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「精霊幻想記」の痛ましさと華やかさと

「精霊幻想記」、たのしくみていました。大学生・天川春人はバスの事故に遭うも、異世界の少年・リオとして転生、さまざまな経験をすることになるのだが。というお話のTVアニメシリーズ。事故に遭い異世界に転生、前世の記憶を活用しながら生きてゆく、まわりにはいつも女子がいる、という大まかな部分は、異世界転生もの、らしいところではあるものの、その中で描かれてゆくドラマがなかなかに重くて、それでいて、絵的な華やかさもたっぷりあって、目が離せないシリーズでした。

第1話、主人公の春人が事故に遭う場面では、電車がものすごいスピードでバスに突っ込むし、その直後のバスも、接触した電車も絵でガッツリ提示されていて。そうだよな、文章ではさらっと書かれがちだけど、事故といったら、こんなことになるんだよなと、あらためて考えさせられるものがありました。また、転生後はいつも、けっこうえげつない暴力が、みると痛みを感じるほどの絵で描かれていたりもして。さらにはそれが魔法でみるみる回復してゆくさまに、あぁ異世界って怖いな、そして魔法ってすごいんだなと、これまで何十何百という、ファンタジーとカテゴライズされる作品をみてきているはずなのに、新鮮に思えて。そういった、このジャンルに限らない、いまやアニメや漫画をみるときのリテラシーにすらなっている部分を、登場人物の視点から再定義してゆく演出が、とても興味深かったです。

という、こむずかしい部分はさておいて。女子はとても可愛く、青年は凛々しく、大人男子は渋カッコよくと、キャラクターデザインがとにかく華やかで、つねに旅を続け、住む場所を移動してゆく物語のなか、次はどんなひとが出るのかがいつも楽しみでした。

魅力的なデザインばかりの中でも、とくに主人公・春人が転生したリオの幼年期のデザインがめちゃくちゃ愛らしくて、それでいて心は20代なので、しっとり落ち着いた雰囲気もあって。シリーズ序盤はリオの姿を目で追うのが、かなり楽しみでした。課外授業でリオが彼をライバル視している同級生のアルフォンスと二人きりで洞窟に閉じ込められちゃうお話とか、セリアの部屋を片付けてるのにクラスメイトがいっぱいやってきてはかどらない話とか、アルフォンスがいやがらせをしようとするけどまったく通じなくて、ムキーと思いを募らせちゃう話とかで1クールみていたかったくらい。

最終回は、いちおうの一段落がついたかと思いきや、またもや目が離せない話が始まってしまったところで番組が終わってしまって。二期がやるといいな、なんなら、リオのわくわく学園時代編もやるといいなー。などと、いちファンとしては願ってしまうのでした。

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