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#3「行動を起こす若者たち、子どもたち①」(テーマ:私たちは子どもの声を聞いているのか)

第3回オンライン勉強会では、日本と世界でアクションする若者の声を聴き、行動する姿を通して、私たちは行動を起こす若者の思いをどう受け止め、寄り添っていくことができるのか、教育者としてのあり方のヒントを探った良い時間となりました。

💚「行動」は不安の特効薬

私を救ったのは行動だった。環境問題に対してとても悲しんでいる息子の様子を見て、その深刻さに気づいた私は、”一緒にゴミ拾いをしよう”と誘ってみたのだ。すると彼は再び、明るく元気な子どもに戻った。行動こそ私にとって特効薬。今、若い人たちにのしかかっている大きな不安を、いくらかでも軽減できる唯一の方法は、行動することだ。」

(BS世界のドキュメンタリー「私は子どもを持つべきか?~気候危機世代のためらい~」より)


気候不安を感じ苦しむ息子さんに対して、一緒にゴミ拾いをすることで前向きになれた活動家セヴァン・スズキさんの言葉です。

気候危機時代を迎え、未来を予想しにくい現代に生きる私たちだからこそ、セヴァンさんが息子さんにそうしたように、大人がまず行動する姿を示し、若者とともに未来を歩んでいく。特に、教育者はその姿勢を率先して見せていくべき役割があります。

💚日本の若者の社会参加に対する意識

〈引用:日本財団18際意識調査結果 第62回テーマ「国や社会に対する意識(6カ国調査)」(2024)〉

「行動」こそが特効薬である一方で、懸念すべき点は、自分の行動が国と社会を変えることができると希望をもつ若者が、日本では比較的少ないということです。

自分には社会を変える力があることを信じて、前向きに行動を起こせる人を育てるためにも、教育の担う役割は大きいです。


💚行動する若者たち

そんな日本の環境下でも行動を起こす子どもたち、学生たちはどんどん増えているように思います。今回の勉強会の参加者から、身の回りで行動する若者・子どもたちの事例をたくさんシェアしてもらいました。

🌱日本で活動する小学生のアクション
・ 東京都練馬区在住の小学3年生(2022年当時)が、給食の牛乳パックのストローの廃止を求めるオンライン署名を立ち上げました。その結果、3万人以上の署名が集まり、練馬区長と練馬教育長に提出することができました。

・神奈川県横浜市の市立小学校に通う小学生5名が、給食牛乳のストローレス化を求め、市役所に要望書を提出しました。その結果、2023年度から従来使用されていたプラスチックストローが廃止されました。

・神奈川県横浜市の小学生は、映画「マイクロプラスチック・ストーリー~ぼくらが作る2050年~」を見たことをきっかけに、マイクロプラスチック問題に関心を寄せ、彼らが中心となり環境保護団体マイクロプラスチック・ゼロ・コミュニティ welc0meを立ち上げました。

・上記の映画に影響を受けた子どもは少なくありません。子どもの環境活動チーム Save the clean earthは、”子どもでも声をあげれば未来を変えられる」という信念のもと、マイクロプラスチック・ストーリーのオンライン上映会やクリーン活動、イベントなどを開催しています。

横浜インターナショナルスクールRoots and Shootsのプログラムでは、生徒自身が身近な課題を見つけ、ミーティングを重ねながら、自分たちにできるアクションを考え、実際に行動に移します。

SAVE THE CLEAN WATER JAPANは、水と海を綺麗に保つために学生が運営する一般社団法人です。様々な海でビーチクリーンアクティビティを開催したり、地域と連携してウミガメを保護する活動を行ったりしています。

🌱海外で活動する若者アクション
Green Star Schoolsでは、子どもたちが主体となり、School Recycling and Environmental Education Program(学校リサイクル・環境教育プログラム)を基盤に、堆肥回収の導入、リサイクルの改善、廃棄物削減活動の推進を図っています。 (アメリカ、コロラド州)

Lafayette Elementary Schoolの子どもたちは、Students for Zero Waste Weekのキャンペーン期間中に、校内でゴミ監査を実施し、学内で最も多いゴミが何なのかを調べ、公表するアクションを行いました。 (アメリカ、カリフォルニア州)

・メラティ・ワイゼンとイザベル・ワイゼン姉妹によるの活動(インドネシア、バリ州)。「使い捨てレジ袋」の廃止を求める運動”Bye Bye Plastic Bags”を起こし、結果的に、バリ州において使い捨てプラスチックの使用を禁止する条例が発表されるに至りました。


💚大人も、大人こそ率先して行動すべき

 子どもたちが「行動」することで希望を見出しているような社会にすることを真剣に考えていきたいです。しかし、同時に忘れてはいけないことがあります。私たち教育者・大人達が目の前の気候危機回避に向けて行動することなく、子どもたち・若者達のアクションに過度に期待することは、私たちが子どもたちや学生たちのアクションについて考える時に、常に心に留めておく必要があります。

・子ども・若者の活動が注目される傾向に、私は違和感や危機感を覚えてきた。私達が本当に目を向けるべきなのは、少数の子ども・若者ががんばっていることではなく、多数の大人ががんばっていない現実ではないだろうか。(丸山, 2024, p.60)

・まず大人たちが問題に取り組み活動を始め、それが地域で展開していることにある。・・・大人たちに触発され、また大人たちの活動の成果が子どもたちへ教育資源として活用されて、地域と現実課題とのかかわりのなかで実践されている。(野田, 2024, p. 82)

〈教育科学研究会月刊誌「教育10月号」より引用〉


まずは、大人たち、子どもに向き合う教育者達が率先して行動すべきでしょう。そして、若者と共に行動するとともに、行動する若者をどうサポートしていくか考えていきたいです。



📣次回の勉強会のお知らせ
2024年12月20日(金)20:00~21:30
テーマ「私たちは子どもの声を聞いているのか〜行動を起こす学生と “教育” について話そう!〜」
参加希望の方はこちらよりお申し込みください。
引き続き皆様との学び合いを楽しみにしています。

(文責:髙橋絵理、小林悠)

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