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ラファエロの生家を訪ねて
イタリアのマルケ州ウルビーノ(人口約1万5千人)は中世から公国として栄えていた都市国家で、小さな公国ですが、西洋美術史上とても大切な都市であり、なにより巨匠ラファエロが生まれ育った町としても有名です。
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ラファエロの生家は現在博物館になっていて、彼が生まれ育った当時の面影を偲ぶことができるようになっています。
ウルビーノは坂の町なので(これが散策には地味にキツい・・・)建物自体がその急な坂の流れに沿って建てられているのが非常に印象的。
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ラファエロの生家は思った以上に広くて立派でした。父ジョヴァンニ・サンティがウルビーノ宮廷の画家であり、弟子を数人抱えた工房の親方ということで、ある程度裕福な暮らしをしていたのだろうと家を見ながらあれこれと想像しました。
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広間には父ジョヴァンニの作品が展示されており、ラファエロは子供の頃からこうして父の作品に触れながら成長していったのでしょう。優しい表情の表現は父譲りのようです。
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素敵なパティオも印象的でした。そこに当時の井戸が残っていて、ここで幼いラファエロは遊んでいたに違いないと思うと感慨深いものがあります。
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ラファエロの生家には、おそらく当時の一般的な家庭で使用されていた調度品(質素なカッソーネや燭台、ガラスのコップなど)の展示もありましたが、一番重要なものがパティオの隅に設置されたガラスケースの中に収まっていました。
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この朽ちた15世紀頃の棒は、工房で実際に使用されていたものらしく、鉱物を砕いて粉にして絵具を作るための道具です。
全て手作業であの美しい色を作り、ものすごい労力と時間が費やされて、あの素晴らしい絵画が生まれたんだなぁという当たり前のことを、この使い込まれて朽ちた棒の前で改めて思ったのでした。
そして、ラファエロの生家での一番の目玉はこれ。
彼がまさに生まれたというその部屋に残っている素朴なフレスコ画です。
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これまでは父ジョヴァンニの作品で、ラファエロ誕生の喜びを描いたのではないかと思われていたようですが、現在ではまだ幼いラファエロが、絵心が動いた際に描いたのではないかと言われています。
拙い感じが残りながらも、この聖母の柔和で優美な感じが後のラファエロにも繋がるような気がしました。色も構成も素朴ながら静謐でとても素敵な作品です。
ウルビーノには国立マルケ美術館もあって、ここがまたすごく良かったです。ピエロ・デッラ・フランチェスカ、パオロ・ウチェッロ、フェデリーコ・モンテフェルトロの書斎、そしてラファエロの『La Muta/無口な女』の肖像画など見どころもいっぱいでした。
国立マルケ美術館については、別に書いていますので、よろしかったらこちらもご覧ください。