【毎週ショートショートnote】お題:「だいたいニャー」理想の上司
本社から天下りの上司が来た。
うちの会社ではよくあることだが、今回の上司は今までと全く違っていた。
何が違うと言えば、根本的に違っている。
正真正銘の猫なのだ
全身はモフモフした毛が生えており、猫耳と長い尻尾と髭がある。ネクタイの首輪と社員証をぶら下げていなければ区別が付かない。
<猫上司は仕事が速い>
「すみません。見積書の承認印を下さい」
ー猫上司は毛づくろいに夢中になっているー
そんな時は、常備している猫じゃらしを使い気を引いてみる
「にゃにゃ! ニャにか 用かにゃ?」
「承認印をお願いします」
ー猫上司は高速で肉球ハンコを押していくー
<猫上司は昭和気質で喜怒哀楽が激しい>
機嫌の良い時はゴロゴロと喉を鳴らして、部下の膝の上に丸まってくる
どうやら、撫でるのはOKらしい。
しかし、怒った時は厳しい。
「だいたいニャー にゃんでこんなことも」
「わからにゃいんだ!シャー!」
そこから、高速の猫パンチを繰り出してくる(爪は出さない)
一時期、会社のコンプライアンスに反するのではないか?との意見が出たが、9割以上の社員は「怒られてるのに癒される」「上司に餌をあげるために会社に来ている」と答えていた。
上司は猫で、勤務時間の半分は寝ているが、社内で不毛ないざこざは無くなった。会社はうまく回っている。