テーマ指定小説「かなしい」(高1/Rさん)
私は現在高校3年生、昔から人付き合いが苦手で、結局小中高人間関係がうまくいかず友達は0人。
そんな私にも唯一心許せる友達がいた。それが私の愛犬'ムギ'。
ムギは元々保護犬で前の飼い主に酷い虐待を受けて人間不信になってしまった。最初そんなムギを見て私とどこか似てる部分を感じてムギを飼うことに決めた。最初はいくら名前を呼んでも餌をあげても見向きすらしてくれなかった、むしろブルブル震えていて警戒心しかなかった。
だけど毎日根気強く愛情を持って接していたらいつの日かムギ自身も心を少しずつ開いてくれて私とムギは大親友になった。
今まで人間関係が上手くいかず友達ができたことない私にとってとても嬉しいことだった。毎日散歩に出かけたり一緒にお昼寝したり互いに言葉はわからないけど心で通じ合ってる気がした。当たり前の日常がとても幸せに感じた。
そんな日々が1年、2年、……と過ぎていく。
次第にお互い歳を重ねてムギは元々保護犬だった為家に迎え入れた時の年齢は7歳ともうシニア犬だった。最近は足腰が悪くなり散歩にも行けないほど衰退してしまってずっと寝たきり状態である。耳も遠くなっている為名前を呼んでも聞こえてないし食欲もないのでどんどん痩せ細っていくばかりで元気もほとんどなかった。
そんな私は高校生になった。
高校に上がってからも人間関係は上手くいかず毎日学校に行くのも憂鬱で居場所がなくて、でもそんな私が頑張れたのは家に帰ってムギを撫でて今日あった愚痴とか悩み事をムギに言うことで頑張る活力を貰えた。
そんなムギがある日突然倒れた。
医者から余命宣告を受けた。持って半年と言われた。私はあまりにもその事実を受け入れたくなくて現実から目を背けていた。けれど、どんどん衰退していくムギを見て嫌でも受け入れざる終えなかった。あと半年で私がムギにしてあげられる事はあるだろうかたくさん考えた。
とりあえずムギと初めて出会った日から今日まで振り返ってみた。
いつもムギは私がいくら人間関係で悩んでムギに愚痴ってもムギは優しいオーラでたくさん私の話を聞いてくれた。そんな事を振り返っているとムギには感謝する事しかないのに私はムギに今まで何もしてあげれてなかったと後悔と悔しさで涙が止まらなかった。
後悔のあまり泣いていると、動くのすらきついムギが『そんな事ないよ』と言っているかのように私の側に優しく駆け寄ってくれた。
ムギはすぐ人の気持ちが理解できて優しく寄り添える天才犬だ。そんなムギを誇りに思う。私はそんなムギを見て思った私だけこうしてめそめそ泣いてちゃダメだムギを見習って強くなろうと。その日から残されたムギとの大切な時間を悔いなく生きようと決めた。ムギ自身体も衰退しているし特に特別なことはしてあげられなかったけど、毎日ムギの側にいてたくさん撫でてお昼寝していつもとただ変わらない日々を大事に大事に噛み締めた。
そんな日々が続いて丁度半年くらい経った日の事だった。
学校帰り私に母から電話がきたムギの状態がそろそろ危ないと、私は急いで家に帰った。私は最後にムギを優しく撫でたムギは安心したように息を引き取った。ムギを不安にさせたくないと最後は絶対泣かないと決めていた、ムギが息を引き取ったのを告げられて私は崩れるように泣いた。
しばらく泣いちゃう日々が続いたけれど、私はムギに強くなると誓ったムギも天国から見守ってくれてると信じて、相変わらず友達はできないし人間関係は苦手なままだけれども、今は将来の夢に向かって勉強をたくさん頑張っている。ムギと出会ったから私はこんなに強くなれたんだなと改めてムギには感謝しかない。
これからもムギを思って嫌な事も辛い事も乗り越えていこうと思う。