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発信者情報開示命令手続の機能不全?
以前、発信者情報開示命令が始まった頃、下記の記事を書いた。
(基本的な話)発信者情報開示命令申立てを検討する場合のメモ①
(基本的な話)発信者情報開示命令申立てを検討する場合のメモ②
その後、発信者情報開示命令は弁護士・裁判所の絶え間ない工夫により、訴訟を提起するしかない時代よりも、はるかに使い勝手が上がっているのは事実である。
(IPアドレスを入手した後に発信者情報開示請求訴訟を提起してい
訴訟費用額確定処分のTIPS
弁護士が依頼者からよく聞かれる質問第6位くらいに「訴訟して、弁護士費用を相手に負担させることはできますか?」というものがある(第1位から第5位は各自で決めてほしい)。
多くの弁護士は弁護士費用を敗訴者負担とする制度が日本にはないことを説明した上で、「でも訴状には「訴訟費用は被告の負担とする。」って書いてありますよ?」と問われると、「一応、訴訟費用についてはそうやって書くんですけど、これには弁護士
(基本的な話)発信者情報開示命令申立てを検討する場合のメモ②
※令和5年4月29日改稿
※令和5年8月23日追記
新法が令和4年10月に施行され約7か月が経過する。
開示命令制度によって、今まで発信者情報開示請求訴訟によって行っていた作業がだいぶ短縮されたため、投稿者の特定までの日数がかなり短くなった例も多い。
もっとも、代理人目線では、正直なところ業務負担はあまり軽減されておらず(作業量は従前と変わらず、回転量だけが上がっているというのが率直な感想であ
(基本的な話)発信者情報開示命令申立てを検討する場合のメモ①
新法に基づく発信者情報開示で利用可能な条文は以下の3つであり、おおまかな訴訟物は3つ考えられる。
①法5条1項に基づく「特定発信者情報以外の発信者情報」の開示請求
②法5条1項に基づく「特定発信者情報」の開示請求
③法5条2項に基づく「侵害関連通信に係る発信者情報」の開示請求
Q1.「特定発信者情報」とは何か?
A1.施行規則2条9号から13号に掲げる情報だが、条文が難解すぎるので、ひとま
プロ責法改正による地殻変動についての覚書―Twitter社に対する開示請求/開示命令を念頭に―
※開示請求を行う立場からの検討になる。なお、令和4年9月29日時点における予想のため、実務の進行がどのようになるかは現状不明である。
改正プロバイダ責任制限法が本年10月1日から施行される。
条文の適用関係や、想定されている制度運用については、NBL No.1226「発信者情報開示命令事件に関する裁判手続の運用について」等が詳しいが、それらの論稿を読んでも解決しない疑問点を以下に示しておく。
「「死ねばいいのに」という投稿では発信者情報開示が認められない」、とは言えないよというお話
1.はじめに令和3年6月某日、『100日後に死ぬワニ』の作者を原告とする発信者情報開示についての判決が出された。当該判決は、令和2年4月15日の「(作者)も一緒に死ねばいいのに」というツイッター上の投稿に関し、経由プロバイダが発信者の情報を開示すべきか否かを判断したものである。
なお、ツイッターに対する発信者情報開示は、
①Twitter社への仮処分(債権者:侵害を受けたと主張する者、債務者:
敷金・修繕費に関する覚書
最近、敷金返還請求の裁判例を読んでいるので、自分の勉強メモとして残しておく。ついでに、年度末で引越しが増えていると思われるので、だれかの役に立てばいいなとは思っている。
(なお、今働いている事務所では不動産関係の案件が一切ないため、このメモが業務上で日の目を見る機会はおそらくない。)
【最高裁平成17年12月16日第二小法廷判決の存在】
建物の通常損耗は、原則貸主の負担である。借主が負担するの