世界の未来を占う、TikTok&香港問題。
「TikTokから、香港問題につながる世界の未来。」
TikTok問題が、最近Newsを騒がせている。
みなさんは、このニュースを
「最近のテクノロジーはわからんから、俺には、私には関係ないなー。」
なんて、考えてないだろうか。
実は、これが関係大有りな可能性がある。
TikTok&香港問題は、今後の世界を占うイデオロギー戦争だ。
本日は、その先にある世界の未来について考えたい。
■TikTokとは
「TikTokって、若い人がみんなで踊ってる動画あげるやつでしょ??」
みなさんの理解は、どの程度進んでいるだろうか。
残念、僕の理解もそんなところだ。
TikTokとは、15秒から1分ほどの短い動画を作成/投稿できる、短尺動画プラットフォーム。
さっそくアプリダウンロードしてみた。
どんどんスワイプして、動画が流れてくる。。
中には、クスっとしてしまう、おもしろい動画もあり、、、
5分を経過し、、、
飽きた。。
どうやら、僕の性格とは今のところマッチしないようだ。笑
しかし、みなさん。。
だからといって、TikTokに無関心で良いってわけでもない。
TikTokは、
✔2020年上半期のダウンロード数、6億超で世界トップ。
✔世界ダウンロード数は、累計20憶を突破。
✔ユーザーの85%が24歳以下の若者。
✔日本のTOPインフルエンサーは100万人超のフォロワー
✔つまり、誰もがバズりやすいアルゴリズムシステム
✔Youtube他SNSへの流入を加速させるための、必須アプリ
現状、TIkTok単体でのマネタイズは難しいようだが、広告・投げ銭モデルなどが今年中に、実装されるなんて話もある。
そのため、今のTikTokニュースの動向を把握しておくことは、損ではない。
■TikTok問題
ニュースの発端は、いつも通り「安全保障上の問題。」
「データを、中国政府に渡してんじゃないか!?」
と、トランプ大統領が噛みついたのが始まり。
ただ、米国の見方としては、それ以外にも理由がある。
①中毒性
②若者からの支持
③政治的脅威
特に、③についてはご存じの方もいるかもしれない。
6月20日のトランプ大統領演説会、トランプ氏はTwitterで、
「100万人以上の申し込みが、殺到した!」
とtwitterでつぶやくほど大盛りあがり。場外会場を設営した。
しかし、当日の1.9万人収容の会場には、空席が目立つほどの閑散ぶり。
これが、実はTikTok上で、予約だけして実際の集会はボイコットしようと、
若者中心に呼びかけられたのではないかと、噂されている。
バズりやすく、ユーザーの殆どが若者なので、政治利用された時の影響が未知数。
というのが、アメリカ政府サイドの意向に、見え隠れしている。
そのため、米政府は、
締め出しか、米国企業による買収。
を目論んでいる、今のところの有力なのはマイクロソフト。
ただ、補足しておくとTikTokは、中国に存在していない。
中国では、「抖音(ドウイン)」アプリという、バイトダンスが運営する別のアプリがあり、
こちらはTikTokと仕様が違う。
「抖音(ドウイン)」は、Live配信や投げ銭機能などのマネタイズやECサイト連携もできるから、企業案件も多く取り扱われている。
まぁ、ロゴは全く一緒ですが。笑
決着は、米国からの締め出しは避けて、買収が落としどころかと思います。
とはいえ、バイトダンスの利益の80%超は中国本土からで、米国からバンされても、余裕で生き残れます。
ただ、TikTokは中国企業発のグローバルプラットフォームアプリで、
ここまでグローバルにかつ、あらゆる人種に支持された米国企業以外のプラットフォームアプリは、世界初なんです。
だから、中国政府としても、
安値では絶対売りたくないし、安値で売ると今後も買い叩かれる。
ことを危惧している。
だから、今回のTikTok問題は、今後の中国企業の世界戦略を占う大事な試金石です。
ここでみなさんは、
「データを抜かれのは怖いし、嫌。」
「データによって追跡されたり、評価されるのは、気が引ける。」
だから、アメリカの言い分もよくわかる。
排除されても仕方ないんじゃない??
って、思いますよね。
でも、中国はそんな僕らとは違った価値観で動いています。
その、価値観やイデオロギーが今後の世界を左右するかもしれません。
■データを渡すことに違和感のない中国。
中国人の方は、データを渡すことに、そこまでの違和感ないんです。
いくつか理由はありますが、以下の2つがあったりします。
①コロナショック後の早い経済回復
下の表はIMFが6月に発表した最新版世界経済予測です。
全世界がマイナス成長の中、中国だけ唯一プラス成長。
(参考)国際通貨基金https://www.imf.org/ja/Publications/WEO/Issues/2020/06/24/WEOUpdateJune2020
これは、何よりもコロナ対策で個人データ管理を徹底しているから。
中国だと、薬剤や診断の履歴なども全部データが取られるので、感染疑いのある人を早い段階から潰せます。
そして、現在の中国はすでに“密”しまくっているらしいです。笑
データを取るか、経済をとるか、難しい問題ですが、決してデメリットだけではないですよね。
②治安の安定
こちらのニュースにもあるように、中国では信用スコアという制度が採用されています。
学歴、年収、金融資産などから、
<個人特性・支払い能力・返済履歴・人脈・素行>などの
5つ要素でAIによって個人がスコアリングされます。
スコアリングされて点数が良いと、融資が受けやすくなったり、ローン金利優遇されたり、ホテルでのデポジットが不要になったり、いろいろ特典がついてきます。
結果、上海などの都市部域では治安が安定した、という実績も出ています。
実際の中国人の感覚は、信用スコアに縛られてているほどの感覚ではなくて、
クレジットのポイントくらいの感覚みたいです。
なぜなら、まともに生活していればスコア下がらないから。
僕も、シンガポールでどこ行くにしてもQRコードスキャンしてCheck in-outしています。
「僕の移動履歴は、全部政府に見られるのか。」
と、最初は気が引けましたが、今はもう慣れ切ってしまいました。
変なとこ、行かないですからね。笑
それで、政府がちゃんとコロナの芽をつぶして、経済を回してくれるなら
今は、「はい、どうぞ」って感じです。
上の2つは、主な例ですがデータを渡すのは、デメリットばかりじゃない。
僕ら日本人も数年後には、
個々人の“信用スコア”が測られる。
そんな時代は、来るかもしれませんね。
■イデオロギーのぶつかり合い
中国のデータによって人々を管理する、信用スコアによって個人を評価する手法。
中国流データ戦略の世界進出は、実はすでに進んでいます。
ルワンダやエチオピアにアリババのジャック・マーが訪問して、アリババのプラットフォームを、
アフリカ各国に売り込んでいっています。
更に、アフリカからの学生を清華大学に受け入れ、教育して本国に帰還させ、
中国企業の進出のサポートしてもらうなどの戦略も既に進行中。
要は、世界進出を目論んでいるんです。
中国の一帯一路構想。
まさに、習近平の悲願。
今、欧州ではGAGAMなどのプラットフォーマーに対して、個人を守るために
GDPR(個人情報保護規則)で巨額の賠償金を課そうとしています。
それに対して、個人から情報を抜きとりデータを蓄積した上で、
経済の発展と、豊かな世界を実現しようとする中国。
欧米発の自由主義と、中国発の発展主義。
この2つのイデオロギーが今後、どのようにぶつかり、進化を遂げていくかは、
世界の未来を占うために、超重要テーマです。
そのために、僕らが絶対に注目しておいた方が良いニュースが、
「香港問題。」
香港は、世界の未来を占うイデオロギー対立の局地戦です。
ニュースを見ると、香港市民が反発しているように見えますが、
香港の資本家は中国政府からの支援もあり、みんなが反対しているわけじゃない。
僕は、弾圧には反対の立場を取る。
あと数年後に香港が、どのような姿になっているか。
もし、中国流のデータに基づいた管理、発展主義を香港の人々が受け入れたら、
今まで、世界を席巻していた欧米流自由主義のイデオロギーは、
ひっくり返るかもしれない。
そんな、時代の過渡期に僕らは今いるわけです。
■まとめ
本日は、TikTok問題から香港問題に連なる世界のイデオロギー争いを考えました。
一見、TikTokも香港も個別のニュースとして見てしまいますが、
どちらも、中国流イデオロギーと欧米流イデオロギーの対立です。
そして、中国人自身は政府にデータを抜かれる、預けることを
そこまで気にしているわけでもない。
むしろ、経済や治安の回復においてメリットももたらしている。
中国の一路一帯構想は、この中国流イデオロギーとデータ戦略を、
世界各国に輸出していこうとする戦略であり、
それは、習近平の悲願です。
僕ら日本人、そして日本企業も中国マーケットに大きく依存しているから、
この動向は無視できない。
自分のデータを企業や政府に預け、信用スコアを獲得していくか。
自分のデータは断固として守り、プライバシーを確保するか。
もしかしたら、信用スコアはお金すら超える価値観になるかもしれない。
残念ながら、それは僕らの好き・嫌いの選択肢の問題ではなく、
世界の潮流が、決める。
そのために、TikTok問題も、香港問題も、
目を離すべきでは、ない。
ではでは、本日はここまでです。
また、明日のnoteでお逢いしましょう。