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編プロ社員のモチベーション維持は大変?

どの企業も商品も同じですが、やはり本も「売れる」ことが「正義」であり、「正解」です。

どんなにいいものだって、人々に周知されなければ意味がありません。そのために、販促のプロモーションを請け負う会社だったり、コンサル企業が存在するのだと思います。

でも編集プロダクションに勤める私の本音は、


編プロに売り上げとか、関係ないし?


というのが正直なところです。

契約にもよりますが、基本、編プロは版元さんに「この本を○○円で作って」と依頼されるだけなので、結果的にその本が売れようが売れまいが、純粋な利益にはつながりません。

厳密に言えば、編プロだって売り上げは気にします。しかしそれは、「次の仕事につながるかどうか」という意味で気にするだけです。社長はもちろん、部長や課長クラスになりますと、版元さんからの「重版決まりました!」という連絡に一喜一憂しますが、私のような平社員ですと


「で?」


となるだけなんですね。

むしろ、


「売れる本を作れる技量があるなら、自社で出せよ」


と、モチベーションは下がる一方。

実は今日5月19日は、私にとって、編プロに就職して丸3年目の記念日だったりします。

弊社に勤める社員は大きく2通りに分けられます。「新卒で入り、10年以上勤務していて、今後も退職する意思がない社員」。そして、「経験を積むためだけに入り、ゆくゆくは版元さんに就職しようと考えている社員」です。

弊社に残る側の社員には、共通点があるな、と日々感じております。それは、下記3つ。


・野心がないこと

・真面目で献身的であること

・「知らない」「わからない」状態から、抜け出す方法を調べたり、探す努力をしないこと


野心がない、というのは悪く言えば「向上心がない」と表現できるかもしれません。わかりやすく言うと版元と編プロは、企業と派遣社員のような関係です。企業側は困った時だけ派遣社員を利用しますし、派遣社員は己の意思で、より条件がいい企業を自由に選択することができます。

編プロ自体に本を出版する体力がないのであれば、割り切るしかないと思いますが、「売れる」とわかっている本を、なぜ他社の名前で出版することに何も感じないのか。私は常々、これを不思議に思っています。

超ざっくばらんに言うと、


なんで黒子で満足できてるの?


という感じでしょうか。

そこで「真面目」と「献身」が出てくるわけですね。とにかく、与えられた仕事を100%の力で達成する。それによって、編集費がアップするわけでもないのに、必死で取り組む。上司や先輩を見ていると、そういう人が大変多いです。

今、この記事を書いていて、ふと、映画『バクマン。』を思い出しました。そこに登場する漫画家・中井巧朗(皆川猿時)が言ったセリフがとても印象的だったのです。

「この砂嵐の表現は、アシスタントの時は使わなかったんだ。自分の漫画で使おうと思って、取っておいたんだよ」

言葉はうろ覚えなのですが、内容はこんな感じだったと思います。漫画家のアシスタントから念願の漫画家になり、「やっとこの技術が使える!」と主人公2人組に向かって、中井が自慢げに話すのです。

私はこのシーンを観て、心から「そうだよねぇ」と思いました。私だってそうすると思います。自分の名前で、自分が描いた漫画を出す時まで、奥義は使わないと思うんです。他の人にみすみす、このスキルを捧げてたまるか!と。それが野心であり、向上心ではないかと私は考えています。

しかし実際に編プロで働いておりますと、どうやら上司や先輩も100%満足はしていないことがわかって参りました。様々な愚痴や文句を、仕事の合間にボソボソと話しているんですね。その内容は主に、クライアントさん——版元さん、もしくは著者さんについてです。


「中身は私たちが作ってやってるのに、美味しいところは全部版元(著者)が持っていくよね」


というような感じ、です。それを理解して編プロという媒体を選んでいるはずなのに、やっぱり色々ありますから、不満や鬱憤が溜まるわけです。

でも思い出していただきたい。私たちは「選べる」んですよね。自分がどこで働くか。そして、どのように働くか、を。

純粋に経験を積み、人脈を広げるという目的であれば、編プロでの仕事は大変、実になるのではと思います。でも、一生編プロで働くというのは「多種多様な本に関われる(それでもジャンルは限定されてきますが)」というメリットがあるくらいでしょうか。

たった1つの企業しか知らないので、「ウチはこんなことないよ!」という編プロさんもあることでしょう。どんな風に作業を采配されて、社員の方はどのような心境で勤務されているのか。知る機会があれば、ぜひ知りたいところです。

今回は記念日記事、ということで、ただただ現在の心境を綴らせていただきました! お付き合いいただき、ありがとうございます。

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