001 金髪オトコ学校にあらわる
「おぉぉい!うるせぇぇんだよ!!!」
信じられない光景がそこにあった。
校門の前に立つ金髪のオトコ。
インターホンを何度もならしている。
今日は土曜日だから職員室にはだれもいない。
私が部活動顧問をしていたときにその事件は起きた。
部活動は音楽系で毎週土曜日は外での練習だった。
まさに練習中、
「先生、門にだれかが・・・・・・」
保護者にそう声をかけられ目をやると、
そこには金髪のオトコが立っていた。
「おぉぉい!」と叫びながらこちらを睨んでいる。
演奏を中断して門に駆け寄る。
心臓はバクバクと音を立てている。
駆け足で近寄ると、オトコの姿がよく見えてきた。
「ウソでしょ・・・・・・」
金髪にタンクトップ。
さらけ出された両腕には龍が墨で描かれており、
耳には無数のピアスが付けられている。
そしてただよう酒のニオイ。
「お前、先生か?」
低いドスの聞いた声だ。
なるべく表には出さないが、身の危険を感じる。
私はなるべく冷静かつ丁寧に応対する。
「はい。そうです。いかがなさいましたか」
「あのさ、音がうるさいんだよね。早朝までこっちは仕事してんの。やめてくれよ」
なるほど。
部活で出していた音がうるさかったらしい。
確かに迷惑かもしれないが、近隣住民へあらかじめ手紙は出しているし、学校活動としてやっていること。
そこは理解してほしいところだ。
「すみません。ただ学校活動でやっているこ・・・・・・」
「そういうことだから、今すぐ音出すのやめろよ!」
そう言い放ってオトコは帰っていった。
この緊急事態をすぐに校長に相談。
とにかく謝りにいこうということで、私と校長で金髪オトコの家までいった。
再度顔を合わせるが、
「音出すな」の一点張り。
何度も謝るが会話にならない。
とりあえずその日の練習は中断して子どものフォロー。
大会に向けて外での練習はマスト。
これからどうしたらいいのだろう・・・・・・。
これ実話です。
こんな対応も部活動顧問がやるんです。
当時教員2年目でした。
それから金髪オトコは何度も学校にやってきてクレームを入れてきました。
学校行事や部活動で生じる騒音問題。
果たしてこれは騒音なのか。
誰が解決に向けて話をするべきなのか。
どのように解決すべきなのか。
正解はわからず異動してきてしまった。
今でもモヤモヤする一件です。