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再開した訪日観光の課題に斬り込む、唯一無二のデジタル清掃サービス「Jtas」のプロダクトとは?

Introduction

Edeyans のデジタル清掃サービス「Jtas」のプロダクト展望を知るために、今回はプロダクト責任者である舞原さんにお話を伺いました。

舞原 勇雅(28):プロダクト責任者
1994年生まれ、国際基督教大学卒業。学生時代に自身で民泊清掃事業を立ち上げ、月400時間ほど働く。その後、新卒でアクセンチュア株式会社に入社し、メディア業界や通信業界で機関システムの刷新に伴う業務・機能要件定義を経験。2021年2月から Edeyans に業務委託として携わり始め、同年10月よりホテルと清掃会社、両者が利用するデジタル清掃サービスのプロダクト責任者として入社。
👉 舞原のメンバーインタビューはこちら

ー デジタル清掃サービス「Jtas」のプロダクトはどのようなものでしょうか?

ホテルと清掃会社、両者が利用するホテルバックヤードの “生産性向上” と “業務量削減” を実現するクラウドサービスです。
業務の受発注から集計・請求まで、すべてのオペレーションをクラウド上でデータを管理することで ホテル / 清掃責任者 / クリーナー 3者の情報連携をスムーズにし、無駄な紙・電話のやりとりをなくすことができるサービスです。

ー 無駄な紙・電話のやりとりをなくすというと?

一般的に、ホテルでは清掃会社に依頼する日々の紙の清掃指示書作成に2~3時間かかっているんですが、当社のクラウドサービスを使えば、それを30分に短縮できます。
清掃状況をスマホやタブレットを使って管理できるようになるので、清掃会社にとってもその清掃指示書の確認やクリーニングレポートの提出が効率化できますし、さらにまだ日本語に不慣れな外国籍の清掃スタッフでも指示書の内容がわかる言語翻訳機能によりマネジメントコストやコミュニケーションエラーも減らせるようになりました。

ホテル側からは「残業しなくてよくなった」「夜勤スタッフがしっかり休憩できるようになった」、清掃会社側からは、「全体的なマネジメントコストが減った」という声をいただいており、ローンチわずか半年で続々と大手ホテルに導入いただいています。

ー プロダクト開発の背景を教えてください。

一番大きな背景は、客室清掃スタッフの人手不足です。
コロナ禍により業界で活躍していた人材が一気に流出した結果、最少人数で清掃オペレーションを回していたのがホテル客室清掃の実情でした。
それがこの1年ほどで急激に稼働率が上がってきているにも関わらず、採用は急にできるわけでもありませんし、採用したスタッフがすぐに活躍できるわけでもないので、人手不足に悩まされているのが現状です。実際に、清掃スタッフがいないからホテルの部屋を販売できない「売り止め」という状況も頻発しています。

ー なるほど、観光需要は戻ってきているのにバックヤードが追いついていないんですね。Edeyans のクラウドサービスはどのように人手不足にアプローチするサービスなのでしょうか?

まず、一言で人手不足といってもそこに紐づく解決策は1つではありません。
例えば1つの解決策は「働き手を増やす」こと。
業界の特徴として給与が少ない、休みが取りづらいなどのネガティブな雇用環境がある中、中長期的には宿泊清掃を “就きたい仕事” にしていくことも大切だと思います。
ただその解決策では、現在起こってしまっている課題へのアプローチにはなりません。だからこそ、それと同時にもう1つの解決策「既存スタッフでどのように業務を効率的に回すのか?」という観点も大切なんです。
Edeyans は後者に焦点を当てて、既存スタッフの “生産性向上” と “業務量削減” を目指してプロダクト開発しています。

ー なぜ、清掃業務の “生産性向上” と “業務量削減” に目を向けるようになったんですか?

Edeyans は2018年、民泊清掃オペレーション事業から創業しました。
2021年にホテル客室清掃オペレーションにピボットしたものの、いずれも自社で宿泊業界の清掃課題を痛感していたからです。とりわけ、ピボット後ホテル客室清掃の課題に注力したプロダクトの開発構想が上がりました。

ー ホテル客室清掃には、具体的にどんな課題があったのでしょうか?

清掃スタート時間が毎日10時だとして、清掃責任者が出勤するのは7時30分。
清掃スタートする2時間半も前に出社する必要があるんです。

なぜそんなに早く出勤する必要があるのか?
それは、ホテルからの清掃指示書が何枚にもわたる紙で渡されるからなんです。
清掃責任者は、それを清掃会社側にとって必要な形でまとめ直す必要があり「この部屋はこういう清掃をして、こういうアメニティを置いて」などと、部屋ごとに取りまとめを行うために数時間かかってしまうのが現状でした。

加えて、各部屋にどの清掃スタッフを配置するのかも考えないといけません。
その上、清掃スタッフ1人当たりの生産性が可視化されていないなど、かなりたくさんの課題がありました。

最初は客室清掃オペレーションを請け負う Edeyans としての課題だと思っていたのですが、調査の結果、客室清掃業界全体の課題であることがわかったんです。その時に、僕ら Edeyans の取り組むべき課題は清掃業務の “生産性向上” と “業務量削減” であり、客室清掃のデジタル化は絶対に取り組むべきだと考えるようになりました。

ー 自社で行う清掃オペレーション事業で捉えた課題を起点に開発が始まったのですね。

そうですね。
それにより大きな優位性もあると思っており、システムだけを作っている IT ベンダーと比較して清掃会社やホテルの人が抱えている課題への解像度の高さは明確に我々の方にあります。なので、少しでも清掃スタッフが使いやすいと思ってもらえる UI・UX を追求できる自信もあります。
また多くの清掃会社と比較しても、Edeyans 以上にシステムの知識を持った会社は他にありません。

平均年齢28歳。約10名の正社員メンバーが活躍している。

ー 客室清掃 DX に取り組む競合がいないということでしょうか?

同じ課題の解決に取り組むプレイヤーはいると思いますが、自社で清掃オペレーションを持ちながら解像度高く課題を捉え、それをプロダクトで解決しようとしている会社は他に私は知りません。
だからこそ Edeyans が唯一、この業界を変えられる可能性を持っているという使命感を持って取り組んでいます。

ー 清掃オペレーションを行う会社が DX に着手しないのはなぜですか?

前提として、ホテルも清掃会社もアナログなオペレーション=非生産的な業務にフラストレーションを抱えており、かなり強い“生産性向上” と “業務量削減“ ニーズがあることに間違いありません。しかし、ホテル清掃業界は30年変わっていないと言われているんです。
その大きな理由はホテル清掃の粗利率が低く、PL 経営をしようと思うとデジタル投資する余裕がないから。変わりたくても、変われないのが現状なんです。
Edeyans も清掃オペレーションから創業した会社ではありましたが、非生産的な業務の解決により業界全体の利益を追求していきたいと考え、先行投資をしてきました。

一方で “レガシー業界を変える” と意気込むスタートアップがエクイティで資金を集め、赤字を掘りながら第三者的に業界を DX しようとしても、着目するのはフロント業務や集客などのホテルの基幹システムです。この課題に目をつけたとしても、ここにどんな課題があるのかは、業界の中からでないと見つけられない複雑さはあると思います。

また、ホテル清掃のアナログなオペレーションを解決しようとすると、どうしてもホテル側と清掃会社側、双方の領域をまたぐものにならざるを得ません。それぞれの業務についてホテルと清掃会社のどちらがボールを持ってやるべきなのかもあまり明確になっていないものもあり、曖昧になってきたからです。これは実際に取り組んでみると、めちゃくちゃ難しい課題なんです。特に僕ら Edeyans の場合、清掃会社側の課題感の理解はあるんですが、ホテル側のことはなかなかわからない部分が多いので…。そこは意志を持ち、Edeyans がプロダクトを通じて描きたい世界に基づいて取り組んでいます。

ー プロダクトを通じて描きたい世界というと?

僕ら Edeyans が解決したいと考えているのは、業界の大きな課題である「人手不足」です。
この人手不足はいろんな課題が複雑に絡んでおり、例えば、清掃業界自体が他業界と比べて給与も安く、365日稼働するホテルに合わせて休日も少ない・取得しづらい問題があり、人手不足の原因の1つとなっています。
これを複合的に解決できるのが清掃業務の効率化・従事するスタッフの生産性の向上だと考えています。
当社のクラウドサービスでは、通常1日数時間かけて行われている清掃指示書の作成業務を10~15分程度まで短縮することができます。こうした業務時間の短縮や効率化により、スタッフ1人あたりの生産性を高めていけると考えており、ゆくゆくはスタッフの給与アップや休日数を増やせるようにしていきたいんです。

ー 導入実績はいかがでしょうか。

ローンチ半年で、累計契約数は数十社程度に導入いただきました。
課題が根深い伝統的な大手ホテルチェーンを中心に営業しているのでリードタイムは3~4ヶ月程と長い中、毎月複数社契約が取れている状況です。

ー 事業はすごく順調に見えますが、もし課題があれば教えてください。

一番の課題は、カスタマーサクセス(CS)メンバーの不足です。
… と言っても、現在の CS は2名。どちらも清掃業界・CS ともにまったくの未経験から活躍しているのですが、ホテル業界・清掃業界はこれまでテクノロジーを活用してこなかった業界であり、1つのシステムを導入するのにどうしても時間がかかってしまいます。1人の CS メンバーが1現場をオンボーディングできるかどうかという現状になってしまっていて、人手がもう少し増えれば導入も早くなると考えています。

ー オンボーディングでは具体的にどのようなことをするんですか?

現場で業務見学し、業務の流れを整理してもらう「導入前のヒアリング」や「キックオフの実施」、実際に清掃状況をスマホやタブレットを使って管理してもらうための「導入フォロー」を行います。
僕らのクラウドサービスを使用する清掃スタッフには60〜70代と高齢の方や外国籍の留学生が多く、 IT リテラシーが高くないことや言語の壁があることに一番苦労しています。というのも、アプリを開く・ログインするということだけでも時間がかかってしまうのが現状なんです。

舞原(右)と1人目の CS として活躍する森(左)

ー それでも清掃業界の年齢層は高く、エンドユーザー層が高齢な分、それも覚悟で導入支援する必要がありますよね。

そうですね。僕ら Edeyans が実現を目指している世界のためには、年齢や国籍関係なく現場の清掃スタッフにクラウドサービスを活用してもらう必要があります。だからこそ現場の高齢者や留学生の清掃スタッフとフレンドリーに接することができて、それでいて彼らの清掃業務にリスペクトを持って丁寧に教えることができるようなマインドをお持ちの方と一緒に働いていきたいと思っています。

答えは全て現場にあると考えているからです。
積極的に現場に出向き、粘り強くエンドユーザーに向き合って導入していくことと、現場の声に耳を傾けられる人とぜひ一緒に働きたいですね。

ー 一緒に働くメンバーはやはり IT 業界出身者が良いのでしょうか?

出身業界は特に気にしていません。
それより、ずっと変わらないアナログな業界に課題感を感じて、熱意を持って改善に取り組めるかどうか?という観点が一番重要だと思っています。
いままで何十年と変わってこなかったレガシーな業界で、かつ他のプレイヤーもまだ存在してない中、Edeyans が最前線を切り開けるかどうか懸かっているのがホテル清掃業界なんです。だからこそ業界問わず、いままでの慣習を疑い、新しい価値を世に提供していきたい、そのために自分の力を発揮したいなどと、強い意思を持っている方と一緒に業界を変えていきたいですし、そのための土壌は Edeyans には整っていると思います。

ー Edeyans に携わるやりがいとは何でしょうか?

僕らの捉える課題に対して、業界内でも先駆者がいません。本当の意味でゼロイチをやっているので苦労も多いですが、その分現場スタッフから、僕らのクラウドサービスによって業務が楽になった・休憩や休日が取れるようになった」などの声を聞くと本当に取り組んで良かったと感じます。
現場は、いままでのやり方が当然だと思っているので使い方に慣れるまでは労力がかかるんですが、一度慣れてしまえば「なぜあんなに紙でやっていたんだ?!」とハッとさせられたというご意見をいただいています。

現在はホテル側から清掃会社に送付する清掃依頼の機能開発に力を注いでいますが、ホテル側からの清掃依頼の取りまとめ業務がなくなって楽になったと言われます。
僕自身も清掃業務に携わっていただいているみなさんの業務が楽になる、少しでも休みが取れるようになる、そしていずれは給与が高くなる…こうしたことを実現していくことがやりがいだと思っています。

ー 最後に、Edeyans に興味を持ってくださっている方々にメッセージをお願いします。

ホテル清掃はホテル業界を支えており、ホテル業は日本の観光を支えています。
観光業は今後の日本の主要・主力となる産業であることはほぼ間違いないわけで、清掃業界は日本の観光を支えていると言っても過言ではない、かなり大きなポテンシャルを秘めています。
なので、日本の経済に対して何かインパクトを出したい、社会を変えたいという強い意気込みを持った人にとって、Edeyans の取り組みは使命感を持って取り組んでいただけるお仕事だと思っています。
最初は、Edeyans の取り組みは面白そう!くらいのざっくりした思いで構わないので、少しでもご興味をお持ちの方はぜひお話しさせてください。

取材企画・協力 / 世界線株式会社




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