高2前期)N高で履修できる科目には限界があるが、N高の学びは自由だ
子すずめは学校法人角川ドワンゴ学園N高等学校の通学コース生でこの春高校2年生になりました。2022年4月からN高オンリー、N高純正品です。
昨年度、履修科目について子すずめは散々悩み、迷いました。というのも、子すずめは高1の時点で理系の進学先を考えていたので、N高で受講できる科目だけでは不十分。その辺りの履修科目選択の悩みは昨年11月の投稿「2年次の履修科目どうするか?」に書きました。
科目選択…。全日制普通科高校に在籍していたとしても結局のところ、自分が選択したい授業を受講できない場合も結構あります。自分が生物と地学を履修したくても自分の所属高校では(その科目指導教諭の繰り回しや学校内での時間割やカリキュラム編成上の都合で)生物と物理の組み合わせでしか履修できないとか、[高校教務が決めた科目の組み合わせの科目]でしか履修ができないということは、あるようです。N高だからというわけではなく、どの高校であっても履修科目の選択の自由には限りがあるのではないかと思います。(高校入学前に、その高校で履修できる科目が何か?まで調べて受験する子ってどれくらいいるんだろう?)
私個人には、N高では授業は映像授業なのだから自由にいろいろな科目を学ぶことができるというイメージがありました。映像授業だし、単位制高校だし、好きな科目を履修選択できる…大学(の一般教養時代の1、2年生時)みたいな感じだと、勝手にイメージしていました。
たしかにプログラミングやファッションなどの授業動画がN高の学習プラットフォームであるN予備校にはたくさんあるのですが、それは課外授業としてであって、高校卒業資格を得るための単位をもらえる履修授業が豊富にあるわけではありません。実際の所、標準履修科目という[学園から推奨された科目群]があり、1年次の科目25単位、2年次の科目25単位、3年次の科目25単位の、3年間を通じて合計75単位(=高校卒業とみなされる単位数)を取るべし!学年ごとの[学園から推奨された科目群]以外の科目を履修したい場合はメンターと相談した上で、履修変更すべし!という運用になっています。履修科目は固定されている…履修科目の選択の自由度は低めと感じます。
それに加えて私個人の印象では「N高はITに特化した教育機関だ」と思っていたので、理数科目の履修がガチ理系なのかな?と子すずめが入学するまでは思っていました。が。2022年度入学した吾子の場合は数学の標準履修科目が数Ⅰと数Aだけであること、3年次の標準履修科目に数学が入っていないことにはかなりな驚きでした。え、数Ⅱや数Bは?高3では数学やらなくていいの?大学受験勢はその程度の勉強で大丈夫なのか?と驚きました。理科も3年間のN高在籍期間の間に標準履修科目として学ぶのは、(2022年度入学の生徒の場合は)科学と人間生活、生物基礎、地学基礎の3科目のみ。
標準「外」履修科目として、数IIや数B、「ー基礎」がついていない生物や化学といった科目は設定されていて実際に開講していますが、標準「外」科目を履修したい場合、学園の履修担当相談窓口や自メンターさんに要相談→履修科目変更手続きという手順を踏まねばなりません。ーーーこれはN高に高1の段階で、[高校で取得した単位0で入学した場合]においての話なので、前在籍高の単位を持って転入してくる生徒の場合はこの限りではないと思われます。(自分と違う事例なので、実際の所、転入の場合の履修科目のことは把握できてません)
前在籍高から取得単位を携えて転入する場合は、前在籍高校での取得単位との兼ね合いで、[学園から推奨された科目群]である標準履修科目をすでに前在籍高校で取得済みである事例もあり得そうです。なので、前在籍高校の単位を携えてN高へ転入する前に、取得済みの単位と科目を手に、学園の履修担当にしっかりと相談して履修科目を決めてください。入学してから「こんなはずじゃなかった!」とミスマッチを起こさぬように。
我が家は転入ではなく新入ですが、中3時点で履修科目についてもっと深く知っておきたかったなと後悔しています。とりあえずは高校生活1年目なのでN高推奨の標準履修科目でいいんじゃね?と多数派(その年次における標準履修科目を履修登録した)に逃げた我が家は、高1の夏に「高1で履修選択している理科科目は受験時の試験科目として使えじゃねーじゃん!」と知り、「昨年度の1月までに知っておけば、この科目の履修変更したのに!」と悔しい気持ちを抱きました。無知は自分の首を絞める…でも言い訳していいですか?現高1から文科省の学習指導要領が新しくなったので、その切替タイミングもあって科目名とか変わったのかなあ…くらいにのほほんと勧められたままの標準履修科目のセットを選択してしまったのですよね。中途半端な知識(と、それを元にした推量)も自分の首を絞める…
理数以外の履修科目…技能教科については、N高では体育は必須(体育Ⅰ→体育Ⅱ→体育Ⅲと3年間体育は常に標準履修科目になっていますし、3年間中の1年は保健も標準履修科目です)ですが、それ以外の技能教科は美術しか開講していないので、音楽や書道の科目を履修科目として選択できません。
大学受験の際に志望大の出願規定上に「数Ⅱを履修していること」などの前提条件がある場合は、メンターやN高の履修担当の人が相談にのってくれます。在籍生に対しては昨年12月に次年度の履修科目についての事前確認の連絡が学園本部から届きました。次年度に標準「外」科目を履修したい場合は、前年の12月下旬までにメンターと相談のうえで手続きするようにとのお達しでした。
子すずめが調べたところによると、一般入試の試験科目としてN高の標準「外」履修科目を課している大学でも科目の履修までは義務付けていない大学がほとんどであるとのこと。(=数Ⅱが試験科目であっても、数Ⅱという科目を高校で履修している必要はない)つまり、試験科目がN高の標準「外」履修科目で、自分自身がその科目を履修していなくても、自分で勝手にその科目を勉強して入試に備えればいいだけの話。ただし、大学の公募型推薦(自己推薦型入試?AO入試?一発芸入試?)に出願する場合は、科目の履修が出願の前提条件となっている場合もあるとのこと。(公募型推薦では学力試験を課さない場合も多いと聞くので、大学側としては基礎学力の有無を履修科目の有無で判断しているのでしょうね←憶測に過ぎませんが)なので、履修科目を出願の前提条件として課す大学へ受験を希望する場合のみ、その前提条件の科目を履修している必要がある…つまり、自分の志望大学の出願規定をしっかり読み込んで、履修科目前提がある場合には履修科目変更の対応する必要があります。
履修科目として登録していない科目を勉強してはならないというルールはありません。学びは自由です。ただ学習履歴として公文書(N高が発行する取得単位証明書)に残らないだけ。N高の標準履修科目では高3時には数学の科目が履修科目として割り振られていませんが、[教科として高校で同じ内容を全員が学ぶ]という強制を敷かず、「自分に必要な勉強を自分の好きなようにしていいよ」という学園側からのメッセージと解釈することもできます。学習負荷キツイ教科を少なめにしたから、余った時間で好きに勉強しなされ!と、私は解釈しておくことにします。
大学進学のために必要な科目なのであれば、生徒自身が自主的にN予備校やN塾を活用したり、外部の予備校、外部の塾を活用して、自分でその科目の試験問題に対応できるように学んでいけばいいだけです。入学後にその科目の知識が大学での学びの前提だからこそ、その科目が試験科目として課されていると推察します。なので、受験を突破するためにその科目を勉強するという意識よりも[入学後に大学で学んでいくための基礎知識](「この程度がわかってないと、大学で学んでいくのは厳しいかもよ~この問題くらいは解いてほしいなぁ〜」という大学側からの「うちの学生にはこれくらいの知識レベルあってくれなきゃ困るよ〜」という陰の声を聞きとってください)だと思って学べばいいだけ。履修科目ではないので、学習モチベーションの維持は難しいかもしれませんが。その辺りは、適宜模試を受けるという課金をして、自分の理解度、深度を確認してフォローアップしていけばいいのでは?
それと…履修科目として登録した科目だけを勉強しているのでは…N高のカリキュラムは生徒たちには物足りない、時間が余ってしまうと、個人的には、思います。N高の「高校卒業資格を取得するための授業」のカリキュラム(履修科目のレポート、拠点スクーリング、単位認定試験)は…他の通信制高校に入学したことはないので正確な比較ができませんが、他の通信制高校よりも負荷が少なめではないかという印象を抱いています。N高で決められた履修科目をこなすのは高校卒業の身分を得るため、それ以外の時間は自由に使うことができる、自分の好きなことに全フリすることができます。進学希望の生徒は自分の目指す進学先へ入学するための受験勉強に使う、何らかの才能がある人はその才能を開花させるための勉強(というよりも研鑽?)に使う…プログラミングコンテスト出場したり、e-sports大会に出場したり、ピアノコンクールに出場したり、写真撮影の旅に出かけたり、アルバイトして稼いで推しのライブに参戦したり…などなど。自由な時間がある中で、何をするかを自己決定できることこそ、N高強みなのだと思います。(もしかして、生徒の中にはその[自由に好きなことをすることができる時間]を病と闘うために使わざるを得ない状況の闘病中の生徒もいるかもしれない…とちらりと脳裏を掠めます。2万人も在籍生徒が居る学校なので、闘病しながら高校卒業資格を得るために学んでいる生徒がいても確率的には不思議ではないだろうことも…想像の範囲内でしかありませんが、想像しています。そういう生徒がいるのであれば、その子たちにとって本当にしたいことができる時間が多いようにと勝手に祈ってます←すべては想像上の仮定ですが)
ということで、N高は履修科目の選択の自由は限られているけれど、自分が勉強したいものを学ぶ自由、今後の自分に必要な勉強をする自由な時間は潤沢にある通信制高校だと思っています。最低限のこと(高校卒業資格を得るための勉強)さえすれば、あとは何をやっても、何をやらなくても生徒自身の自由!な学校なのだなあと、しみじみ感じています。
あ、自由というのは語感としては良いもの、ポジティブなものという印象ですが、実際のところ世知辛いよ〜自由って。
知識量の多い少ないの場面で闘っている者にとっては、一方的に知識伝授してくれよー、自分で自分を律せないから一方的に宿題出してオイラの知識の定着を図ってくれよーって、誰かが学習の進捗管理してくれることを望んでしまいませんか?成人年齢達してる私自身も、自主トレで減量しようにもモチベーションが続かずにリバウンド何周目?なので、誰か上から…ジムのトレーナーとかに自分に合ったトレーニングを指導してもらいたい、叱咤激励してもらいたいって思いますもん。
自由って、自由を行使する者自身が、[自由を行使したことから生じる結果]を引き受けねばならないので、世知辛い。私の場合は…痩せたいと思っていてダイエットするのも自由、ダイエットに疲れてチートデイが増えてしまうのも自由、リバウンドするのも自由!嗚呼世知辛い…[好きなことをやる自由]には、[好きなことに飽きたら脱線しちゃう自由]もあるし、極論を言うと[何もやらない自由]もある。
そういう自由をどう使うか?自由とどう向き合うのか?という課題学習の場だよな、N高って…と一保護者に過ぎぬ私自身は思っています。