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世界のかけ算で、世界はもっと面白くなる

一言日記をつけるなら、「いろんな文化を体験したなぁ!」。
24時間で、ワープでもしたようにいろいろな文化をあれこれ摂取してみた。そして、自分の“いつも”ではない場所にお邪魔してみるって必要だよねーと、今、じわじわ考えている。

文化というワードを、再起のわたしに投げたのは応援しているアーティストさんだった。彼は今、ジャパンエキスポでライブ出演などをするためにフランスに行っている。渡航前、フランスで楽しみにしていることに「文化を見られること」を挙げていた。なるほど、文化、ね。わたしの頭にはない視点だったこともあって、「文化」という言葉がその日からわたしの中をぐるぐるしている。


彼がフランスの文化に触れている真っ只中で、わたしも異文化に触れる機会を得た。東京ディズニーランドという国に入国してきたのだ。(ディズニー行くの、数億年ぶり。連れ出してくれてありがとう…!)

ファン心理について常日頃考えているわたしからすると、ディズニーも各種Dオタさんをつけている沼中の沼。大きな関心事のひとつであって、そういう視点できちんと履修してこなかったわたしはある時期、真剣にディズニー映画を立て続けに鑑賞するなどしたこともあった。

久しぶりに入国を許されたそこは、新しくなったことがいろいろあって、わたしが以前こまめに通っていた頃の場所でもなくなっていた。入ってすぐ、まずはカチューシャを身に付けてふざけよう!と、たくさんの中からお気に入りを見つけてレジに持ち込む。キャッシュレス対応とあったのでコード決済の画面を提示すると、「すみません、使えないんです」とお兄さん。聞くとそのレジだけでなく、国として導入していないとのこと。キャッシュレス決済の定義が、わたしの住む国とは違っていた。そうなのね、と、スマホをひっこめ、クレジットカードを提示する。いいとか悪いとかではない。文化の違う場所に踏み入れたのなら、そこにある形のないものを察知して、上手に泳ぐことが必要よね。別に「ディズニーで楽天ペイ使えなかった!!」という話をしたいわけじゃなかったけれど、謎の問いかけをしてしまったわたしに「そうなんです、国として対応していなくって…」と笑って対応してくれたレジのお兄さんの返しが秀逸すぎて、うっかり脇道にそれて書きすぎてしまった。さ、もとの道へ。

そんなお兄さんの返しも思い出してにやけつつ、ふと気になって、ディズニーリゾートのHPを開いてみた。テーマパークのコンセプトは、ファミリー・エンターテイメントなのだそう。

世代を超え、国境を超え、あらゆる人々が共通の体験を通してともに笑い、驚き、発見し、そして楽しむことのできる世界。
「私はディズニーランドが、幸福を感じてもらえる場所、大人も子供も、ともに生命の驚異や冒険を体験し、楽しい思い出を作ってもらえるような場所であってほしいと願っています。」というウォルト・ディズニーの言葉があります。
あらゆる世代の人々が一緒になって楽しむことができる“ファミリー・エンターテイメント”を実現したいというウォルト・ディズニーの思いがディズニーランドを生み出し、この考えがディズニーテーマパークの基本コンセプトとなっています。

パーク運営の基本理念|東京ディズニーリゾート

土曜日にも関わらず、パーク内ではあっちでもこっちでもタイミングの良さを感じながら過ごせて、たくさんのアトラクションもフードもわがままに1日楽しんだ。例えばリニューアルされていて楽しみが増していたイッツ・ア・スモールワールドでは、パークのコンセプトがこれでもか!と表現されているなと感じたのよね。船に乗っている間、可愛いい人形さんの世界を見ながら、耳に届いているメッセージはずっと“世界は一つ”。お人形さんたちだって、平和で、手をつないだり踊ったりしながらみんな楽しそうに過ごしていた。「平和な世界をつくりましょう」なんて誰も否定しないめっせーじだけれど、正面からぶつけられると優等生ぶって聞こえるし、わたしがひねくれているだけかもしれないけれど、はぁいと言って受け取るのがすこしイヤな気持ちがする。アトラクションにのって、楽しい気持ちにさせてもらいながらなら、自然に、全力で気持ちよく受け取れるじゃん!というのは、わたしにとっては発見のひとつになった。


家に帰ってきてのんびりしていると、フランスでライブパフォーマンスをする彼のステージを一部、Instagramで配信してくれるとのこと。待ち構えて、わくわくと見届けた。フランスのお客さんたちは、自由な服装で、自由に音楽に乗って、気持ちのいいところで歓声をあげていた。会場の熱量が、東京のわたしの部屋まで伝わってきた。

そうだよね、ライブって、“楽しむ”が一番だよねとしみじみ思った。コロナ禍で声出し禁止な公演も多いし、観劇に通うことが多かったので、楽しむより、マナーを守って悪目立ちしないようにすることが、わたしの中で優先順位が上になっていたかもしれない。悪い意味で気になってしまう人がいるとその人に注意が奪われれて、ステージに集中しにくいことが何度か続いたから余計かもしれない。周りの人より、ステージ上で彼が発する熱量のすべてを受け取れるように集中する。そして、正しさとかルールとかにしばられずに、自然体で楽しむ。感じるものがあったら、こちらも自然と表情や態度で示す。もしかしたらそれが、ステージ上の彼の今以上のパフォーマンスを引き出すかもしれない。そんなの最高じゃん。


そんなことをしていたら、深夜になっても眠れないまま深夜2時半。彼が日本を発つ前に収録していったラジオ番組の放送時間を迎えてしまった。その生放送と、彼が日中に出演していた別の番組のアーカイブの2本を聴く。それぞれ30分番組。こんな遅い時間だし、30分聞くってけっこうしんどいかもという思いが頭をよぎったが、2本ともあっという間に聞き終えた。何なら物足りないくらいだった。

3月8日にシンガーソングライターとして初のCDリリースを控える彼は、今テレビやラジオのいろんな媒体に出演している。受ける質問は大きく変わらないし、個人の生配信でも思いを自分の言葉で語っている人なので、「こんなの初めて!」という情報は正直なかなかない。それでも、番組の構成や、聞き手の事前知識、質問の投げ方や掘り下げ方によって、満足度って全く変わるんだぁなというのは、ここ最近のインタビュアーとしての学びだ。ヘッドホンおじさんの名で知られるタケモトコウジさんの番組は中でも特におもしろかった…!

わたしが普段しているインタビューは、その様子が動画として公開されることはほぼないので、よりよい情報をうかがうことに特化した場になっている。どちらかというと、ステージ裏の印象が強い。ここにもより楽しくお話できるようなエンターテインメント性を加えられるなと気づいたし、何なら加えた方がいいと思ってしまった。ディズニーは世界観を演出するため、パーク全体で“テーマショー”を提供しているらしい。わたしのインタビューも、ステージ裏とか楽屋の裏話感以外に、ステージにのせられるようなエンタメ要素のある部分もあったら毎日もっとおもしろくなること間違いなし。


そんなこんなで、1日で
・ディズニー
・フランス
・ラジオ
と、普段自分が触れない文化を3つも体験した1日。楽しかった。そして、楽しかった以上の収穫が大きすぎる日になった。

自分のいる普段の世界に、触れた文化や世界で見つけた良さをかけ算して、今をもっと面白くする。文化に触れる良さってきっと、そういうことだ。


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