人口減、教員減から読み解く日本教育の未来
昨日の投稿では、良い学びを実現するためには、複数のボトルネックに対するアプローチが必要だという話をしてきました。
ここからは少しずつでは有りますが、ボトルネックになりうる、もしくは既になっている点について本質的な課題を明らかにしながら、私たちはどのように教育に向き合っていくのかを考えていきたいと思います。
第一弾としては、人口減と教員減から日本の未来を占ってみようかと思います。
改めて確認する日本人口
日本の人口は1億2,000万人くらいいる。
よく市場の話やビジネスの話をするときに、この数字はよく出てきます。
これくらいの人口がいるから、まだまだ日本のマーケットは無視できないよね、となるわけです。
しかし、日本の人口は言わずもがな減少しています。
これを見てわかる通り、2010年ごろを皮切りに年々人口が減少しています。
そして、右側の軸を見るとわかるように、年間の増減数を表すデータでは、ますます振れ幅が大きくなっています。
上にあるように、内閣府の2004年時点でのデータは少々古いですが、2100年ごろの日本は、4650万人~6400万人と推測されています。
また、ダイヤモンド社のデータを見ても、2021年の記事なので割と最近のデータを参照していると思いますが、それでも6000万人と予測されています。
80年後、日本の人口は今より半減になるわけです。
また、おそらくもっと深刻なのが、年代別の人口割合です。
一目瞭然ですね。15歳未満の割合が年々減っています。
なんと総人口の11.8%しか15歳未満はいないという衝撃的な結果がわかります。
また、やはり小中高向けへの教育事業を展開するものとして、一番気になるのはその世代の人口がどうなるのか、ですね。
合計すると約1300万人弱が小中高の学年にあたる人口になります。日本の総人口の1/10程度ですね。
この数字がどうなるのか、というのは気になるところです。
2100年時点でのデータは見当たらなかったのですが、2050年のデータはありました。若年人口(15歳未満)が821万人になることが予想されています。うち3割程度が幼児の割合でしたので、仮に同じ割合だとすると、600万人弱になることがわかります。これが2050年時点です。また、日本の総人口に占める割合も、6%程度になります。
2100年時点では、おそらく400万人~500万人程度になるということが想像できます。こうなると相当人数としては少なくなります。
改めて確認する教員人口
続いて教員の人口を見ていきましょう。
まず、高校教員に関しての教員数が約23万人程度です。近年は減少傾向にあります。学校基本調査にて令和2年度、3年度の統計を確認すると、229,245と226,721という結果でした。この1年で2,500人もの高校教諭が減っているというのはかなり深刻であります。そして2017年と比べても減少傾向は続いています。
中学に関しては、約25万人です。徐々に減少傾向にあるということがわかります。ちなみに学校基本調査にて令和2年度、3年度の統計を確認すると、246,814と248,253という結果でした。若干の増加が見られるという結果でした。
小学校の先生については、43万人程度といったところでしょうか。意外にも小学校の先生は微増傾向にあるというのは面白い統計です。学校基本調査にて令和2年度、3年度の統計を確認すると、422,554と422,864という結果でした。若干の増加が見られるという結果でした。微増にはなっていますが、ほぼ変わらずの横ばいですね。
ここからわかることとしては、私の元々の仮説では、人口の減少に伴い、教員の数にも減少傾向があるかと思いきや、そこまで減少傾向がなかったことが驚きではありました。
考えられることとしては、近年の学習スタイルの変化が考えられます。一斉授業形式の学習スタイルから個別最適、協働学習といった流れがありますので、1人の先生に対して少人数を対象に対話的で深い学びを実践するためには従来以上の教員の確保が必要、ということが考えられます。あくまでこちらも私見ですので、他の意見があればぜひ教えてください。
年代別人口 vs 教員数
ということで、ここからは年代別人口 (小学校、中学校、高等学校)別人口とそれぞれの年代別を担当する教員の割合を見ていきます。
小学校
先ほどあげた人口では、636万人が小学生にあたる日本の人口です。また、教員数に関しては、上にあげた42万人程度になります。
この割合を見ていくと、15人の児童あたりに1人の先生という計算になります。もちろん今回に関しては、地域別で確認していないので、都市部とそれ以外の地域で偏りがあるかと思いますが、このような状況であるということがわかります。
また、20年前も見てみます。
学校基本調査によると、2002年時点での教員数は、41万人(410,505)でした。
児童の人口は、721万人でしたので、17人の児童に1人の先生という計算になります。
中学校
中学生にあたる人口は、326万人です。それに対し、教員数は、22万6000人程度ですね。
これの割合を見ると、14人の生徒に1人の教員が必要という割合になっています。
20年前を見ると教員数は、なんと25万人(253954)にも登ります。一方で人口は、387万人です。かなり変化があります。
15人の生徒に1人の教員が必要という割合です。
高校
高校生の人数は、約330万人(3,299,012)です。教員の数は、23万人程度ですので、14人に1人の教員が必要です。
20年前を見ると、生徒数は338万人、教員の数は26万人(262,371)になりますので、13人に1人の教員が必要という割合になります。
これらの結果から、相対的に見ると、20年前に比べて、生徒数の減少スピードに比べると教員数の減少スピードは遅い、ということがわかりました。しかしながら、そもそもの教育のあり方が変化している現代において、単純に当時の生徒と先生の割合が適切がどうかという点については別議論が必要なため、必ずしもこの関係性については現代社会においてあるべき姿がどのような形なのかを考慮した上で見極めていく必要があります。
日本教育の未来予想
さて、これまで様々な統計を確認していきました。
2100年、小中高の生徒数が500万人程度になると、教員の数も減っていくことが予想されます。今回紹介はしませんでしたが、学校数も年々減り続けています。学校が減れば、教員も減るというのはある程度想像できることかもしれません。
しかしながら、人口が減る、教員が減る、ということに関してはどのように捉えるべきなのかは一度立ち止まって考える必要があります。
世界で活躍する、日本を支える若者が出現するために、どのようなことをすれば良いのでしょうか。
わかりやすいのは数の部分ですよね。資本主義と教育というブログでもあげましたが、経済活動が現在の世界では主軸にあらゆるものが議論されていますが、経済活動を活発化させるのは、”数"です。
人口が多ければ、働き手も多い、それによって富が生み出されます。
これは例えですが、教育も同じ考え方だったのがこれまでの教育だったかもしれません。
ある程度、小中高の人口が多ければ、その数の中から、どんな教育を施したとしてもそれなりの世界で活躍できる、日本を支えるであろう若者が出現してくる。もちろん日本の素晴らしい教育インフラがあることは無視できません。
しかし、人口が著しく減少する日本社会においては、数の考え方ができなくありつつあります。
であればどうすれば良いか。確率を上げるしかありません。
100人のうち1人の人材が出現していたのであれば、それを2人にするしかありません。
幸いにも、6~18歳の人口が減り続けても、教員の数の減少は少しずつというのが現状になります。であれば、これまでよりも手厚く、これまでよりも深い学びを生み出すことができる環境になっているかもしれません。
また、今までは杓子定規で生徒のパフォーマンスを測っていたかもしれませんが、今は個性を活かして、誰でも輝ける社会になってきています。
であれば、その個性を活かしてあげて、今までの出現の定義を変えてあげる必要があります。
仕事ができる、優秀、とかではなくて、その人だからこそできる、その人が自分なりに輝ける、そんな教育のあり方を実現すれば、もしかしたら、100人全員があらゆる場所で、オリジナルな存在として活躍できるかもしれない。
そのようなことを考えながら、人口減と向き合っていくしかないかと考えています。
人口が減少するというのは確定の事実です。
我々はその事実に対してどのように向き合い、教育を考えていくのか、ぜひ一緒に対話をしていきたいと思います!
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