり、買ったりして読み漁っている。
身体の仕組みを知ることで、体調不良=ただ怖いことというイメージは少し払拭され、この歳になって今まで自分の身体のことを知ってこなかったんだなと思い知らされた。
君ら(身体)だって話したいことはあるし、辛いこともあるよね。今まで強く当たったり、恨もうとしてごめんって今なら思えた。毎日プレッシャーを与えてごめんよ。そりゃ君らだってビビっちゃうよな。
私はよく、こんなに技術が進化しているなら、体がスケルトンで見えるようになって一度に不調の原因がわかればいいのに!とか臓器と喋れればいいのに!とか思ってしまうのだけど、体調不良は体からのノック(声かけや意思表示)なのだと思うようになった。
体は敵ではない、自分の一部なのだと。そして彼らにももしかしたら感情があって自分の性格と似てたとしたら……?とか考えると少しクスッと笑えて愛着がもてたりする。
ただ、今でも思うのが、病院に行く手前の場所として、もっと気軽に身体の悩み事が話せる場所があればいいのにと思う。
月額料を払えばネット上で医師に質問を投げかけられるというサービスもあるが、できれば文章のやり取りではなく対面で話したい。
こういう場所があれば延々と調べものをしたり日々の状態を見て躍起にならなくていいし、病院へ行くハードルが低くなる気がする。
まあ所詮は素人の呟きごと。むずかしいのはわかってはいるし、病院がそういうところだと言われればそれまでなんですけどね。でも病院って混んでいたり、話すというより診る場所で、とてもじゃないけど余談みたいなのは話せる雰囲気ではないなあと感じたりもする。
ただ私は、日々の身体の不安や病気未満の状態と付き合うのが一時期本当につらかったので、そう言う場所があったら救われるなあという希望です。
話は戻りまして、ある程度興味のある身体の本を読み漁ったあとに読んだのが、身体の不調を食生活からアプローチするもの。
特に気に入ったのは、「暮らしの図鑑 薬膳」「お茶で簡単 飲む薬膳(食材一つ足すだけ)」「天然生活 2024年10月号 私が整う夜時間特集」の3冊。
薬膳というとやれ漢方だなんだととっつきにくいイメージをもつ人もいるかもしれないが、「暮らしの図鑑 薬膳」は季節に合わせて取り入れたほうがいい食材や、野菜やお肉などの栄養や効能を教えてくれる本だ。かわいいカラーイラスト付きで分かりやすいのもうれしい。
もともと食べることが好きなのもあるけれど、自分の食べているものにはどんな栄養があるのかを知ることで、気軽に、またポジティブに自分の身体と向き合うことができた。
献立の参考にもなるし、出先で体調が優れない時のコンビニやカフェでの食事を選ぶ基準として、これ買って食べとこ〜という思考がもてるようになった。
「お茶で簡単 飲む薬膳(食材一つ足すだけ)」も同じで、普段私たちが飲む緑茶やほうじ茶などのお茶の効能や、ちょい足しにおすすめのものなど(黒豆やシナモンを振るなど手間いらずなものが多い)を紹介してくれている。
今は多種多様な飲み物が身近な食品販売店などで手に入る時代。飲み物なら生活に取り入れるハードルが低く、気軽に始められそうだ。
「天然生活 2024年10月号 私が整う夜時間特集」天然生活は暮らしの知恵や考え方にフォーカスしている記事が好きで読むことが多かったのだけど、10月号の「ぐっすり眠れる寝落ちヨガ」の特集が良かった。
こういうストレッチの類っていくつも工程があったり、頭を使うような難しいポーズのものが入るとやるのを諦めがちだけど、この特集で紹介されているヨガはほどんどが1〜2ポーズ。
しかも簡単な動作ばかり。「疲労回復」「ストレス解消」などの大きな括りの中でも、ここにも効くよ〜という箇所なども書いてあってやるのが楽しい。
専門の本を読むのはハードルが高いよって人は雑誌から入るのがいいかもしれない。THE健康雑誌みたいなものは私も読んだことはないけれど、「天然生活」「anan」あたりはたまに身体関連の特集をしてくれているのでチェックして見てもいいかもしれない。

不安に苛まれそうな夜はcalmのコーディアルシロップをお湯に溶かして飲んだり、余計なことは考えぬよう薄暗くした部屋で好きなテレビ番組などを見ていた。
思考がマイナス寄りになりそうな時は、身体関連の本を読み、必要な箇所をいつでも見返せるように紙のノートに書き写した。
他にも出先でのおやつは体にいいものを食べようと思い、長野のアンテナショップでりんごチップスを買ったりした(本でりんごの効能を読んだばかり)
周りの人に今の不安を愚痴や世間話程度に話したりしたのも良かったのかもしれない。重く抱えているものを人に話すことで分散させたり、口に出すことで新たな思考に気がつけたりもする。
身体の不調とは向き合わなければいけないし、対処もしなければいけない。それを負担に思う日もあるけれど、ある程度向き合ったら一旦手放したり、向き合い方をポジティブに変えてみたり、角度を変えてみるとなんとなく付き合い方がわかったように思う。
きっと年を重ねるたび、こんなことが増えてゆくのだろう。その度に少し慣れたように、でも不安になるのだろうか。それともガハハと笑い飛ばせていたりするようになっていたりするのだろうか。
とりあえず今、こんな自分と等身大で付き合っていけるように、日々しなやかに、朗らかに生活をしていきたい。がんばろう、じぶん。

いいなと思ったら応援しよう!
