子どもプログラミング教室 ドイツと日本は違い過ぎる!!(ドイツ教室Voitさんへのインタビューで知ったこと)
1.ドイツ教室講師がエドグラを訪れた経緯
こんにちは!
子どもプログラミング教室エドグラの大村です。
2024年11月頃、ドイツ-ミュンヘンの子どもプログラミング教室「Farning」の講師Matthias Voitさんより、エドグラとの交換学習プログラムを検討したいとのことでご連絡を受けました。
以下のこと(①~④)から、実現可能かはさておき、一度会うことにしました。
①スクラッチ教室・マインクラフト教室のようなゲームプログラミング教室ではなく、本物のプログラミングでの学習を提供している教室が京都市内ではエドグラだけであり興味を持っていただいたこと、
②京都市内で他の教室へのオファーはないこと、
③Farning自身も、Pythonをメインとした質の高い本物のプログラミング学習を提供している生徒数250人以上を抱える実績ある素晴らしい教室と講師であったこと、
④二泊三日で日本に来て、その一日をわざわざエドグラでの会議と見学に来ていただけること。
通訳の方も来ていただき、14時から、
会議→約2時間
見学→約3時間
という長い時間、エドグラで時間を過ごしていただきました。
2.ドイツでは日本よりも本物のプログラミングを学ぼうとする意識が明らかに高そうである
会議は、ドイツ教室Farningとエドグラでの提携学習プログラム実現のための話合いがメインでしたが、それ以外にも私はドイツ教室について興味があり、様々なお話をしました。
Farningは2018年スタートの教室で、スクラッチ・マインクラフトなどのゲーム感覚の教材は扱っておらず、Pythonなどの本物のプログラミングでの指導をメインとしている教室です。
そんな教室が、現在250人以上の生徒を抱えており、スタート当初も50人以上の生徒がいたそうです。
しかも、最初の生徒の集め方もシンプルで驚きでした。
Voitさんは家庭教師をしていたのですが、あるお家で、
「勉強よりプログラミングを教えてほしい!」
と、頼まれたそうです。
その後、どんどん家庭教師先を増やし、プログラミングを教えていることを他のお家でも伝えたところ、次々にプログラミングを学びたがる生徒が増えたとのことです。
しかもそのプログラミングはエドグラと同じく、スクラッチやマインクラフトではなく、大人が使う本物のプログラミングです。
ちなみに私もこれまで何十人もの家庭教師を経験し、今でも続けています。中にはプログラミングに興味を持つ生徒や親御さんもいましたが、まず勉強とのことですし、こちらも積極的には勧めないので、家庭教師先でプログラミングを学んでもらっている生徒は今までいません。
またFarningは、それに加え、グーグル広告(ネット検索で上位に広告表示される機能)を使うことでさらに生徒がどんどんと増えたそうです。(大体みんな使っています)
生徒が増えた後はいろいろなことを企画したが、スタート当初は特別な集客は行っていないとのことでした。
決め手は、ゲーム作りの教室は多いが、他に本物のプログラミングの指導をしている質の高い教室がFarning以外にほとんど無かったからだとのことです。
スクラッチ、マインクラフト教室などはドイツでは少ないのか?
と尋ねたところ、
ドイツにもたくさんあるし、Farningでも一時期取り入れたが、子ども達はそれらにあまり興味を示さなかったし、親からもそれよりもちゃんとしたプログラミングを教えてほしいと要望があったそうです。
京都市内で見ても、本物のプログラミングをメインとして経験ある指導者が教えている教室はエドグラ以外にほぼないと自負しています。
エドグラでは、スタート後にまあまあな金額をかけてネット、チラシなどでの広告を打ちましたが、50人などほど遠く、数人の優秀な生徒が集まりました。
中にはマインクラフトなどのゲーム教室ではないことがミスマッチとなりご入会されなかったりも多々ありました。
ここにドイツ教室Farningとの大きなギャップを感じました。
ドイツ-ミュンヘンと京都市の人口はほとんど同じです。
日本でプログラミングブームが起きたのは十数年前であり、その頃はプログラミング教室というだけでその内容に限らず生徒がどっと集まりました。
ドイツでもほぼ同じ時期からプログラミング学習への期待が起きており、Farningのスタートした2018年からが特別人気の出てきた年でもないようです。
しかもFarningはまだきちんとした教材のようなものは完成しておらず、教室の仕組みも含め固まりきっておらず現在着手中とのことです。
本物のプログラミングを、質の高い講師が教えるという理由でこれほど需要を集められるものなのか?
少なくとも日本では、マインクラフトのようなゲーム感覚で出来るプログラミングが需要を集めており、本物のプログラミングでの学習はほとんど注目されていません。
これらの話をきいて私は、
ドイツと日本には、文化なのか仕組みなのか、何かしらの理由によって意識の違いがありそうだと思い、さらに深ぼっていろいろな質問をVoitさんにしていきました。
【ドイツと日本の違い①】ドイツには大学受験の試験が無い
ドイツには、日本のような全国共通の大学入試試験や共通試験に相当するものが無いそうです。
代わりにアビトゥーアと呼ばれる高校での成績が医学,法学など志願者の多い大学への入学指標となるそうです。
他にも、スポーツやサイエンスなどの実績やスキルの証明、面接などがかかわってくるそうです。
小学校、中学校でのいわゆる学校の勉強は適度にパスできれば良いという価値観とのことです。
そのようにお聞きした時、そうなるとドイツではどうなるかを考えると、
学校の勉強よりも将来を考えての具体的な学びに親子とも意識が向きやすい制度的な側面があり、本当に役に立つか曖昧なゲーム感覚のプログラミング学習よりも、より将来に役立つかどうかを意識した質の高い本物のプログラミング学習に需要があるのだと感じました。
プログラミングでいろいろなことができるようになれば、サイエンスの学部への入学や、エンジニアとして働くことの助けになるでしょう。
一方日本では、大学受験が最終ゴールであり、それ以外は二の次という制度的・文化的側面があると思います。
大学の学歴が子どもや親の名誉となったり、その後いい仕事に就くための指標となったりと、ドイツとは異なり学校の勉強が最も関心の高いものとなります。
日本において、もちろん小学校・中学校から大学受験の合格をゴールとしてずっと意識しているので、適度にパスできればという考えではありません。
そのため、日本では学習塾のような習い事は妥協しない代わりに、プログラミング教室のような習い事は、ドイツほど真面目に考えて取り組もうとする人は少ないのだと考えます。
逆を言えば、もしかするとドイツでは学校の勉強に関しては、日本の子どもプログラミング教室のようにゲーム感覚で学ぶような学習塾が流行りやすいかもしれません。
日本では、中学校、高校での学校の勉強についてゲーム感覚の教材がメインとなることは、受験という制度が変わらない限り今後ありえないでしょう。
とはいえ、「学校の勉強」「プログラミング学習」のどちらも、真剣に将来を考えた場合、どちらもゲーム感覚で楽しさをずっと優先してやるモノとはならないことが分かります。
つまり、日本では受験が最終ゴールであるからと言って、プログラミング学習のほうはゲーム感覚でやり続ければよいというわけではありません。
【ドイツと日本の違い②】ドイツは日本よりもゲームが子どもに悪影響を与えるという意識が強い
Voitさんから聞いて最も驚いたことの一つが、
ドイツ教室の子ども達は「マインクラフトにあまり興味を持たず」、親子共に本物のプログラミングでの指導を求めてきた
という話です。
本物のプログラミングでの学習をメインとしているエドグラとしては、とても興味深い話でした。
日本では真逆ですから。
これは、先ほどの学校の勉強がメインかどうかの違いも親子の意識に違いを生んでいるとも思いますが、どうもドイツでは日本よりもゲームが子どもに悪影響を与えるという意識が強いようです。
ドイツでは、ゲームに対して非常に厳格な年齢制限を課す制度があり、すべてのゲームは審査機関(USK)で審査されます。
「ゲーム中毒・依存」「暴力描写」などを懸念しているそうです。
その点、スマホゲーム、テレビゲーム、ネットゲームなど、日本発のものも多くあり、日本ではそれらを子どもが消費することへの抵抗はドイツよりも小さいように思われます。
Voitさんは、スクラッチ・マインクラフトなどのゲーム感覚であるものを通して子どもたちがプログラミングを学ぶことについては、次のポストのようにおっしゃっていました。
つまり、ゲームを利用して学ぶことは、体にあまり良くない「ジュース」で飲むようなものであると比喩しています。
私もそれらは学び初めには有効であるとは思いつつ、その意見に同意です。
とくに私が気がかりなのは子どもにとっての「中毒性・依存性」です。
子どもにとって真に必要な力が、
たいていの子どもが画面にくぎ付けになるほどハマれてしまうものによって身に付くか、
そんなありがたい話はありません。
何もせずゲームばかりやっていた子どもが、マインクラフトには興味を持ったことを喜ばしいと思われる人も多いかもしれません。
しかし現代で主流となっているけれど、危うい価値観に以下があります。
・子どもの興味を最大限尊重する
・何かにハマっている子を邪魔してはいけない
これらは、スクラッチ・マインクラフトなどを含めた「ゲーム感覚で学べる教材」が完全に肯定される価値観です。
子どもに任せれば当たり前にやりたがるし、ハマります。
これら2点の価値観の肯定には、子どもに抜けている視点について親がしっかり子どもとコミュニケーションを取っていることが前提だと思っています。
中学生、ましてや高校生がいつまでもこのようなゲーム感覚で学べるソフトで、もしも「学校の勉強」を何時間も没頭してやっていたとしたら、日本ではおおそらく危険だと感じるでしょう。
それがプログラミング学習であれば、やらないよりは多分ためになるだろうし、最悪ためにならなかったとしても子どもが楽しんでいるし、受験が上手くいけばOKになるのが日本であり、ドイツとの違いであると思います。
スクラッチ・マインクラフトなどのビジュアルプログラミングは、あくまで学び初めの「はじめの一歩」でとどめるべきで、興味関心・基礎基本が学べたらスムーズに本物のプログラミングに移行するようにするのが一番いいと思っています。
【ドイツと日本の違い③】英語圏と非英語圏による障壁の違い
ドイツの母国語はドイツ語ですが、第二言語として英語も使われます。
日本では英語は教科として学びますが、ご存じのとおり、話す読む聞くなど英語を使いこなせる人は多くありません。
プログラミングコードは英語と数字で書かれるので、英語になじみの深いドイツの子ども達の方が、日本の子ども達よりも、プログラミングコードに対する抵抗感が少なく、学ぼうとするときの障壁が低くなるだろうと思われます。(親目線でもそうだと思われます)
3.さいごに
今回ドイツ教室のVoitさんと話してみて、エドグラのあり方について改めて考えるきっかけとなりました。
本物のプログラミングを学んでほしいという思いはドイツ教室Farningとエドグラは同じであり、Farningはエドグラからすると理想的な集客ができているように思います。
しかし、やはり日本とドイツは文化的にも制度的にも違うため、日本において理想ばかりでは、子どもたちが本物のプログラミングで学べるところまで至りません。
だからこそ、エドグラでは本物のプログラミングをメインにしつつ、その前段階のスクラッチ・マインクラフトなどの役割である「興味関心」「基礎基本」の「興味関心」の部分から入ってもらえるように、例えばマインクラフトを最初に学ぶカリキュラムに取り入れるなどすることで、最終的には本物のプログラミングにつながる子ども達をなるべく増やすことができるのではないかと考えました。
エドグラでは今後も積極的な改良と、様々なイベントを企画していきます。
まずは無料体験会にお申込みいただき、是非エドグラで生きる力を育みましょう!!