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【当事者ご家族】3年のカウンセリングを終えて

今回ご紹介する方は、現在大学4年生のエミさん(仮名)のお母様。
2021年11月に3年間のカウンセリングを卒業し、約1年ぶりの近況報告インタビューを行いました。その記事を受けて、お母様からメッセージをいただきました。

【エミさんカルテ】
■症状:拒食・過活動(低体重)
■カウンセリング期間:2019年2月〜2021年11月(2年10ヶ月)
■サポート内容
初回お母様通話⇨お子様月2回通話/お母様メッセージ

■プロフィール
2019年開始時、18歳。ご家族の都合で海外在住、高校2年の頃からダイエットでご飯を食べなくなり、152cm50kgから10kg ほど体重減少。生理が停止。高校卒業後は親元を離れ、海外の医学部に進学。2022年現在、大学4年生。

お母様からの手紙

とても心のこもったメッセージをいただき、私自身感化される内容だったので、皆さんにご紹介します。きっと多くの気づきを得られるはずです。

皆さんに注目していただきたいのは

・摂食障害や完璧主義などの自分の特性とつきあいながら望む行動はできること
・摂食障害を通して、家族全員が変わることが、回復を後押しすること

摂食障害の子は例外なく努力家です。そして、その親御さんと言うのも、努力家で真面目であることが多いです。
だから、回復の過程で、ご家族も自分の生き方を問い直すことで、お子様に接する態度も変わり、回復につながります。
摂食障害は家族の問題を、代表してその子が発症したとも言えます。
そう言う意味でも、ご家族全員が「今までのやり方を見直す」という作業が大切になります。


■第三者に協力を頼む利点

それでは、手紙をはじめから読み進めたいと思います。

娘が摂食障害では、、、と思ったのは彼女が高校三年生になる頃だったと思います。彼女は元来頑張り屋で、それまでも何にでもチャレンジしてそれなりに成果を残してきましたが、その時は海外で難しい勉強に取り組んでおり、「努力してもできない自分」にとても苛立っていました。ストレスが多い中、多少食べられないというのは自分自身も経験してきたことなので、最初は、「この時期が通り過ぎれば元に戻るだろう、、、」と思っていたのですが、段々と自分のこと、人生そのものに否定的になり、自暴自棄になることが増え、さらに食べない、「痩せてないと人生終わり」と言うようになったところから、もしや、、、と摂食障害を疑うようになりました。

正直最初の頃は、摂食障害の本を読んでも、うちの子が摂食障害?と私自身が受け入れることができなかったように思います。なので無理に食べさせようとしたり、本人はなんとか頑張りたいのに、きつい勉強はもうしなくていい、頑張らなくていいと言ったりと、彼女をどうにか変えようと必死でした。でも私が必死になればなるほど、激しくぶつかったり、彼女を傷つける言葉を重ねてしまうだけでむしろ摂食障害も親子関係も悪くなる一方でした。これはもう本人や家族だけでは難しいだろうと思い、インターネットで色々と調べている中で茜さんと出会いました。

早い段階で摂食障害を疑い、第三者を介入させる判断をした点、さすがだと思いました。この一歩を踏み出せず、30kg台になって初めてことの重大さに気づく親御さんも多いです。彼女は低体重ですが、40kgはギリギリあり社会生活を送るだけの体力があった段階だったからこそ、カウンセリングだけでここまで回復できたのだと感じます。

茜さんはご自身が苦しい経験をされ、摂食障害を乗り越えられた方です。お話をしてこの方なら娘のことを理解してくれると思いました。娘は最初はカウンセリングなんて、、、という感じでしたが(本人は摂食障害であることを自覚していませんでした)、カウンセリングを受けながら茜さんへの信頼を深めていきました。本人も書いているように周りから見ていても最初のうちは一進一退な感じで、なかなか思うように自分の頭で考えていることに心が追いつかないということが続いていました。そんななか、大学進学を機に親元を離れることになり、正直ものすごく心配ではありました。でも茜さんとのカウンセリングは定期的に受けると本人も決めていたのである意味親から離れ、彼女なりに自分と向き合う時かもしれないと、送り出しました。

そうですね。初めは娘さんはカウンセリングに意欲的だったか、と言われたらそうでもなかったと思います。むしろ、摂食障害のお子様全員に言えることですが、「痩せていたい」という気持ちが強く、「治す=太ること」だと考えているので、カウンセラーは敵認定であることが多いんですよね(笑)私自身「信頼を勝ち取らないと私の話を聞いてもらえない」という意識は常にあります。そういう意味でもカウンセラーというより、「摂食障害経験者」という身近なお姉さん感は、彼女にあっていたのかもしれません。

そして、大学進学も、全く別の国にいっての一人暮らしだったので、心配しかなかったと思います。しかし、ご家族全員、そして私を頼りながら、サポートを継続できる体制を整えた上で、彼女を信じて送り出したことは、英断だったと思います。

■物事を多面的に見る

大学に入ってからの彼女は、とにかく勉強や課外活動、プロジェクトと忙しく、相変わらず頑張っている様子で、さらに送られてくる写真はとても痩せている、、、。親としてその度に正直心配は積もっていきました。でも時々ビデオ通話で話す彼女は生き生きとしていて、大変な時でもどこかポジティブさが残る、そんなふうに変化していきました。そして何よりも大きな変化は、以前の彼女だったら常に自分にダメ出ししているところが、何かうまくいかない時でも、まあそういう時もあるよね、と言葉で言えるようになったこと、そして落ち込んだり、できない自分もそのまま受け入れることができるようになったところではないかと思います。これは常に茜さんが彼女のそのままを受け入れ、何度も話を聞き、娘の囚われや考え方の癖などを少しずつほぐしていってくれたおかげだと思います。

彼女は自分の弱さやできないことを認められるようになったことで、物事をより多面的に見れるようになったのではないかと思っています。つまり、自分を客観視する力がついたことで、どんなことも俯瞰してみる視野の広がりを持てるようになったのではないかなと。
もともとすごく賢い子です。そこからさらに、自分にも、相手に対しても包容力のある賢さが備わっていったように感じます。

■完治の定義について

当初私自身、摂食障害は治すものだと考えていました。でも娘のこれまでの4年間を振り返ると、茜さんがおっしゃっているように、大切なことは、摂食障害というものの完治ではなく、摂食障害(またはその傾向)を持つ自分とどう付き合っていくかということだと今は感じています。というのも摂食障害そのものが病気=治さなければならない、と定義した時点で、すでに病気やその子自身をネガティブに捉え、摂食障害はダメなことというメッセージを本人に送ってしまうからです。それは摂食障害に陥りやすい完璧主義の人をさらに苦しめ、追い詰めることになると思います。実際、最初の私は娘をそうして追い込んでいたのだと思います。

は〜〜〜しみます。特に、完治の定義の部分が、私はグッと心に残り、心改めました。そうなんですよね、病気とか、完治にこだわらず「どうやったら、病気の特性と付き合いながら、本当に望む行動を優先させていくか」が大切なんですよね。
私も時々「完治」という言葉に引っ張られて追い込んでしまうことがありますが、この言葉を心に留めてたいと思いました。

■特性は治すべきものではない

今でも彼女自身、浮き沈みはあるし、食ややせへのこだわりがゼロになったわけではないと思います。完璧主義もそもそも彼女の性格ですから、これは治せるものでも、治すべきものでもありません。でも以前の彼女と違うのは、ネガティブな感情やいき過ぎた完璧主義が出てきたときに、そんな自分と付き合っていく方法を彼女なりに見つけることができたところだと思います。これから医師の道を歩んでいくのなら、人の命とも関わり、もっともっと困難な壁にぶつかることもあると思います。ただ、何かがあっても、きっと今の彼女なら苦しくても最後は乗り越えられるのではないかと信じています。茜さんに支えていただきながら、この4年間ありのままの自分を受け入れることを学び、成長した結果だと感じています。

は〜〜〜〜涙。「完璧主義は治せるものでも、治すべきものではない」という言葉に、そうだよな〜と気付かされました。

娘さんは努力家で完璧主義。そんな向上心の塊の彼女にとって、その特性がいきすぎて摂食障害になったとも言えるし、その特性があったから、海外の医学部に進学し、さまざまなプロジェクトなどでも活躍できているとも言えますよね。

そう思うと、その特性を「治すものはなく、付き合っていくもの」と捉えて、「症状がありながらも、彼女の本当にやりたいことをサポートし続けること」を実行し続けたことが、お母様の素晴らしい姿勢だと思います。

その特性がいきすぎた時に、いかにブレーキをかけて、自分のパフォーマンスが上がる方法を考えられるか。これが、真の回復力を持った姿なのではないかと思いました。

■母自身も、自分に対して「それでいいんだよ」と言えるようになった

振り返ると、私自身も娘に「いつも元気な娘」「完璧な娘」を期待していたのだと思います。彼女の摂食障害は親としての私自身のあり方を問うきっかけを与えてくれました。娘には私の態度、言葉ゆえにたくさん傷つけてしまったことと思います。娘が変化していく中で、私自身も多くを学ばせてもらい、娘に対して何があっても「それでいいんだよ」「そうい時もあるよ」と言えるようになりました。そしてなんと私自身にも言えるようになりました。

茜さんをはじめ、娘は本当に人に恵まれ、愛をいただき、たくさんのことを学び人として成長を続けています。カウンセリングは一旦終わっていますが、何かあったらいつでも茜さんがいてくれるというのは娘にとって大きな安心にもなっています。今苦しんでいるみなさんも、こんな自分ではダメだ、、、ではなく、こんな自分もいいんだよね、と思える日が来ることを心から願っています。

「こんな自分ではダメだではなく、こんな自分もいいんだよね」と認められる人が一人でも増えることを願って、このメッセージを紹介させていただきました。本当にありがとうございました。

お母様から見た変化まとめ

▼お母様から見た娘さんの変化
・大変な時でも、どこかポジティブさが残る
・うまくいかなくても「まぁそんなときもあるよね」と受け入れられるようになった
・ネガティブな感情やいき過ぎた完璧主義が出てきたときに、そんな自分と付き合っていく方法を彼女なりに見つけることができたところ

▼お母様の考え方の変化
・摂食障害を治す
・完璧主義は治せるものでも、治すものでもない。付き合っていくもの
・心配ばかりをするのではなく、何かがあっても、きっと今の彼女なら苦しくても最後は乗り越えられるのではないかと信じられるようになった
・摂食障害は親としての私自身のあり方を問うきっかけを与えてくれました
・自分にも、娘に対しても、何があっても「それでいいんだよ」と言えるようになった

親って、娘を応援しようと思っても、どうしても心配が先走ります。私も親なのですごくわかりますが、とにかく娘が傷つかないようにしたいんですよね。でも、心配より、信じることの方が、よっぽどお子様の力になることってあるよな、と気付かされました。

この4年間、お母様の考え方も変わりました。そして、娘さんとの関係もいい距離感で、お互いを尊重し合いながら歩んでいるように感じます。

一度も出会ったことがないのに、ここまで心の深い部分で対話ができたこと、心から感謝しています。これからも、季節のお便り送りあえたら嬉しいです。

摂食障害オンライン相談室公式HP

■毎週月水金17:00〜YouTube

■著書「摂食障害のしおり〜ダイエット依存を卒業する5ステップ〜

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