
中学受験は本当に課金ゲームなのか?(前編)
~ 保護者410名に対するアンケートと学習塾費用比較を独自に実施 ~
中学受験を検討する際に気になるのは教育費です。
私立となれば、公立に通えばかからない授業料に加え、入学金や寄付金など多額の費用が必要となります。
「私立の中高一貫校に通うなら世帯年収1,000万円は必要」という厳しい声もきかれます。
また多くの場合3年生の2月から塾に通うなど学校外での学習費の支出が発生します。
そこで、『中学受験は、いったいどのような費用が、どのくらい必要なのか 〜学習準備から合格まで〜』「中学図鑑」の会員の中から410名のユーザーを対象に「世帯収入別」「塾」「家庭教師」「通信教育」などで分類し、※補助学習費の調査を実施しました。
※「補助学習費」は予習・復習・補習などの学校教育に関係する学習をするために支出した経費 (各家庭での学習机や参考書等の購入費,家庭教師,通信添削等の通信教育,学習塾へ通うために支出した学校外で必要となる経費等)。
私立中学に通う家庭の7割は年収800万円以上
中学受験を経て合格を果たした私立中学に通う家庭の世帯年収をみると、実に72.1%が800万円以上に含まれ、半数以上の52.3%の家庭が1,000万円以上と年収の高い世帯の割合が大きいことがわかります。私立中学に進学した家庭のうち年収400万円未満の家庭は4%弱しかありません。
逆に、公立中学校に通う家庭では65.7%が年収800万円未満に属しており、400万円~800万円未満の世帯年収が半数を超える51.5%となっています。
塾のための塾、オプション講習で学習費の家計への負担は増大
多くの学習塾では、受験のためのカリキュラムが4年生(3年生2月)から始まります。そのため受験生は集団塾や個別指導塾への通塾、家庭教師をつける、通信講座を受講するなど子どもの学力や各家庭の経済力に応じて、様々な選択肢の中からそれぞれにあったルートプランを選択することになります。
指導体制により通塾費用は異なり、集団塾<個別指導塾<家庭教師と指導者一人あたりの生徒数が少ない塾程、金額は高くなる傾向にあります。
従って、世帯年収が高いほど、完全個別塾は1:3から1:1へ、集団塾は公立中高一貫型から国立私立の難関校受験専門塾へシフトが見て取れます。
また、学力レベル(偏差値)から見ると、学力が高いほど中学受験に特化した集団塾に適合しています。これには、同じように高いレベルの学力を持つ生徒同士でクラス編成され、受験のためのノウハウを熟知した大手中学受験塾の存在が影響していると思います。これらの中でも、より高い合格実績を誇る大手学習塾への入塾テストをクリアし、最高位のクラスを維持するためには、それをサポートする家庭教師や個別指導塾に並行して通うケースもみられます。
さらに、これらの塾は通常の授業料の他に、別途季節講習費等のオプション費用がかかることもあり、集団塾=廉価という図式が必ずしも当てはまらないのが中学受験塾の特徴でもあります。
独自調査結果:学校外で必要となる塾等の補助学習費について
中学図鑑の会員の世帯年収を「400万円」、「600万円」、「800万円以上」の3つに分類して、学校外で必要となる塾等の補助学習費の独自調査を行いました。
この調査から、世帯年収の高い家庭ほど、学習塾(集団塾)・家庭教師・通信教育にかかる費用が高く、学年があがるごとに授業時間・日数等も増えその差は拡大していました。中学受験をめざす家庭での補助学習費の負担がかなり高額になっていることがわかります。
<結果分析>
学習塾にかかる費用には、これら通常の授業料に加え模擬試験の受験料、受験対策用の参考書や問題集も必要になります。
さらに通常授業以外にオプションとして、季節講習や特別対策講座を設けている塾が多く、子供の志望校や学習状況に応じてはこれらの追加費用も考慮しなければなりません。
大手学習塾ほどこれらオプション講習は充実しており、塾外生以外の参加も可能な場合が多く、受験を控えた6年生にもなると複数の学習塾を併用するケースも見られます。
金銭的に余裕のある家庭では、集団学習塾と並行して個人指導や家庭教師などのサポート指導を受けるケースも多く、これらの授業料は集団授業と比較するとはるかに高く、講師のレベルによっては学習塾の授業料の倍以上になることもあります。
次回、具体的な塾の費用や受験に関わる費用をご紹介します。
中学図鑑はこちら