精神はぐちゃくちゃでハッピーターンは粉々で
足先がやけに熱い朝に、日常化した「できるだけ髪の毛をきれいに梳かす」の17文字とロックンローラーの声が私を突く。突かれて棘になった私は、芸人が粉々のハッピーターンをファンから貰った話に声をあげて笑う。
街探索と称して飲み歩いた休日の商店街も、深夜に焼くステーキも、全部全部大切で、生活のトキメキたちが指の隙間からこぼれ落ちるのが怖い。硝子と同じくらいに、これらは尖っていてきらめいている。冷たい風たちは高く結んだポニーテールを鬱陶しいほどに揺らす。我儘の発音の仕方も知らずに大人になったって、時々独裁者になりうるだけだと怒鳴りたい。自暴自棄の後のほとんど失恋のような感情も特別な意味はなくて、極度の人間嫌いへと導くだけだ。
人間嫌いな人間をやたらと肯定してくれる恋人にはいくつかのポリシーがあって、それらが私の愚学を解く。身動き取れずにいる私に寝返りをうたせてくれる。
ぐちゃぐちゃな私のしわを丁寧に伸ばしてくれる恋人は今日も隣で腕を組みながら寝ている。