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中学受験 「出願から入学手続きまでのポイント」

「出願をし忘れて志望校を受験できなかった」「合格した学校の入学手続きを忘れていた」といった中学受験手続きにまつわる親の失敗体験。

我が子が4、5年生の頃は「大変だね」と言いながらも心の中では「私は大丈夫」と思っていましたが、2か月後に我が子が受験を控えた今、出願から始まり入学手続き完了で終わる一連の中学受験手続きは、想像以上に大変な作業であることが分かり、失敗談も他人事ではなくなってきました。

なぜ一見したら、初歩的とも思えるミスが起こるのでしょうか。 受験校が本命校1校とお守り校の1校であれば、手続きミスは起こらないかもしれません。 しかし、首都圏の多くのご家庭では、1月受験から始まり、2月1日から連日の併願校受験、午後受験や同校別日受験など数多くの学校を受験します。

平均的な受験回数について、中学受験経験のある保護者の方に聞いてみました。

「コロナの影響が無かった2年前の娘の時は、1月校を2校受ける方も多く6校~7校程度で、我が家は8校でした。(複数日の出願で受験料が減額になるところが多いので、受験する可能性は低くても念のため複数日出願している学校が2校ありました) ※同じ学校を複数回受ける場合も出願1回につき1校としてカウントしています

つまり、6校~7校の受験をこなしつつ、併願校の入学手続きをするかしないか、翌日の受験校を変更するかどうかという「悩む・決断する・手続きする」という受験手続きに関する作業も合わせておこなっていかなければいけません。

出願日時、受験日時、入学手続き締切日時が、志望度の高い順であれば問題はありませんが、多くの場合、それぞれの期日は複雑に入り乱れており、用意周到にスケジュールを組んでおかなければ、取り返しのつかないミスにつながる可能性があります。

今回は、これから始まる「出願準備から入学手続き完了までのスケジュール」を確認していきたいと思います。

1.受験候補校のリストアップ

まずは、受験する可能性のある中学校を全て書き出してみましょう。
子どもが行きたい学校、親が行かせたい学校、偏差値と照らし合わせて合格可能性が高いと思われる学校などを一覧にしてみます。 学校パンフレットや説明会などで得た情報、学校に行って感じたイメージや感想を書き加えたら、親子でじっくり相談をしましょう。 親がどんなに行かせたいと思っていても、子どもが「受かっても行かないから」という学校は消去せざるを得ません。お守り校として考えていた学校も、公立中学校に行き高校受験・大学受験という進路をとる場合と比べて子どもに合っているのか冷静に考える必要があります。

2.各学校の募集要項をチェック
◆出願チェックシートを活用しよう◆

次に子どもと親が納得して決めた受験校についての情報を詳しくまとめていきます。 受験候補校の情報が一目でチェックできるシートがありますので活用しましょう。
中学受験出願チェックシートのダウンロードはこちらから

3.募集要項のチェックポイント

①受験日時・受験会場

まずは募集要項から受験日程と受験会場をチェックします。 気に入った学校や偏差値基準で学校を選んできた場合、受験日時が重複する場合があります。 この時点でどちらかの学校を選択するのか、それとも両方に出願しておいて、前日や当日の状況を見て受験校を決めるのかという方針を固める必要があります。

例年、数千人が受験する中学校では、受験会場が複数に分かれます。 中学校の教室、駅に近い会場、できるだけ受験者が少ない会場など、「子どもにとってどの会場がベストか」を各家庭で考えて、出願のタイミングを図られる方も多くいらっしゃいます。

午前受験と午後受験を考えていらっしゃるご家庭の場合は、受験開始時間を入念にチェックすることをおススメします。 午後受験校には、併願を前提にテストの開始時刻が15時や16時、遅刻も可(テスト時間の延長は無し)という学校もあれば、13時からテストが始まる中学校もあります。 午前受験の学校からの移動時間を考えて、物理的に受験が可能かどうか検討しましょう。 午前受験に面接がおこなわれる場合も要注意です。出願の早い順に面接時間が設定されるのかどうか、面接時間が決まってから午後受験の出願が可能かどうかの検討が必要です。

②出願受付期間と出願方法

次に出願方法について確認しましょう。 昨年のコロナ禍での受験を機に中学受験はインターネット出願が主流になっているとイメージされている方も多いでしょう。 「試験日の前日の23時までインターネットで出願が可能だった」という話を聞くと安心してしまいそうです。 ここで気を付けなければいけないポイントは、全ての学校がインターネットだけで出願が完了できるとは限らないということです。 受験者の情報はインターネットで入力し、受験票の控え・通知表のコピーなどは別途郵送という場合もあります。 受験者情報の入力が12月中旬から始まり「出願期間が割と長いのね」と安心していたら、提出書類の郵送受付期間は1月中旬の3日間の中学校もあります。 まずは絶対に遅れてはいけない期日といつでも入力できる期間を把握しましょう。

③必要書類(報告書・通知表のコピー・写真)

別途郵送提出や受験日に持参が必要な書類についてみていきましょう。

報告書 小学校の担任の先生に作成していただく報告書については、先生にお手紙か連絡帳で事前に連絡をしましょう。 受験生が多い小学校では、学校から提出方法や提出期限が指定されることもあります。 調査書の多くは2学期末または前期末までの成績や学校での態度を記入することになっていますので、早く渡し過ぎても先生は作成することができませんが、残業で作成してくださいますので時間的に余裕がある冬休みに入る前にお渡しした方がよいでしょう。 報告書作成の手引きや記入例などの資料は、保護者が印刷し、注意すべき点には付箋を貼るなど先生方の負担を軽減する工夫をしたいですね。 書類の受け渡しは、子どもを通じてでも保護者を通じてでも構いませんが、親子共に誠意をもってお礼をお伝えしましょう。

通知表のコピー 通知表のコピーは、2学期末に子どもが学校から持ち帰ったら、表紙も含めて指定された大きさ・指定されたページを必要数+αで印刷し、折らないように管理しておきましょう。

写真 受験者の顔写真データはインターネット出願時にアップロードすることが多いですが、学校によって縦横の大きさ・比率の細かい指定がある場合と、3MB以下のサイズといった大まかな指定がある中学校がありますので、指定の厳しい中学校に合わせて用意するとよいでしょう。 眼鏡、脱帽、背景、カラー、モノクロなどの指定を満たしていれば、服装は普段着でも大丈夫です。 写真館で撮影、証明写真BOXを利用、スマホで撮影など各ご家庭によって色々のようです。 いずれであっても、子どもが写真を見た時に『やる気』が湧くような写真に決めることが一番かもしれません。

④合格発表日時と入学手続き期限

子どもの精神面を考えて、合格発表は数校の受験を終えてから確認し、子どもの志望度をもう一度確認して入学手続きを行おうと鷹揚に構えていた我が家。 作成した出願チェックシートを確認してみると、志望校の受験が全て終わらないうちに、入学手続きの締切日があることが分かり、慌てて方針を転換しました。 反対に合格発表の結果をいち早く確認し入学金を振込み、子どもに安心感をもって次の受験に向かってもらう、というご家庭もあると思います。

入学手続きがインターネットで入学金を振込みすることで完了する学校が多いようですが、振込とは別に学校に出向いて手続きをする「来校型入学手続き」が必要な学校もあります。 子どもの受験日と重なっていれば送迎を誰かにお願いするといったことも必要になりますので、入念な確認が必要です。

また、『子どもが通ってもよいな』という視点で考えてきた「前受け校」「お守り校」の入学手続きが第一志望校より先にある場合は、数十万円の入学金を本当の意味でのお守りとして支払う覚悟が必要になります。

理想的な併願校の受験スケジュールとしては、 「お守り校の受験」 「お守り校の合格発表」 「本命校の受験」 「本命校の合格発表」 「お守り校の入学手続き締切」 ですが、理想通りにはならないケースがほとんどだと思います。

支出額を最低限に抑えるために、入念な併願校選びとスケジュール組みをおこなったご家庭もあれば、「子どもと親の安心感を得るため」「入学金を支払える=合格というありがたいこと」、と割り切って必要額を早い段階で用意されていたご家庭もあるようです。 連日の受験が続く期間は、時間に余裕も無く精神的にも追い詰められますので、事前にご家庭の方針を明確にしておくことをお勧めします。

⑤延納手続き

中学校によっては、延納手続きを行えば入学金の支払期限日を先に延ばすことができます。 考えている併願校に延納制度があるかどうか、国立校・公立中高一貫校受験者(受験票が必要)であれば利用できる場合など、募集要項をじっくりと確認してみましょう。

4.起こり得る受験パターンをシミュレーション 『決断の時』を把握

受験本番がスタートしてから入学手続きまでの期間は、受験生保護者にとっては最も気の抜けない時間であることが実感できたのではないでしょうか。 中学受験を無事終えられた先輩お母さん方から「受験期間は精神的に大変だった」「二度と味わいたくない」という話を何度も聞いてきました。 無事に乗り越えられたのだから「良い思い出」に変わるのではと楽観的に考えていましたが、受験期間の数日間で受験料や入学金を含めた大きい金額を支払うことや子どもが実際に通う学校を最終的に「決断」しなければいけないことを考えると、精神的負担が大きい期間であることが分かりました。

まだ時間にも精神的にも余裕のある今の時期に出願スケジュールを見ながら親子でしっかりと話し合い、起こり得る受験パターンをシミュレーションし、手続き期限日時に下すべき決断までスケジュールに書き込んでおくとよいかもしれません。

勤め先に2月1日から1週間の休暇申請を出し、万全の体制で受験に臨んだワーママでしたが、初日の第一志望校に合格、翌日に入学手続きで完了という嬉しい展開になったケースもあるそうです。 本番が始まってみなければ何が起こるか分からないということですね。 「備えあれば憂いなし」で、子どもが試験に集中できるよう、親子共に悔いが残らないよう受験手続きの準備をしておきましょう。

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