夜の女王のアリア
『夜の女王のアリア』
『夜の女王のアリア』は、モーツァルト作曲の
オペラ『魔笛』(DIE ZAUBERFLOTE) の中で
最も有名なアリアのひとつである。
このアリアは、夜の女王が自身の娘パミーナに
復讐のために敵であるザラストロを殺す様にと
命じる場面で歌われている曲となる。
この曲はその劇的な歌詞の内容だけではなく
技術的に非常に難易度の高いソプラノの音域で
有名なものである。
そのドイツ語の歌詞の原文を下に示す。
Der Hölle Rache kocht in meinem Herzen,
Tod und Verzweiflung flammet um mich her!
Fühlt nicht durch dich Sarastro Todesschmerzen,
So bist du meine Tochter nimmermehr.
Verstossen sei auf ewig,
Verlassen sei auf ewig,
Zertrümmert sei'n auf ewig
Alle Bande der Natur
Wenn nicht durch dich Sarastro wird erblassen!
Hört, Rachegötter, hört der Mutter Schwur!
この歌詞を和訳してみよう
地獄の怒りが私の胸に煮えたぎる
死と絶望が私を取り巻いて燃え上がる!
もしお前がザラストロに死の苦しみを与えねば
お前はもはや私の娘ではない。
永久に見捨てられ、
永久に捨てられ、
永久に砕かれるであろう
すべての自然の絆が
もしお前がザラストロを死なせなければ!
聞け、復讐の神々よ、母の誓いを聞け!
この『夜の女王のアリア』は、モーツァルトが
1791年に作曲したオペラ『魔笛』の第2幕
で登場する重要なシーンとなる。
『魔笛』はドイツ語で書かれたジングシュピール
(歌とセリフが交互に現れる形式のオペラ)で
啓蒙時代の理想やフリーメイソンの象徴主義が
色濃く反映されているもの。
オペラのストーリーで、夜の女王は悪役として
描かれており、彼女は娘パミーナがザラストロ
(物語の知恵の象徴)に捕らえられたものだと
思い込み、激しい怒りを抱く。夜の女王はこの
アリアで復讐の誓いを歌い、娘に脅迫的命令を
与える。彼女が娘のパミーナに「ザラストロを
殺さなければ、お前は私の娘ではない」と迫る
事で、母と娘の絆さえも引き裂かれる覚悟を示す
恐ろしい内容となっているもの。
このアリアは、前述の通り技術的に非常に難しい
高音域が特徴である。ソプラノ歌手は、四小節に
わたる高音のF6という非常に高い音を出す必要
があるもので、これによりこの曲はソプラノ歌手
にとって大変な挑戦曲とされている。旋律は非常
に力強く、夜の女王の怒りや復讐心が音楽を通じ
感じられるように作られている。モーツァルトと
呼ばれる天才がソプラノ歌手としての実力を問う
挑戦状とも云える曲であるのだ。
『魔笛』は、善と悪、光と闇、それぞれの対比が
重要なテーマとなっており、このアリアもまた、
その中心的なシーンの一つである。夜の女王は闇
の象徴であり、ザラストロは光や知恵の象徴。
このアリアでは、夜の女王の力と復讐心が頂点に
達するのだが、物語のクライマックスに於いては
結局ザラストロが勝利し、夜の女王の計画は挫折
してしまう。
このアリアが象徴するものは、単なる復讐の場面
としてだけではなく、人間の心に潜む怒りや絶望
そしてその力強さの象徴とも解釈される。また、
音楽的にも心理的にも、圧倒的な影響を与える
シーンとして、多くの人々の心に残る名曲である。
CDの棚整理をしていたらば、モーツァルトが
10枚以上もあったのだが、数多くの曲の中で
このブログ内で何か一曲を紹介するとしたなら
何にするだろうと思い立って、今回私が選んだ
のがこの曲である。
この高難易度の曲を、日本人である田中彩子が
その歌唱力で見事に歌う姿も圧巻である。
クラシックを中心に、また記事を掲載しようと
考えている。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
#WOLFGANGAMADEUSMOZART
#ウルフガングアマデウスモーツァルト
#MOZART
#モーツァルト
#田中彩子
#タナカアヤコ
#魔笛
#DIEZAUBERFLOTE
#夜の女王のアリア
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?