一生呪ってしまいそうだったことすら、いつの間にか手放せるからいいんだよ

読んでいた雑誌で社会人の学びに関する特集があった。そこでは、学び方のランキング一位がYouTubeなどの動画視聴と紹介。まじか、と思ったよ。世の皆さんは、○○を身につけるため！　とか目的意識もってYouTube見てるんですかね。本当にえらい。

わたし自身教育系の動画コンテンツは大好きなので、毎日のように流している。けれど勉強してる感覚1ミリもなくて、単なる趣味でしかなかった。好きな音楽をかけてBGMにするのとまるっきり同じテンション。

これを「勉強している」と言っていいのなら、毎日毎日かなりの時間を勉強に充てていることになる。わたしえらいと思ってしまった。

学習系のYouTubeを自動再生している中で昨日、浅見帆帆子さんの動画が流れた。彼女、YouTubeしてたんですね！

電車が1時間に数本しかない地方の高校生をしていた頃は、待ち時間はたいてい駅ビルの本屋さんで過ごしていた。当時から雑食であらゆるジャンルに手を伸ばしていて、待ち時間でいろんな本と価値観に出会えた。

その中の1冊が浅見帆帆子さんの著書『あなたは絶対！運がいい』だった。「人は原子が集まってできている。原子の集まりなんて拡大するとスカスカだから、強く思っていることは体をすり抜けて相手に伝わります」という趣旨のことが書かれていたはず。ちょうど重ための片思いをしていたわたしは、こーんなに毎日毎日朝から晩まで思っているんだから、確かに相手まで伝わってしまってもぜんっぜんおかしくないわ！　と大納得してしまった。わたしったら高校生の頃から六条御息所マインドを備えていたのか。変わらなすぎて、もう笑うしか。

そんな浅見さんの考えを耳から取り入れられる時代になったことに小さく感動しながら耳を傾けていると、起こることはすべて必要なタイミングで起きているという趣旨の話をしている回だった。出来事には、良いも悪いもない。事実があって、それを良いとか悪いとか感じる自分がいるだけ。同じできごとでも、人によって全く別の受け取り方をする。悪いと感じることが起きるのも、今の自分に必要だから。

こういう話は、いろいろな人が、いろいろな形でしている。初めて触れた考え方でもない。でもなぜか、妙に納得しちゃったのよね。それで思い出したのは、心の調子を崩していた時期のことだった。

取り立てて言うことでもないし、誰かにいって可哀想がってもらいたいとかじゃないからリアルタイムで会っていた人以外にはほとんど話したことがないのだけれど、わたしは教員をしていた頃に2度、あわせて1年ほどの療養休暇をいただいている。提出していた診断書の病名欄はいずれも適応障害。心の不調って、体にも出るんだなあってめちゃくちゃ体感する日々だった。

最初のきっかけは、交通事故みたいなものだった。意図していないし悪気もない。自分なりに頑張ってクラスの子のためにできる限りで働いていた。それがある1つの家庭にだけ、どうやったって否定された。わたしの教室は、その家の関係の保護者的な方々と、校内のいろいろな大人が代わる代わる出入りするようになった。何を謝ればいいのか分からないことがわたしのせいとして目の前の大人たちの間で進められた。ずっと味方でいてくれる人は何人かいて心強かったけれど、職場にいる間は敵に囲まれていて、いつもすべてを見張られていると感じて気持ちが張り詰めていた。当時のクラスの子たちは最高に可愛かったし、大好きだったのに、どうしても教室にいられなかったし、職員玄関を出るといつも宇宙の端っこにいる気持ちがした。

ということがあったことが、うわっとよみがえる。レントゲン写真を撮ったら絶対におなかの中が真っ黒に写るに違いないと思っていた日々を、今のわたしは、ネガティブでマイナスな、憎むべき時間だとは思っていないことに気が付いた。あの頃はしんどかったなぁと思うけれど、あの頃関係していた誰かをどうにかしてしまいたいとか、あんなことがあったせいでとか、そんな気持ちはもう、わたしの中にはなくなっていた。

大人になれないわたしなので、何かを「許した」みたいなことではない。どちらかというと「忘れた」に近い。そして、そんな時間もこえて当時とは全く違う毎日を過ごしている今がとても楽しくて充実しているから、今があるのもあの出来事があったからこそだよねと思うなどする。今の自分がある要素のひとつとして、ああいう経験が今のわたしをひとつ豊かにしたんだなっていうのが今の感想であり、解釈だった。

わたし結構根にもつタイプなので、あれだけの出来事だったら一生呪ってもおかしくない人だと認識していた。いや、本気で（笑）。お薬のみながら毎日あっちでもこっちでも泣いて、それでもなんとか暮らしていかなきゃいけないの、ほんとうにしんどかったんだもん。それなのに、いつの間にか手放してたからすごい。自分がいちばんびっくりするー。

動画1本で、そんなことをうわぁっと考えつつ、高校時代とか前職とかあれこれ懐かしくなって、帆帆子さんの動画BGMにして摂取してましたとさ。

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