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動画クリエイターが思う映画の特徴

 皆さんこんにちは!
 Effic編集部通称ワタクシです!

 皆さま、映画は好きでしょうか?ワタクシも結構映画が好きな方です。 
 今回はそんな映画好きな方必見の「映画における撮り方・色使いの特徴」についてご紹介したいと思います!

映画における撮り方

 撮影の前段階は概ねこちらの記事に書いているようなことを行います。要は、
・企画をする
・構成を作成する
・絵コンテを作成する
・出演する人を決める(キャスティング)
・撮影場所を決める
 などです。
 本項では、撮影時における特徴をお話したいと思います!

 まず、一番特徴的な点はfps(frame rate per second)が挙げられます。ゲームが好きな方は馴染みがある単語かもしれませんね。その名の通り、1秒間に何枚の画像が連なって動画となっているか、を表します。日本国内で一般的に用いられるfpsは「24、30、60、120」となり、それぞれ特徴があります。正確に言うと、「23.976、29.97、59.94」といった半端な数字のfpsも有りますが、ここでは分かりやすく整数のものでお話します。よく私たちが観るテレビ番組のほとんどは30fpsが採用されています。つまり「1秒間に30枚の画像が連なった動画」を私たちは観ている、ということですね。ちなみに、スポーツなど動きが激しいものは60fpsが使われることがほとんどです。何故その数字なのか、という背景をご説明するとそれだけで記事が1本書けてしまうので、それはまた別の機会にするとして…「ふーん」くらいに考えておいていただけると幸いです!
 さて、映画では、24fpsが採用されているケースがほとんどです。つまり「1秒間に24枚の画像が連なった動画」です。もしiPhoneを持っていらっしゃるようであれば、カメラの設定画面を見ると、このような表示がされると思います。

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 ちょっと下の方にスクロールすると、

IMG_4586F76F3260-1のコピー

 このようなことが書いてあります(iPhoneは親切ですね…)。
 24fpsを使うと何が良いのか、というと、
・若干カクカクしたような雰囲気を出せる
・残像感を出せる
 といった点が挙げられます。「何故映画で24fpsが用いられているのか」という点についてはまた別の記事でご紹介したいなと思います!ちなみにワタクシは、仕事で撮影するときには30fps(もしくは60fps)、自分の作品を制作するときや趣味で撮るときには24fps(もしくは60fpsか120fps)で撮影することが多いです。
 『撮り方』という枠で考えると、撮影機材や構図、カット割り、カメラワークなども大きな要素となります。
 構図の種類は枚挙に遑(いとま)がないのでここでは詳しくご説明しませんが、写真を撮ったときに「なんか不安定で不安な印象を受けるな」であるとか「水平垂直が保たれていてピシッとした印象を受けるな」という印象を受けたり感じたりされることも多いと思います。こういった構図から感じる印象を動画の中に盛り込むことで視聴者に効果的に印象付けを行うテクニックもよく用いられます。言葉で説明するより、実際に動画を観た方が分かりやすいかもしれませんので、この記事の後半で改めて触れたいと思います!

映画における色使いの特徴

 ホラーが好きな人、ラブストーリーが好きな人、SFが好きな人、様々いらっしゃるかと思いますが、最近の映画における色使いの特徴は「オレンジと青を多用する」と言って過言ではありません。映画を観ていて「なんかオレンジっぽいな〜」であるとか「なんか青っぽいな〜」と感じられたことも多いのではないでしょうか?
 その感覚は間違いではなく、Gigazineが行った調査によると映画データベースのNumbersで公開されている映画の予告編を分析したところ、オレンジと青の配色が多く使われている、とのことでした。

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出典:Gigazine「なぜ映画にはオレンジとブルーが多用されているのか?」、(https://gigazine.net/news/20150508-film-orange-blue/ 最終閲覧日:2021年05月18日閲覧)
 専門用語では『ティール&オレンジ』と呼びますが、最近のトレンドとして人間の肌を際立たせ、補色関係にある青を動画の中に入れ込む、といった方法はよく用いられるテクニックの1つです。

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 では「何故オレンジと青を同時に入れ込むのか?」というと、『コントラスト』が動画(写真も)の絵作りに影響を与える大きな要素だからです。つまり「明るいところは明るく、暗いところは暗く」ということですね。日本のドラマの多くがのっぺりした印象を受ける理由は「コントラストが上手く取れていない」のも要因の1つです。
 映画ではないですが、日本のドラマですとみんな大好き『半沢直樹』や『相棒』は観ていて色使いや光の使い方など、参考になる点が多くあると感じます。下の動画は『半沢直樹』最終回のCMで、

この動画の26秒付近、主演の堺雅人さんの右側部分から光が入って左側が影となっています。横側から光を当てることによって明暗をハッキリさせて、力強さや意思の固さといったところを演出しています。例えばこれが正面から光を当てて堺さんの顔が全部映っている状態であれば、全く違う印象になることは容易に想像できます。ちなみに、真横から光を当てて思いっきり明暗を付けるライティング技法を『スプリットライティング』と呼んだりします。
 また、『相棒』のTELASAオリジナル配信話のCMでは、まさしく『ティール&オレンジ』な色使いをしています。


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出典:株式会社テレビ朝日「相棒19 配信オリジナル『杉下右京はここにいる』」、(https://www.tv-asahi.co.jp/aibou/spinoff/ 最終閲覧日:2021年05月18日閲覧)

 水谷豊さんの背景は恐らく実際は白色かそれに近しい色(ここまで青み掛かっていない色)かと思われるのですが、編集段階で背景の4人の肌の色を際立たせ、青色を差し込むことによって、コントラストを上手く活用しています。また、よく見ると水谷さんの左斜め後ろに影が入っています。恐らく、斜め上45°くらいから光を当てて影を出すことによって、立体感を出すための演出かと思いますが、光を上手く使っているな、と感じます。ただ、コントラストを付けすぎてしまうとそっちに目が行ってしまうため、(恐らくですが)水谷さんの左側にレフを立てて影部分を起こして、影が出過ぎないように調整した絵作りとなっています。ちなみに、このように影を出すように斜め上45°くらいの位置から光を当てるライティング技法を「レンブラントライティング」と呼んだりします。
 このように、色使いや影の使い方1つで印象が全く変わってきます。

まとめ

 ここまで見てきて、映画にはいろいろな要素が散りばめられていることは分かりましたが、では実際にどのように活用されているのでしょうか?
 例えば、下の動画は前回の記事でも出てきた『凪待ち』という映画の予告編です。

 0:04の箇所で主演の香取慎吾さんが斜めに映っていますね。この部分は「非常に不安定な印象」を視聴者に印象付けます。「この人の心は不安定な状況なのだろうか」「何か心に闇を抱えていそう」といった印象を受けます。
 0:25の箇所は(ワタクシの記憶が正しければ…)ストーリーの中で主人公がお金を盗むシーンです。これもただ封筒からお金を出すシーンを映すのではなく、鏡に映った姿も構図の中に入っています。『鏡』という存在はしばしば現実とは異なる倒錯した世界の象徴として、文学などでも登場します(*1)。「「盗む」という行為は非現実的で倒錯した行為である」というメタファーとして鏡の中に映る姿も映し、且つ顔を映さないことで「どんな感情で盗んでいるのか」という点を視聴者に想起させる効果を生み出しています。しかしながら、鏡に映った姿だけではなく、実像も構図の中に入っています。「「お金を盗む」という行為はいけないことだと分かっているのに、どうしても盗んでしまわないといけない。でも果たしてこの行為は本当に良い行為だと言えるのだろうか?」という主人公の内面の葛藤を上手く演出しているように感じます。加えて、構図に関しても、正確な三分割構図ではなく若干位置をずらしていて不安定な印象を視聴者に与えます。
 0:37の箇所は葬儀のシーンです。よく動画や写真で用いられる『肩越しショット』と呼ばれるテクニックですね。これも例えば、遺影を見る主人公を遠くから映していたら、印象は全く異なります。実際に遺影を見ているような錯覚を視聴者にさせることによって、物語の一員として視聴者を引き込ませる効果を出しています。また、肩〜首のあたりを暗くすることによって、主人公の心の闇を演出していますね。
 01:13〜01:15の箇所は周囲を回りながら撮影するテクニックを活用しています。2人で話している姿を臨場感溢れる形で演出しています。
 
 また、この動画はマーティン・スコセッシ監督の『沈黙-サイレンス-』(原作:遠藤周作「沈黙」)予告編です。

 この映画は、観賞後に友人と3時間程議論をした思い出深い映画なのですがまぁそれはいいとして…。
 0:32〜0:38の箇所は肩越しショットで話している人を中心に構図を作っています。演者の表情を映し危機感を煽らせながら、臨場感も出しています。
 01:20の箇所では人物を下から煽る形で撮影し、圧迫感を出す演出をしていますね。
 01:36の箇所は牢屋に入れられている人たちの絶望感をそのまま演出するために水平垂直の安定した構図を採用しており、表情が映し出す絶望感をダイレクトに表現しています。
 その他にも、今までにご紹介した演出技法が使われている箇所が散見されますね!
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 今回の記事はここまでです!
 「動画を作りたいけど、どうやったら良いのか分からない」という方は是非、Efficまでお問い合わせいただけたら嬉しいです!

 次回は「カメラとレンズの種類」というテーマでお送りします!
 今回の記事でもほんの少しだけ触れましたが、カメラとレンズの種類にはどのようなものがあるのか、どういったシーンで使用するのかなど、事例を交えてご紹介したいと思います!
 「こんな内容を読んでみたい!」というご要望がありましたら、コメント欄にお気軽にご投稿ください!
 本日もご覧いただき、ありがとうございました!

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*1 天理大学学報 第66巻第2号「月と鏡に関する東西考」,2015.02.26(最終閲覧日:2021年05月11日)
https://opac.tenri-u.ac.jp/opac/repository/metadata/3690/GKH023807.pdf

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