【毎週ショートショートnote】裏お題:蕎麦でも気球は浮かんでる(476文字)
俺は、広告代理店に勤めていたが、脱サラして蕎麦屋を開店した。
近くに同じく蕎麦屋が開店した。なんでも主人は元金融商社に勤めていたそうで、俺と同じく脱サラ組だ。
<味は同じ、負けたくない>
俺は元広告代理店の知識を駆使し宣伝に力を入れた。
①キャッチ―な店名
「きみの蕎麦にいるね」
②駅前でのビラの大量配布
③ネットを利用
⇒知り合いにお願いして食べログの評価を上げまくり拡散した
ありとあらゆる手を使ったが、隣の蕎麦屋では、出前のバイクがひっきりなしに出入りして、客の行列ができている
焦った俺は、莫大な費用を使い気球を使った宣伝をする
ー結局、広告費を回収できずに俺の店は潰れたー
<隣の元金融商社の蕎麦屋の主人は、潰れた店の前で呟いた>
私は店名を書いた出前のバイクを何回も走らせたが、実は中身は空っぽだったのだ。
何回も出前を見た近所の人は『あの蕎麦屋は商売繁盛をしている店だから、一度食べてみたい』と思うだろう。そうしているうちに本物になった。
景気は単なる経済指標だけではない。「景気」という言葉の「気」は、「気分」の「気」と同じように、人々の心理状態を表している。