江田農園 「パクチー物語」


みなさん、初めまして
千葉県銚子市で専業農家を営む江田農園の江田直樹と申します。

江田農園では、パクチーを主力にケール、トレビス、キャベツ、大根、じゃがいもなど様々な野菜を生産しています。最近は、卸売の他、ネット販売やインスタグラムで圃場の様子を配信することも始めました。沢山のお客様からご注文やコメントを頂きとても嬉しく思っています。

そんな中、パクチーの栽培について農家さんから直接ご質問を頂くことが増えました。江田農園ではパクチーを通年生産していますが、実はこの通年生産というのが至難の業でして…農業は、気候や土壌などに大きく影響されるので、江田農園の生産方法が全てのパクチー作りに生かせるとは言えませんが、このノートがパクチー作りに悩む人にとって解決の糸口を見つけるきっかけになればと思い筆を取ることにしました。

パクチー作りを始めたきっかけ
実家の農園に就農して5年経ち、日々の仕事を覚え、将来稼業を継ぐ立場として、自然と経営について考えるようになっていた頃、地域の農業セミナーに参加しました。2017年夏のことです。

その頃、江田農園では、大根、キャベツをメインに生産していましたが、
夏場の売上が落ちてしまうことが大きな悩みでした。
また、大根やキャベツなどの重量野菜の生産はいずれ高齢になる両親の負担になるのではという心配もありました。

漠然とこのままではいけない、何かネタはないだろうかと探していたところ、同じくセミナーに参加していた先輩に、

「パクチー作ってみない?」と声を掛けられました。

私は、当時あまり馴染みのない野菜の名前に驚きましたが、当時は空前のパクチーブーム。
パクチーの生産を始めたばかりのその先輩にも多くの引き合いが来ており、パクチー専門店ができるなど、何やら売れそうな面白い野菜だと思いました。二つ返事で作ってみますと答えていました。

すぐに、パクチーを作り始めた先輩の農場を尋ね生産について細かくヒヤリングをしました。夏場に多くの引き合いがある=夏場実は品薄、つまり、作りにくい、という難題を抱えていることを知りました。

「実はパクチーは暑さに弱いんだよね」

と先輩。

夏のパクチーの弱さとはすなわち、とろけのこと。
とにかく痛みやすく、お客さんに納品する頃にはドロドロになってしまうこともあるそう。

パクチーはタイやベトナムでも生産されているし、
最初は「暑さに弱い」の意味がよく分かりませんでしたが、よくよく調べてみるとパクチーは寒暖差に弱いらしい。

そこで閃いたのが、

銚子は夏場でも海からの風があり、寒暖差のストレスは受けにくいのではないか、またとろけの原因となる水分コントロールも水はけの良い土地柄、相性がいいかもしれない。

この時点では直感的ではあったものの、半ばノリで、

「僕パクチー作ります」

と宣言していました。
これが私のパクチー作りの始まりでした。

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ライター:にっぽんやさい 山本桂子



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