空想と現実の狭間
私たちの周りにあるものは全て現実とのつながりを持っている。
でも私たち自身は、ただ存在するだけでは空想の世界の産物である。
何にも触れず、周囲との関係を遮断すれば、私たちは空想の世界の中で生き続けることができる。
だけど、私たちはそれを選ばない。
現実の世界と触れ合うことを選ぶ。
そうやって私たちは少しずつ大人になってきたはずだ。
そして自分が空想の世界の住人であったことをすっかり忘れてしまう。
空想の世界を持ち続けているはずなのに、自分は現実の中を生きていると勘違いしてしまうのだ。
私たちは自分の空想を現実に近づけることでこの「勘違い」を維持させている。
ところが、この勘違いはふとした瞬間に壊れてしまう。
それは「現実に近づいていたはずの空想」が目の前の現実に裏切られた瞬間である。
保っていた空想が目の前の現実に壊されれば、私たちは自分を保つことができなくなってしまう。
なんとかして空想を練り直し、目の前の現実に合わせる作業が途端に始まるのだ。
私は、つぎはぎだらけの空想の中で今も生きている。