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前十字靭帯再建手術からの復活物語003 ‐救助活動編2‐
「あれ?ケガ人かい?」
遠くから微かに聞こえた音は次第に大きくなり、2台のモービルがその姿を現した。『こんな山奥になんで?救助の人なの?救助要請していないのに?なんとなく救助の人と少し雰囲気も違うような…』頭の中に『?』がたくさんならんで少し混乱していた。
この状況下で目の前にモービルが現れた事実。この人達は誰なのか。なぜここにいるのか。いま、目の前の状況を理解するだけの冷静さはその時の私には
前十字靭帯再建手術からの復活物語007 -手術編-
「おはよう。運転気をつけてきてね」
時刻は朝6:00。病院の起床時間だ。LINEの通知音が遠くからわたしを呼んでいる、天井がいつもと違う。
「そうか。ここはビジネスホテルか。」
少しずつ意識がはっきりしてきた。今日はついに、いや、ようやく手術当日だ。
手術前夜昨晩はマサくんとオンラインで繋ぎっぱなしにしたまま仕事をした。大部屋に入っているマサくんは、病室では電話をはじめとした会話はできない
前十字靭帯再建手術からの復活物語006 -入院編01-
「じゃあ、私いくからね」
心なしか不安そうな表情を浮かべるマサくんとハイタッチした。手術に対する不安、術後の痛みに対する不安、その後の長いリハビリ生活に対する不安。様々な思いが交錯していることは容易に想像できた。
新型コロナウイルス対応により、どの病院も面会禁止の措置がとられていることと思うが、マサくんがお世話になる病院も例外ではない。入院日と手術日そして退院日のみ付き添いが許可されており、入
前十字靭帯再建手術からの復活物語002 ‐救助活動編‐
「ごめん」
私を見たマサくんの最初のコトバ。
必死に足を動かしてマサくんのところまで登り返した。複雑な沢地形で、なかなかマサくんの姿をとらえることができなかった。状況がわからないまま不安に駆られ涙を流しながら登り返していた私。一方でどこか冷静な私もいた。
「骨折だとすると自力の下山は困難な可能性が高い。ヘリ要請?保険は…入ってる。14:00。ボートを作って自分たちで下山させることができるギリ
前十字靭帯再建手術からの復活物語001 -挑戦編-
「木にぶつかっちゃったんだって。骨折したかもしれないって。」
リグループポイントでマサくんが滑ってくるのを待っていた時に無線で聞かされた言葉。マサくんが木に衝突するなんて、ちょっと考えられない。何かの間違いだと思った。一方で、何が起こったのか状況がわからず、実感もなくて、ただ「もしかしてシーズンアウト?」と思ったのを覚えている。「もっと滑りたいな。来週の大会は出られないのかな?再来週のバックカン
スノーボーダー夫婦。noteをはじめてみます。
夫婦でスノーボードと登山をしています。2021年3月、バックカントリー中の事故で夫であるマサくんが怪我をしました。前十字靭帯と内側側副靱帯の断裂です。再建手術を行います。
スポーツ復帰まで1年と言われています。必ず雪の上に戻ると決意したマサくん。また2人で夫婦セッションができることを信じて、治療とリハビリに向き合うことにしました。復帰までの軌跡を記録しようと思います。