毎週ショートショートnote〜放課後ランプ(475文字)
「今日は学校に行くって約束したじゃない!」
私は中学で不登校になった。はっきりとした理由ない。
学校が嫌いと言うより人が怖いのだ。
あの教室の空気を吸うと足が震えてくる
<将来、生きていけない?>
お前は猛獣の檻の中にその理由で入れるのか?
今の命の話だろうが
私は頑なにベットから出て行かなかった。
薄暗くなった頃、母親が
「もういいから、学校の前まで行ってみようよ」
もう学校は終わっている
母の車で学校の前に連れていかされた。
電気の消えた校舎の中で、私の教室だけ薄明かりが灯っていた。
「何だろう?ねぇ行ってみない?」
「はい。わかりました。いつでも待ってます」
私は特別養護学級の先生になっていた。
いくら水を注いでも、あの子達の心のコップには穴が開いている。
その穴は自分でしか塞げない。
コップに水が満ち溢れないと、何も変わらない
私はあの日、恐怖で泣き叫び教室に入れなかった。
そして卒業するまで学校に行かなかった。
いつコップから水が溢れ出すのかわからない
無駄だと思っても、水を注ぎ続けるしかないのだ
暗闇の中に一筋の光を灯すだけでいい
あの時の「放課後ランプ」のように
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