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西洋蒲公英
「こんな日常的なお花はつまらん!」と
思われる方々もおられるかも知れないが
この植物には驚くべき秘密が隠されている。
洋名 ダンデライオン、DANDELIONは
フランス語でのDENT DE LIONが語源。
デントは歯の意味、ライオンはそのままで
タンポポの花弁のカタチから来ている。
子供の頃、タンポポを私も摘んだ事は誰もが
経験があると思うが、この茎はストロー状に
中が空洞となっている。そしてその端面から
乳白色のベタベタした液が流れ出てきて手を
汚した事があると思う。
このタンポポの秘密はこの空洞状になった茎
と、乳白色の液に秘密が隠されている。
他の植物類は、茎の部分から葉が生えるのが
タンポポの葉は根元に生えている。タンポポ
がもしも茎から何本も葉が出るタイプの植物
ならば、そんな葉を支える為には茎がもしも
空洞だったなら支えきれない。茎が空洞構造
である為に、タンポポの葉は地面に広がった
形で生えているのである。
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春のまだ寒さの残る早い時期に咲くタンポポ
を見て地面から花が咲いているのかと思う程
低い位置に咲いている姿を良く見かける。
これはタンポポは出来るだけエネルギーとか
労力のムダを省いて生きる植物だからであり
他の植物が生え始めるとそれに合わせて花の
位置を高く伸ばしていく。
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タンポポは花を咲かせた後に、それが終わる
と一旦、この茎部分が倒伏する。あの乳白色
の汁は実はラテックス成分であり空洞の部分
ではなく茎の周辺部に浸透しているもので、
液の浸透コントロールで倒伏する。
そして綿毛に覆われた種が形成されると再び
タンポポの茎は起立する。ただ、起立するの
だけではなくて開花の時より茎の長さを上へ
伸ばすのである。より遠くへ種を飛ばす為の
広範囲への種子拡散の為のタンポポが持った
メカニズムな訳である。
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植物にとり、その個体の一生はとても短い。
その最大の目的は子孫を残す事である。
動物界でも命を繋ぐ生殖のメカニズムがあり
次の命へと繋ぐ。哺乳類の雄が交尾の際には
陰茎に血液が集まり交尾を果たすのもまた、
子孫を残す為の生き物のメカニズム。植物に
とっても動物界にとっても、次の命を紡いで
いく為、組み込まれた大切なメカニズムな訳
である。
タンポポと言えば、漫画ドラえもんの数ある
エピソードの中で最も人気のあるタンポポの
お話、これは本当に素敵なお話。
昨年飼っていたカブトムシゲージの中の土に
タンポポが咲いているのを見つけたのび太は
それを捨てに行こうとするのをドラえもんが
制して、ファンタグラスなるアイテムを渡す。
のび太がそれを装着してタンポポを見てみる
と捨てられる事への悲しさに涙を流している。
のび太はそれを見て可哀想に思いタンポポを
最後まで育て綿毛が空へ舞い上がってくのを
見守るという心温まるエピソードとなる。
自然への慈愛のお話で私はこのエピソードは
子供の情操教育にも良い話だと思っている。
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私は雑草や小さな虫達にも命があって、それ
を無意味な殺傷はしない事を心掛けている。
花の写真を撮る時にも足元に咲いてる雑草と
される花や虫類を踏まない様にも心掛けてて
この同じ世界に生を受けた生き物への私なり
の配慮なのである。