篠山中菊 丹波城跡に異彩放つ菊に出会う
レンタサイクルを借りて、丹波篠山の街中を
ぶらぶらと走り回る中で、今回出会ったのが
『篠山中菊』というもの。篠山城跡三の丸広場
で『菊花展』開催中で、私は自転車を停める。
なるほど、菊の花展である。華道未生流展で
菊の花を何点かを見て、そろそろこの植物も
本格的に取り上げ掲載していく頃合いがきた
なと思っていた矢先のことである。電子植物
図鑑を目指す中、菊を本格的にやって行こう
と考えていたのである。
会場内で『宜しければ菊、解説しますよ』と
声を掛けられる。およそ菊花とは真逆世界の
住人の様な屈強なラガーマン風の男性からの
お声掛けがあり、有り難く解説して貰う事に
なる。会場とは言え屋外のオープンスペース
で青空の下での楽しい解説である。
『菊の花というと敬遠されがちなイメージが
あって…』と切り出される。確かに菊花には
仏花や献花のイメージが強いため、それ故に
贈る花には適さないと考えられる花である。
『残念ながら、まだ開花が始まったばかりの
ものが多くて』といわれる通り、あと１０日
遅ければ飾られている雛壇式の菊花の展示も
見頃になるのだそうである。
そんな中で私の目を惹いた菊の花は『緋ノ袴』
（ヒノバカマ）という花である。ダリアだよと
説明されたら、そうかとと思う様な美しい花
で、これだけが満開だったので撮影した。
丹波篠山といえば、『黒豆、栗、猪、牛、米』
が丹波篠山ブランドとして、日本国内全域に
そのブランドは知れ渡っているもの。今回の
菊もまた、丹波篠山ブランドだと教わる。
『篠山中菊』（ササヤマチュウギク）、この
菊は、他に『お苗菊』（オナエギク）の名称
でも呼ばれている丹波篠山のブランド菊。
この名称の菊は、旧篠山藩主の青山忠良公が
天保１弘化の頃（１８４０年頃）に幕府から
拝領し、家臣達に賜与したと伝えられている
『芸菊』（ゲイギク）や『舞菊』（マイギク）
と呼ばれた中菊のことを指す。
長く門外来出とされ、篠山附近にて培養賞翫
（バイヨウショウガン）されてきた菊となる。
その特徴は、咲き開いた花弁が花芯に向かい
折れ抱えたり、裏を見せて巻き上がったりを
して日々変化するという妙味（ミョウミ）を
覚せる、誠に雅味豊か（ガミユタカ）な品種
である。ここら辺の表現は看板の表記からの
引用で言い回しが素敵だったので流用しての
解説となる。
昭和初期、その一部が宮内省へと献納されて
『篠山中菊』と命名され『新宿御苑』に異彩
を放ったともいわれる。
戦時中には残念ながら多くの品種が絶えたが
愛育家により１６０年以上の伝統を受け継ぎ
篠山地方特有の菊として今もその美を残した
種類は２１種となっている。
緋ノ袴は、その２１の中のひとつである。
なるほどこれは美しい菊花だと思う。
花弁が踊っている様に見え、これが『舞菊』
と呼ばれる所以なのだろう。そして緋色の
深い色がとても良い。
そして、このお苗菊花壇の作法についても
教わった。『篠作七本仕立花壇』の作法は
一鉢辺り苗が一本で分岐しての七本に支柱
を使って仕上げる事、菊花は前面を向かせ
前列から後列に草丈は高く仕上げる。鉢毎
に最前列が９０ｃｍ以上、最後尾が１３０
ｃｍ以下とし、支柱は菊花より上部へは
出ないものとする。色配色は五色を基本に
花が『赤・白・紫・黄』、葉が『青（緑）』
とし、これはお寺などの幕色と同じ配色で
邪気払い、高貴、長寿、などの意味からの
ものとされる。
実際に、天皇、皇室などの紋には菊花紋が
使われているのも、それゆえである。
丹波篠山の菊花も含め、色々と踏み込んで
リポートをしていこうと思う。
和名 菊 （キク）
洋名 クリサンセマム
（CHRYSANTHEMUM）
マム （MUM）
学名 クリサンセマム
（CHRYSANTHEMUM）
銘柄 お苗菊 （オナエギク）
篠山中菊 （ササヤマチュウギク）
品種 緋ノ袴 （ヒノハカマ）
分類 キク目、キク科、キク属
種類 多年生草本
草丈 ９０〜１３０ｃｍ
開花 夏菊 ４〜６月
夏秋菊 ７〜９月
秋菊 １０〜１１月 ← この品種
寒菊 １２〜２月
花色 紅紫色
花径 １０〜１５ｃｍ
原産 日本
言葉 信頼
高貴
高潔
高尚
撮影 丹波篠山、篠山城跡『菊花展』会場
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お苗菊 パンフレット
篠作七本仕立花壇
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