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地域活動をする上で森ノオトはなくてはならないプラットホーム|コマデリ ・小池一美さん(ライター)

森ノオトにかかわる人たちの声を聞きながら、ローカルメディアのあるまちの現在を描いていくインタビュー企画。6回目は小池一美さんです。わたくし編集長・梶田にとって先輩森ノオトライターであり、コマデリとしては森ノオトとシェアオフィスのパートナー、あおばを食べる収穫祭の立ち上げの人と、さまざまな顔で森ノオトとかかわる小池さん。小池さんにとっての森ノオトって?と聞いてきました。

—— 森ノオトエリアで、地産地消のキッチンカーといえばコマデリ!と真っ先に思い浮かぶほど、地域を食で盛り上げる活動を続けている小池さん。もともと地域や農に関心があったんですか?
 
私は生まれから青葉区ですが(当時は緑区でしたけど)、地元の農業にはまったく興味がなくて。そもそも、地元に興味がなかったんですよね。地域の「ち」の字も考えたことがなかったくらい。まさか今こんなことしているなんて、思いもよらないですよ。
 
新卒で働いてたのが編集プロダクションで、転職して旅行会社で働いていたころ、食にめざめたんです。学びたい、資格を取りたいと思って、働きながら専門学校で学ぶようになって。当時は調理の道はまったく考えていなかったです!激務だし、私は事務系と思っていたから。それが、学んでいたら現場に立ちたくなってくるんですよね。添加物が気になっていたこともあって、オーガニックスーパー「マザーズ」の神保町のレストランで働き出したんです。
 
それから藤が丘店で働くようになって、社長に「青葉区育ちなら“青葉っ子”ですね」「地産地消ですよ」と言われて!!
 
そのときに、社長に「青葉区は男性長寿日本一って知ってる?」とかけられた言葉が、ストライクで私に入ってきたんです。この地域おもしろそう!って。そこから地域に興味がわき始めました。横浜市のはまふぅどコンシェルジュの講座を勧められて受けたのも、このころでした。


森ノオトとシェアオフィスする森ノオウチ。家の前に停まっているの軽トラが、キッチンカーコマデリ号

 —— 森ノオトを立ち上げて活動を始めていた北原まどかさん(現森ノオト理事長)ともそれから出会ったんですね。
 
マザーズで地産地消のマルシェイベントをやってみたいと思っていたころに、紹介されたのが北原さんでした。一緒に遺伝子組み替え作物を扱った映画上映会をやりました。
ある時、一緒に出かけた帰りの別れ際に、「ライターやってくれる人いない?」って言われて。新卒で編集プロダクションにいたことや、旅の記事を書いていたことなんかを話していたら、「じゃ、小池さん書いて!」って。「農家さんの記事を月に1本書いて」と言われてね、ふたを開けてみたら、「小池一美の農と食をつなぐ熱血報告」って名前がついてたんですよ!!
 
—— それは結構、なかなかの展開ですね!
 
当時はライター講座もまだなくて、スカウト制だったから。そのころ、フラメシ(青葉区鴨志田町のレストラン、現ウチルカ)でフルタイムで働いていてたので、森ノオトのメンバーになるなんて思ってもみなかったんですけどね。
でも、地元の農業の面白さに気づいていたから、何の違和感もなくやりました。休みの日に取材に行って、取材も書くことも楽しかったです。今より10歳若いし、エネルギーがあったからできちゃったんですよね。
 
金子石油(鴨志田町のガソリンスタンド)が飲食店立ち上げるからって紹介されてフラメシで働くことも、キッチンカーを始めることも、自分の意思というより、全部流れなんですよね。私の目標はぴんぴんコロリだけど、こうなりたいとか夢はない。目の前のことだけ。自分で狩りにいくタイプじゃないけど、チャンスはものにしている!!
 

森ノオウチに入ると玄関に飾られているコマデリの看板。普段はなかなかゆっくりは話せない小池さんと、今回は大笑いしたり涙したりしながらいろんなお話を聞きました

—— 小池さんが農の記事を書いていたころ、ちょうど私もこのエリアの農業が気になって調べていたら、森ノオトの記事に行き着くことばかりでした。記事から熱量が伝わってきて、このライターさんすごいな!とひそかに思っていました。
 
そうだったんですね!農家さんの話を感動して聞いていたから、それが伝わったのかな……。最初の取材は青葉グリーンファームの内藤泉さんで。風の強い日だったんですけど、人参酵母菌で有機栽培をしている内藤さんの畑は、土ぼこりが全然立っていなくて!!へーーーって思いましたね。
 
 
——  2012年に森ノオトデビューして、10年以上経た今もマルシェ情報を毎月書いていますね。続ける原動力って何なのでしょう。
 
私のモットーは持続可能性。続けることを一番大事にしています。打ち上げ花火的に1回やって終了っていうのは嫌なんですよね。心の片隅にあったのは、はまふぅどコンシェルジュの講座で出会った佐藤農園・佐藤克徳さんの言葉かな。やめるのは簡単だけど続けるのは大変だっていうようなことを言っていて、そういうのが響いたんだと思う。佐藤さんとの出会いは自分にとって大きかったです。


フルタイムで働きながら月1本取材記事を書き続けた小池さんの熱量はすごい!!佐藤さんの記事も載っています

—— 小池さんが参加し始めたころからの、森ノオトの変化はどんなふうに見えていますか?
 
変わっているというという感じは全くしないですね。大きくはなっているけど、変わってはいない。地域を大事にしている。その主軸は全然変わっていなくて。
 
私の地域活動の原点は、マザーズとはまふぅどコンシェルジュです。そこから種を撒いて、耕して芽を出してもらったのが森ノオトだと思っています。地域活動をする上でなくてはならないプラットホーム。北原さんは当初から「森ノオトは地域のプラットホーム」と言っていたけど、完全にそれにのっからせてもらってる。
私はあまり表に出たくなくて、目立ちたくないタイプなんだけど、北原さんや金子拓也さん(金子石油社長)がそばにいる安心感は大きくて、恩人と思っています。
 
私の幹は「地域」で、コマデリは「コンテンツ」。森ノオトも、地域活動の表現方法のひとつだと思っています。


4月の編集会議ではコマデリのお弁当を届けてもらった。手前が塩豚、奥がコマロコカレー

—— 森ノオトがあることで地域にどんな変化があると思いますか?
 
変化っていうか、地域のトップランナーだと思ってずっと見ています。森ノオトという存在は、私の中で絶対的にエース。やっぱり森ノオトの丁寧さがすばらしいなと思う。関わり方が丁寧だし、ウェブサイトにも丁寧さが出ている。
 
昨年のあおばを食べる収穫祭は、森ノオトの丁寧さを決定づけていたように思う。結構な雨予報の中で、前日には開催すると宣言して。テントに防水スプレーをしたり、出店者への連絡とか、横で見ていてこの準備はすごいなと思っていた。これが森ノオトだと思ったし、地域に信頼されているのはこういうことだからだと思った。丁寧さときめ細やかさは森ノオトの真骨頂ですよ。
 
10年の節目で認定NPO取得を目指しているっていうも、あ〜さすがこのタイミングで!!と思う。森ノオトって止まっていない、現状に満足しないというか。そういうところだと思っています。

小池さんらしいモノといえば……。いつも愛用しているnu:uさんのエプロンを用意してくれました。手にしているのが、nu:uさんが何度もお直しを重ねた初代エプロン!!小池さんらしい笑顔をパシャリ(あ、今日何か忘れたと思ったら眼鏡忘れちゃいました〜と小池さん)

(おわりに)
小池さんはコマデリ を「地域活動」と話していて、商いではなくて地域活動なんだと、その言葉が私の胸に残りました。そんな地域活動が、森ノオトがプラットホームとなって耕され、花開いていく様子が語られ、私はずっと身を乗り出して聞いていました。小池さんと北原さんとの10年以上前のはじまりのお話を聞きながら、小池さんが地域に目を向け、感性に正直に進んでいくその道に、森ノオトがあったんだなあ。出会いの中から紡がれた記事が愛おしいなと思いました。森ノオトは人がつくる。それを感じた取材でした。
 
(取材・撮影)梶田亜由美

 この連載は森ノオトのNPO法人設立10周年の今年、「ローカルメディアのあるまちづくり」を、森ノオトにかかわる人たちの言葉を通じて描いていく企画です。
ウェブメディア「森ノオト」は、横浜市青葉区を拠点に、市民が書き手となって地域の豊かさにつながる記事を発信しています。森ノオトの記事に共感してくださる方の寄付での運営を目指しています。2023年はこれからの10年に向けてバースデードネーションを実施中です。応援どうぞよろしくお願いします!
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