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釣りが趣味だった祖父に連れられて、どこかの山奥にある渓流へヤマメだったかイワナだったかを釣りに行ったときに、浅瀬のなかで朱色のものを見かけて、子どもらしい好奇心から手づかみにしたら、図鑑の絵でしか見たことのなかったイモリだった。木々の色を映して黒くぬめった流れのなかの、苔でぬるぬるした石にしがみついていた、すらりと小さな両生類はとても可憐で、私は一目で夢中になった。イモリっていう生き物がいることは知っていたけれど、こんなに愛らしいとは思っていなかった。祖父の家で見慣れていたヤ